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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】オタキング岡田斗司夫氏の言う通りだったわ。『風の谷のナウシカ』

本書は、アニメ作家 宮崎駿による漫画作品である。アニメ雑誌の草分け的存在である月刊誌アニメージュに連載していたものだ。
連載開始当時、宮崎駿はアニメ界からほぼ干され状態にあった。その理由は、初監督長編映画作品であった『ルパン三世 カリオストロの城』の興行が全く振るわないどころか、コケにコケたからだ。
「こんなヤツに仕事を廻せられるものか」
と、評価を下されてしまっていたのだ。
その様な状態にあったとは、中学生時代にリアルタイムで『カリ城』を観た私に分かる筈もない。というか、当時のアニメージュでは、割と古典的な作品を取り上げることも多く、東映動画の初期から作り手として参加していた宮崎駿のこともそれなりに評価していたので、『カリ城』も大分好意的な扱いをされていたからだ。
そのアニメージュの編集部が、そんな状況なら、まぁ漫画でも描いてみてはどうか? と、持ち掛けた。

宮崎駿は、元々は漫画家を志していた。だが、学習院大学に入ってみたら漫画研究会が無く、代わりに入った人形劇研究会でアニメを知り、アニメも良いな〜と思って東映動画に入社した経緯があった。
そして、絵を動かすのは良いけど、漫画の才能はあんまり無いなぁ、と自らを決めつけていた為に積極的にはなれなかったにもかかわらず、結局は編集部の勧誘に応じることとなり、そうして1982年2月号からアニメージュ誌上にて連載が開始されたのだった。
だが、私は丁度その頃から、広く浅く、なんだか薄っぺらさを感じていたアニメージュを読むことをやめたので、本作は最初の頃の数話しか読んでいなかった。
やがて本作は、宮崎駿自身が監督した劇場版アニメが1984年に公開され、広く世間に知られることとなった。また、この事がやがてスタジオジブリを創る礎となった訳だ。
私もこの劇場版は観た。そして、世間一般の多くと同様、このアニメがナウシカそのものであると思っていた。
しかし、ふと見掛けたオタキング岡田斗司夫氏のYouTube動画で、アニメのナウシカと原作は全然違うし、そもそもアニメはほんの一部しか描いていない! と、あまりにも強く訴えていたので、そうなのか? ほんじゃま読んでみようじゃないかと思って、Amazonでポチッとしてみたのだ。
そしたら、岡田斗司夫氏の言う通り。
なんと、劇場版アニメは、原作の第二巻の途中までしか描いていなかった。そしてまたなんと、原作は第七巻まであるのだ!
しかも、あのアニメを観てしまうと、なんか自然回帰主義なお話なのね、と思えてしまうが、話が進むにつれ、いや、もしかするとそういった評価に対する反動なのか、全然そんなことじゃなくなってくる。
ムチャクチャ絶望的な世界が展開されてしまうのだ。

連載は、4度の中断もあり、12年の歳月を経て1994年3月号にて完結した。
えらいこっちゃ。その年月も、その終わり方も。
是非読もう。

風の谷のナウシカ
作者:宮崎駿
発売日:1983年8月25日
メディア:単行本