ライター:浅野智
1990年から1992年にかけて、ビッグコミックスピリッツに連載された本作。連載当初に数話を読んだ覚えはあったが、なんだかよく分からんよーな印象を受けた記憶がある。丁度その頃から漫画を読むこともなくなった為、長いこと未読のままだったし、最近になっ…
ここまで執着するとは、我ながら呆れた感は確かにある。狩撫麻礼の追悼本『漫画原作者・狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》 』 を読んでから、蔵書を改めて読み返し、それに飽き足らず未読の書を買い求めて漁り散らかした。そ…
まだ『ゲゲゲの鬼太郎』が、『墓場の鬼太郎』というタイトルだった頃、その水木しげるの漫画に大いにショックを覚え、妖怪モノを自分も描かねば! と思い余った手塚治虫が連載開始した、それが本作だ。 時代は戦国の世、室町時代。妖怪たちに身体の四十八箇…
原作・狩撫麻礼、画・いましろたかしによるこの漫画は、グランドチャンピオンにて1991年から1993年に連載されたが、随分と歳月を経た2018年に、山田孝之主演・プロデュース、山下敦弘監督により映画化された。佐藤健なんかまでも出演している。映画化のきっ…
今となっては記憶も朧だが、本書が出版された時分の私は、あまり漫画を読むことはなくなっていた筈だが、多分たまたま書店で見掛け、瞬時に買い求めていたのだろう。なんたって、原作は狩撫麻礼、作画が池上遼一ときたもんだ。こんな組み合わせを眼前にぶら…
都内に建つボロアパート月光荘。そこに住むのは三人。久保田という二十代後半とおぼしき若い男、東大目指して浪人生活二年の木村、もう一人は、三千円という格安の家賃だが、なんと元共同便所の部屋に住む男。その男の名は蜂須賀。苗字以外は年齢も素性も不…
そういえばこれって、私が十代の頃何度も読んでたっけ。懐かしく読み返した手塚治虫の短編集。本書の特徴は、手塚治虫自身が主人公、若しくは語り部となっている作品を編纂した点にある。ドラマ性を持たせる為に、多くはフィクションになっているのであろう…
カモの人選と絵図を描く元締めの老婦人、荒っぽい役割担当、態度のデカイ脂の乗った中年男、美貌をフルに利用し、ベッドで男を狂わす女、そして若いながらも実行チームを引っ張る男。これら悪党四人組が主人公たちのクライムストーリーの漫画である。 輸入商…
17年前に交通事故に遭い、後遺症による寝たきりとなってしまった長女を自宅で介護することになってしまった著者は、手作りの料理をする余裕もなくなり、次第に笑顔も消えてしまったそうだ。「ママはこうなったから、そういう顔をしてるの?」幼い次女に言わ…
築地署の刑事である游二(りゅうじ)は、張り込み中だった。このところ派手に稼いでいる高級外車窃盗団の、次の犯行予定を情報屋から仕入れていたのだ。今回の盗難の標的はマイバッハ。駐車場を張る游二たち。しかし、早朝の銀座の街に唐突に響いたフェラー…
松田優作により映画化された本作だが、記憶喪失の主人公が放浪している、という点以外は全く別物なので悪しからず。映画の脚本を務めた丸山昇一によれば、松田優作が本作のある一コマを差し、「主人公のこの表情を映画にしたい」という一言で脚本がスタート…
ブランドとは、お客様との間の「プロミス(約束)」です。そして、顧客とのあらゆる接点に於いて一貫したプロミスを伝え続ける為には、ブランドを俯瞰し、各所との連携を図ってブランディングを「プロデュース」していく思考が必要です。本書の冒頭で、この…
手塚治虫率いる虫プロダクション制作のテレビアニメ作品であり、同時進行で少年誌に連載されたのが本作『W3』だ。多忙、且つリテイクの鬼である手塚治虫が絡むと番組の制作が遅れるから、本流のアニメ部隊には関わらないでくれと言われ、ハブられた手塚治虫…
ちょっとぼんやりで内気なメガネっ子の今日子、関西弁丸出しでややふくよかな留利子、くわえタバコにクールな物言いの麻美。美大の油絵科に通う女子三人。現在二十歳の同級生で、ボロアパートで同居中。いずれも男っ気無し。芸術に真剣に向かいつつ、たまに…
本書は、2020年発刊の『ブランディング・ファースト』の続編なのだそうだ。広告費をかける前に「ブランド」をつくる。これが前著のサブタイトルで、数多の広告に埋もれない為に「ブランド」を構築せよ、といったものだったのだろう。時が経ち、状況は悪化し…
世紀末モノの漫画である。ノストラダムスの予言した“恐怖の大王”とは偶発最終核戦争のことではなく、太陽黒点の異常増殖による地球規模の天候異変だった。食糧危機は世界の秩序を瞬時に解体し去った。二年続きの世界的な作物不作、次いでアメリカとソ連が局…
二度に亘る外タレ興業の不入り。3億5千万円の借金。一匹狼の呼び屋、馬渡真助(まわたり・しんすけ)は、その夜、家財一式を売り払っての夜逃げを図ろうとしていた。宵闇のなか突然の訪問者。債権者か!?開け放されたドアに立ったのは、気品すら感じさせる…
経営者は、新たなビジネスの種を探し続けなければ、長期的な繁栄は叶わない。その為には成長性の見込める分野に常にアンテナを張っておかなければならない。本書は、化粧品と健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行なってきた著者が、新た…
横浜元町で、インテリアショップ店員として働いているチー坊こと島田千代之助の前に、あの男が突然姿を現した。「センパイ!」エレキ・ギターはプロ級、カワサキのW1スペシャルで長髪なびかせてドド〜ン、酒を飲むと「死ぬ死ぬオレは自殺する」と口ぐせの様…
あらゆる沈黙とはかりあえるほどのガンジス河のほとり。彼の地で男は”B”と呼ばれていた。三年前、スポーツ記者だった男はフィアンセと共に突然失踪した、とされていた。「多分弟は、何事か想像もつかないような事件に巻き込まれたのだと思う。警察さえも頼り…
ユニークな本だ。というのが、本書を手にした際のファーストインプレッション。「50人と、5組の夫婦の人生をご紹介し、「収入」の内訳と推移を徹底解剖!」と謳っている様に、読み物、というよりデータ集といった趣きのある本書は、著者の或る想いから作成さ…
六本木のジャズクラブで夜毎ソロの生演奏を務めるピアニスト、有山礼二。或る夜、礼二の元に訪れた男がいた。それはかつての戦友だった。ゲリラの総統が命乞いの果てに差し出したダイヤモンドの山は仲間四人で分けた筈だったが、男の来訪の目的は全てを自ら…
狩撫麻礼と守村大とのコンビ作品『ラスタ牌』の主人公である下山と麻雀仲間の三人が別名義(?)で登場して活躍するロックバンドモノの漫画である。『ラスタ牌』同様、コメディ基調でサクッと読める快作。 実は私的には『ラスタ牌』よりもこちらの方を先に読…
著者は、自らの営業支援の経験を元に、セールスエバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演を行なっている。 コロナ禍以降の営業環境には、三つの機会損失が挙げられる。・つながらない・会えない・買ってもらえない本書を上梓することにした…
著者は、自らの営業支援の経験を元に、セールスエバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演を行なっている。 コロナ禍以降の営業環境には、三つの機会損失が挙げられる。・つながらない・会えない・買ってもらえない本書を上梓することにした…
果たして、漫画原作者である狩撫麻礼が麻雀に興じていたのかは知らない。少なくとも私にはそのイメージは湧かないのは確かだ。本作は、別冊近代麻雀にて1982年から1985年に連載された。意外に長期連載である。作画は守村大。まだまだポッと出の頃からの連載…
骨太なヒューマンドラマ、反時代的な主人公の言動という作品が多い狩撫麻礼だが、本作は何故か知らねどちょっと違い、あんまり思想的な感じは無く、どうしちゃったのかは分からないが、全体的にユーモラスですらある。それら骨太系の作品に先んじて読んだの…
知人が、三島由紀夫が好きだと言う。そう言えば読んだことなかったな、と思ったので読むことにした。存在や死に様は知っていたし、どういう経緯で出演したのかは存じないが、彼が主演した日活アクション映画も観たことはあったものの、いかんせん執筆したも…
狩撫麻礼と谷口ジローのコンビで描くボクシング漫画は、『青の戦士』以来だ。三度目の監獄は、男を徹底的に苛まさせた。恐怖に打ち克つ為には信仰が必要だった。ボクシングという名の。その男の名は森山。刑期を終えた森山は、尚も尾行を続ける警察に向かっ…
漫画原作者である狩撫麻礼には、幾つかのテーマが苔の様にこびりついている。ボクシング、ジャズ、ブルース、レゲエといった音楽、そして遁世。或る日、行方をくらましていた男が突然帰ってくるというパターンは少なくない。本作もその一つである。インディ…