HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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小説

【書評】雨のせいで、二人殺した。O・K!そうしておこう。雨のせいにしておけばいいさ。『神様のピンチヒッター』

矢作俊彦の存在を私が知ったのは、FM東京の『マンハッタン・オプ』という私立探偵物のラジオドラマの作者としてだった。洒落たセリフと、ハメットの名無しの探偵を彷彿とさせる味付け、チャンドラーを意識した様な文体で、いっぺんに気に入ったものだった。…

【書評】工藤俊作、最後の事件。『新・探偵物語Ⅱ 国境のコヨーテ』

前作から10ヶ月後、S・クドーはアリゾナに舞い戻る。それは相変わらずの法律事務所の臨時調査員としての仕事の為だ。しかし、胸中には以前の事件で淡いロマンスと生死の境を共にした日系アメリカ人の美女との再会への期待もあった。 物語の冒頭は、クドーが…

【書評】工藤俊作はLAで生きていた。『新・探偵物語』

小鷹信光オリジナル作品の続編である。あれから15年ほど経ったロサンジェルス郊外に、S・クドーは居た。自宅兼事務所の借家へ訪れた日系アメリカ人の若い女性が、「わたしを一週間守ってくれませんか」と依頼を持ちかけるところから物語が始まる。探偵小説と…

【書評】何かをかなぐり捨て、忘れていくことも、大切なのだ。『うつくしい人』

全然自分のことを見てない、自分にまったく興味のない変な人が、それぞれ勝手に変なことで悩んでたり変なことしてたら。それだけで、なんだか楽になるのかもしれない。 周りのするようにし、周囲から浮かないように、社会からはみ出ないように、「普通」の生…

【書評】誰も知らなかった探偵の過去が明かされる。『赤き馬の使者 探偵物語Ⅱ』

小鷹信光著の「探偵物語」シリーズの第二弾である。前作から約四ヶ月後。舞台は北海道。一仕事を終えた私立探偵 工藤俊作が、札幌のホテルの部屋へ戻った途端、3人の暴漢に容赦無く痛めつけられ意識を失くすところから物語は始まる。一日半後、病院のベッド…

【書評】名作ドラマの原典に辿り着く。『探偵物語』

1979年から1980年にかけて放送されたテレビドラマ『探偵物語』。俳優 松田優作の代表作の一つとも言われるこの作品に原案者がいた。ハードボイルドミステリーの評論家であり、翻訳家でもある小鷹信光氏だ。ドラマ『探偵物語』は、好評だった『大都会』シリー…

【書評】人生の師と呼べる人はいますか?『リーチ先生』

「好いものは好い」日本とイギリスの架け橋になるべく、若くして芸術を学びに来日したバーナード・リーチ。彼の生涯を捧げることになる陶芸との出会いや、日本の芸術家たちとの熱い友情劇などを描いたアート小説。 絵の才能があったものの、学費が払えず芸術…

【書評】恋愛もビジネスも同じ。粘り強さが最後に勝つ『私はスカーレット Ⅱ』

本書は、名作「風と共に去りぬ」を著者、林真理子氏流にアレンジされた作品の第二巻。南北戦争がさらに激化するアメリカ南部で、激動の日々を送る恋愛ストーリー。 著者が作家になるきっかけとなった『風と共に去りぬ』そこまで著者を魅了した理由の一つが、…

【書評】愛するものを守り抜く『~小説で読む名作戯曲~ 桜の園』

本書は、日本で初めて世界の名作戯曲を小説化したシリーズの第一弾。ロシアを代表する作家チェーホフ氏の四大戯曲の一つを、二時間で読めるように現代の言葉でわかりやすくまとめられている。 主人公であるラネーフスカヤは、貴族としてなに不自由なく育ち、…

【書評】諦めずに想いを継続できる人は、かけがえのない人『私はスカーレット Ⅰ』

本書は名作「風と共に去りぬ」を著者、林真理子氏のアレンジにより主人公スカーレット・オハラを一人称にして新たに生まれ変わらせたストーリーである。 世界的な有名作品にもかかわらず、評者自身は、小説や恋愛ものはあまり読まないため、ストーリーを知ら…

【書評】しかない、というものは世にない。人よりも一尺高くから物事を見れば、道はつねに幾通りもある。『竜馬がゆく一』 

坂本竜馬は、不思議な人物だった。決して欲というものがなく、周りが勤王だ、攘夷だ、と熱に浮かされ騒いでいる中で、一人冷静に自分の考えを持ち、かといって自分の中にはしっかりと熱く燃えるものをもっている。周りに流されなければ生きづらい世の中でも…

【書評】現在というのは、どんな過去にも勝る。『何もかも憂鬱な夜に』

何かを破壊したい、と思ったことはないだろうか。誰にでも、ある時期には、どうしようもない破壊衝動のようなものが沸き起こってはこないだろうか。こんなことを、こんな混沌を、感じない人がいるのだろうか。 ラベリング理論というものがある。前科のレッテ…

【書評】なによりも怖いのは、恐怖に背中を向け、目を閉じてしまうこと。『レキシントンの幽霊』

真夜中のリビングではじまる幽霊たちのパーティ。穴の中から出てくる緑色の獣。氷男と結婚した女。本書では、不思議な世界が、七つの短編で繰り広げられます。 胸がざわざわするような恐怖感を感じるけれど、どこか心地よい世界観。わけがわからないけど、何…

【書評】うまくやろうとしなくていい。誰も見てないんだよ、人のことなんて。『昨夜のカレー、明日のパン』

若くして夫を亡くし、義父との二人暮しを続けるテツコ。ある日突然、笑うことができなくなってしまい会社を辞めた元客室乗務員の「ムムム」。顔面神経痛になり、深刻な病状の患者の前でも意図せず笑ってしまう産婦人科医のサカイ君。バイクで事故って正座が…

【書評】恋愛とは儚いものである 『マンガで読む名著 三四郎』

夏目漱石が画く『三四郎』普段は小説なんて、長くて読めないという方も、このマンガならきっとスラスラ読める! 物語は、三四郎が、田舎である熊本から、東京に行くため電車に乗るところからはじまる。三四郎は、今期から東京大学の生徒として、大学に通う。…

【書評】あなたは子どもを「殺して」いませんか?親殺しには、子殺しが先行しているのです。『親殺し』

実際にあった9件の親殺し事件を題材にした、「親殺しには子殺しが先行している」というテーマの本である。9つの事件の主な要因を、「教育家族」、「離婚」、「対人関係」の三つに区別し、仏典に描かれた阿闍世の親殺し事件をも手がかりに、親のあり方や救…

【書評】生きることからなにを期待するかではなく、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題だ。本当の自由とは何か。『夜と霧』

著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だった。 著者は学者として、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは…

【書評】ファンタジーが、もうそこまできてる 『答え合わせは、未来で。』

自動運転、IoT、スマートシティ。言葉だけが、独り歩きして、何のことか分からない。本当にそんな技術ができるのか。所詮、ファンタジーの話だろうと、ずっと思っていた。 だが、そんな時代もすぐそこまできている。車が、家の代わりになる。車で生活する時…

【書評】世界を震撼させたリーマンショック。その中で、利益を上げた4人の戦士。 『マネーショート 華麗なる逆転』

2008年9月15日、当時の米証券会社4位につけていたリーマンブラザーズが倒産した日、数多くの人間が失業し、家を失った。 そんな中、ある4人の投資家は、そうなることを予見し、世間と逆の行動をとっていた。 リーマンショックは、不動産価格が高騰し、バブル…

【書評】喪失感にただただ涙する、遠い南の島のラブストーリー『フィリピン・フール』

著者である内山氏のエッセイと小説を融合した、日本とフィリピンを結ぶ壮大なラブストーリー。内山氏の著作に共通して言えることだが、何よりもまず文章が美しい。内山氏の彼女であるアリスの美貌、フィリピンの風土、特徴的なキャラクターの数々は、読んで…

【書評】何度も読んでしまう推理小説『名探偵の掟』

本書を推理小説と呼んでいいのかどうかは意見の分かれるところかもしれない。とはいえ、探偵が事件を解決していくので推理小説ということでいいだろう。通常の推理小説は何度も読み返すということはない。1回読んで、その後の答え合わせのためにもう1度振り…

【書評】イギリス社会のリアルが、世界に向けそれとなく忠告しているかのよう『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

「異なる分野と分野を繋げる人が、いま圧倒的に足りていない」 先日書店をウロウロしていたら、元NHKアナウンサーの堀潤さんがこんなコメントをしているビジネス雑誌の表紙を見かけた。中を読みはしなかったけど、この本を読み終えた際、突然そのことを思い…

【書評】マレフィセントに込められた社会へのメッセージ『マレフィセント2』

本作は『眠れる森の美女』に登場する悪役『マレフィセント』を主人公としたストーリーである。 前作『マレフィセント』の続編ではあるが、完全なオリジナルストーリーになっている。 美しき最強ヴィランと呼ばれている『マレフィセント』は、真っ黒な衣装に…

【書評】クリスマスプレゼントに最適『クリスマス・キャロル』

ストーリーの主人公「スクルージ」は、お金の欲にとりつかれ、クリスマスはくだらないと言い、誰にも心を許さないケチで冷酷な人だと人々から思われていた。 そしてクリスマスイヴの夜、この世を去ったはずの共同経営者マーレーが、鎖をまとい幽霊となって現…

【書評】キャッシュフロー経営とは何か『破天荒フェニックス』

ハラハラ、ドキドキ、まるでジェットコースターのような、オンデーズの事業再生物語。 JINS、Zoff、オンデーズ。メガネをファッションのように付け替えるカルチャーが定着してどのくらいになるだろうか。オンデーズ躍進の裏側にこのような物語があったとは全…

【書評】多重人格者との恋愛『プリズム』

主人公聡子は、12個の人格を持ち合わせた青年と恋に落ちる。12人のうちの一人を好きになり、別の人格からも思いを寄せられる。プリズムというのは、多重人格者の比喩だ。 人間には誰しも、多面性がある。聡子もまた、職を変えたり、家族との関係を考え直した…

【書評】箱根駅伝物語『風が強く吹いている』

知人から三浦しをんさんの本がいいとお勧めされて、読んでみた。古びた学生寮に住む学生たちが、弱小駅伝チームを作り、箱根駅伝を目指す青春群像劇である。 駅伝チームということもあり、一人ひとりのキャラがとても個性的に描かれている。チームを作り、そ…

【書評】人から愛されるでくのぼう『のぼうの城』

表紙イラストも印象的な、和田竜の小説家デビュー作。司馬遼太郎達とは異なる、新たな歴史小説の楽しさを味わうことができる一冊。 舞台は、秀吉の時代、難攻不落の小田原城。北条氏の配下にあった、成田家の話である。 物語では、船上にいる主人公、成田長…

【書評】ディズニー作品は、人生の縮図『ライオン・キング』

本作品は、25年前にアニメーションとして登場したが、今回は実写もアニメーションも超えた「超実写版」として映画の世界で生まれ変わった。景色やキャラクターなど、全編CGのため、現在のその技術を確認することも面白さの一つである。 評者にとって『ライ…

【書評】お客様の仮面が外れたとしても、気づかないふりをするのもホテルマンの仕事。美人の涙に隠された謎の正体 『マスカレード・ナイト』

本書は2019年1月に公開された映画『マスカレード・ホテル』の続編であり、マスカレードシリーズの第3作となる。シリーズを通して「ホテルコルテシア」を舞台に殺人事件が計画され、警察、ホテル関係者は毎回犯人に翻弄される。 なぜなら、事件は常に巧妙なト…