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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】少年の成長とスパイ活劇、それから宇宙人。『W3(ワンダースリー)』

手塚治虫率いる虫プロダクション制作のテレビアニメ作品であり、同時進行で少年誌に連載されたのが本作『W3』だ。
多忙、且つリテイクの鬼である手塚治虫が絡むと番組の制作が遅れるから、本流のアニメ部隊には関わらないでくれと言われ、ハブられた手塚治虫が若いスタッフに声をかけて集めた別部隊でテレビ版は作られたらしい。
一方、漫画版は当初『週刊少年マガジン』に掲載されたのだが、手塚治虫が『W3』のアイディアを盗まれたと主張していた『宇宙少年ソラン』が同誌に連載されると聞き激怒。連載を打ち切り、『週刊少年サンデー』で改めて連載が開始されたという。これを俗に「W3事件」と呼ぶそうだ。

そんな曰く付きの作品は、私としてはタイトこそ知っていたが未見であった。
私にとっての手塚治虫の存在は、2018年7月以来、それ以前と比べ段違いに重要なものとなっている。
何故ならば、私の会社は、特許取得のサプリメントを配合したというオンリーワンで狂ったお水『サプリメント in ウォーター MCM のめぐみ』のメーカーであるのだが、パッケージに火の鳥を用いた『火の鳥 サプリメント in ウォーター編』を2018年7月31日より発売中なのであるからだ。
これは、手塚プロダクションとのコラボによるものだ。
手塚治虫のオフィシャルサイトでも記載されているので、決してパチモンではない。
https://tezukaosamu.net/jp/mushi/entry/12415.html
で、YouTubeで観たBSアニメ夜話手塚治虫特集で『W3』が取り上げられていたので気になり、この際読んでみたという訳なのだ。

手塚治虫の凄いところは、と言ってもまぁ色々あるでしょうが、ギャグからシリアス、SF、少女向け、歴史ものまで、あらゆるジャンルを網羅する守備範囲の広さも特筆ものなのだ。
分けても、手塚SFに於ける豊かな発想にはものすご〜く度肝を抜かされる。
本作もそうだ。

相変わらず無益な戦争を繰り返す人類。人類を如何にすべきかで議論していた銀河連盟は、銀河パトロール第四分隊所属の三人を地球に派遣することを決定。その三人がW3だ。
彼らに一年間の調査を行なわせ、もししょーもない奴らと判断した際には、反陽子爆弾で地球ごと消滅させるというスペシャルなオプション付きの指令が下った。
地球へと到着したW3のボッコ、プッコ、ノッコたちは、ウサギ、カモ、ウマと、それぞれ地球の動物の姿を借り、日本の田舎の村に潜入した。
彼らはそこで、純真な少年、星真一と出会い、交流が始まる。
一方で、真一の兄である光一は、秘密諜報機関「フェニックス」の一員として、平和の為に戦っていた。
真一とW3の活躍とはまた別に、007シリーズのヒットの影響もあってか、スパイものの活劇の要素も作品に織り交ぜているのであった。
W3は地球をどう評価し、裁定を下すのか。

読み始めたら後が気になって仕様がない。
そして驚きの結末! 良い仕掛け、良いオチが待っていた。
この、ピターっとした納め方。
そうそう、これが手塚漫画だよねぇ。

なお、漫画とテレビシリーズは、基本設定が同じというだけで、全く別の話になっているとのことだ。

W3(ワンダースリー)
作者: 手塚治虫
発売日:1968年6月30日
メディア:単行本