HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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小説

【書評】「量子コンピューターの最先端に躍り出た日本。産官学を交えた国家間の駆け引きが繰り広げられる」『タングル』

量子コンピューターの最先端に躍り出た東都大工学部の早乙女研究室。国を跨いだ産官学プロジェクトにシンガポールと日本の両政府とその恩恵に預かろうとする投資家、企業のそれぞれの思惑が交錯する。 この本のテーマである光量子コンピューターは、今注目さ…

【書評】犯人を見つけてはいけない『十戒』

皆さんこんにちは。今日は夕木春央の『十戒』を紹介します。あるきっかけで個人所有の小さな無人島に集まった9人のうち、1人が殺されます。犯人からのメッセージにより、残された人々に課された戒律は「決して殺人犯を見つけてはいけない」でした。 物語の主…

【書評】核実験停止も軍縮もベルリン問題も、半熟卵や焼き林檎や乾葡萄入りのパンなどと一緒に論じるべきなのだ。『美しい星』

私が読む三島由紀夫の作品は、これで二冊目なので良くは存じていないながら、三島作品ではSF的な本作は異色のものだそうだ。三島当人は、どうやら推理小説は全否定しているが、SF小説は好んで読んでいたらしく、こう語っている。「推理小説などと違って、そ…

【書評】辻村深月の世界 - 『冷たい校舎の時は止まる』

皆さんこんにちは。今日は辻村深月の小説、『冷たい校舎の時は止まる』を紹介します。この作品には、多くの要素が詰まっており、それぞれが緻密に絡み合っていることに驚かされました。 物語の舞台は、受験を控えた高校3年生たちの日常。しかし、その日常は…

【書評:】劉慈欣『白亜紀往事』 - 恐竜と蟻が紡ぐ共存の物語

皆さんこんにちは。劉慈欣は、彼の代表作「三体」により世界中のSFファンから高い評価を受けている中国の作家です。しかし、その長大な三部作(続編もあります)に取り組むことに躊躇する読者も少なくありません。そんな読者にぜひお勧めしたいのが、一冊で完…

【書評】美しい自然と孤独の中に生きる「湿地の少女」 - 『ザリガニの鳴くところ』

皆さんこんにちは。ディーリア・オーエンズによる「ザリガニの鳴くところ」は、自然の美しさと厳しさ、人間の孤独と強さを繊細に描き出した作品です。1950年代から1960年代のノースカロライナの沼地を舞台に、家族に捨てられ、社会から孤立した少女、カイア…

【書評】紀田順一郎『東京の下層社会』- 過去からのメッセージ、そして今につながる思索

紀田順一郎の『東京の下層社会』は、近代日本が急速な発展を遂げる中で生まれた社会経済的弱者、特に極貧階層の生活に光を当てたルポタージュ作品です。この本を通じて、紀田は、明治時代の東京におけるスラムの悲惨な状況、もらい子殺し、娼婦や女工への恐…

【書評】爽やかな風に乗って、落語の世界へ - 『おあとがよろしいようで』

東京の大学に入学したばかりの主人公が、偶然の出会いをきっかけに落語研究会に足を踏み入れる――そこから始まるのは、ただの大学生活ではなく、自己発見と人間関係の構築、新たな世界への旅立ちの物語。喜多川泰さんの『おあとがよろしいようで』は、そんな…

【書評】祈りなんて、得をしている人間の使う言葉でしょう。ぎりぎりの命には、祈りが入りこむ余地はない、と思うな。『白日』

私が初めて読んだ北方謙三の小説。今でこそ『三国志』や『水滸伝』などと言った『中国歴史小説のアツいヤツ版』の作家になっているが、元々は『逃がれの街』『友よ、静かに瞑れ』といったハードボイルド作家として鳴らしていた。何故現代劇から身を引いてし…

【書評】祈りなんて、得をしている人間の使う言葉でしょう。ぎりぎりの命には、祈りが入りこむ余地はない、と思うな。『白日』

私が初めて読んだ北方謙三の小説。今でこそ『三国志』や『水滸伝』などと言った『中国歴史小説のアツいヤツ版』の作家になっているが、元々は『逃がれの街』『友よ、静かに瞑れ』といったハードボイルド作家として鳴らしていた。何故現代劇から身を引いてし…

【書評】恐怖の爪痕: 『羆嵐』に見る自然の猛威

こんにちは皆さん。先日、映画『ゴールデン・カムイ』を見てきました。明治時代の北海道を舞台としたストーリーです。そこで今日は以前読んだ本、『羆嵐』についお話しします。 自然の中には、我々人間が理解し、制御することのできない力が存在します。それ…

【書評】『勁草』から「BAD LANDS バッド・ランズ」へ - 原作と映画の違いを探る

みなさん、こんにちは。今回は、黒川博行さんの小説「勁草」と、それを基にした映画「BAD LANDS バッド・ランズ」の違いについてお話ししたいと思います。 原作「勁草」の物語:「勁草」の物語は、振込め詐欺グループの手下として働く主人公の日常から始まり…

【新着記事】YouでもTheyでもないワタシという存在。 『一人称単数』

さすが村上春樹。直接的な言い方をせずに現代社会を生きる私たちにゾクッとした感覚を味あわせてくれる。 「一人称単数」は短編集の中の15ページほどの短い小説である。 簡潔に言うと、クローゼットからほとんど着たことのないスーツを見つけたので、そのス…

【書評】予想を裏切るSF世界への招待 - 柞刈湯葉『まず牛を球とします。』

みなさんこんにちは、今回は柞刈湯葉による奇想天外なSF短編集「まず牛を球とします。」を紹介します。このタイトルを見て、数学や物理の深い話かと思いきや、実は全く違う内容が待っていました。タイトルの秘密「まず牛を球とします。」という言葉からは、…

【書評】予想を裏切るSF世界への招待 - 柞刈湯葉『まず牛を球とします。』

みなさんこんにちは、今回は柞刈湯葉による奇想天外なSF短編集「まず牛を球とします。」を紹介します。このタイトルを見て、数学や物理の深い話かと思いきや、実は全く違う内容が待っていました。タイトルの秘密「まず牛を球とします。」という言葉からは、…

【書評】人との出会いで考え方やその後の人生も大きく変われる『おあとがよろしいようで』

新年一冊目にして、最高の作品と出会いました。 本書は喜多川 泰さん著、落語をテーマにした小説。主人公の門田 暖平は、群馬から東京のとある大学に進学し、ひょんなことから落語研究会に入ることとなる。 そこでの出会いや出来事、様々な体験、主人公の両…

【書評】成長と冒険の旋律 - 室町の激動を生きる『室町無頼』

みなさんこんにちは。先日読んだ「一冊でわかる室町時代」と一緒に借りた、垣根涼介著の「室町無頼」を読みました。この作品は、応仁の乱の5年ほど前、混沌とした京都を舞台にした物語です。主人公は、没落した牢人の息子として、多くの人々との出会いを通じ…

【書評】夏の記憶 - 『しずかな日々』心に残る季節の魅力

仕事が夏休みに入った日、手に取った一冊の本が椰月美智子の『しずかな日々』でした。この小説は、小学5年生の少年がおじいさんの家で過ごした夏の日々を中心に描かれています。 物語の情景物語を読み進めるうち、主人公が過ごす縁側の情景が鮮明に浮かび上…

【書評】運命の糸を紡ぐ - 『ドラゴンズ・タン』に見る時代を超えた物語

みなさんこんにちは。図書館の面出し「文学の現在地」にあった、宇佐美まことの『ドラゴンズ・タン』を読みました。この小説は古代中国から現代までの2000年に渡る壮大な物語を描いています。この作品の中心には「竜舌」という神秘的な存在があり、それが各…

【書評】予測不能な展開と痛快な「トリック返し」 - 井上真偽『探偵が早すぎる』

本作の主人公は、犯罪計画を事前に見抜くことで知られる?探偵です。その人並み外れた観察力と洞察力は、従来のミステリー作品とは異なる新たな視点を提示します。事件の予防というアプローチは、この作品のタイトルの意味がわかった瞬間、読者にとって一層…

【書評】「密室の心理戯曲:『グリーン家殺人事件』の迷宮

こんにちは、皆さん。今回はヴァン・ダインのクラシックミステリー、「グリーン家殺人事件」についてご紹介します。 この1928年の作品は、フィロ・ヴァンスシリーズの一部で、鮮やかに描かれたキャラクターと複雑なプロットが組み合わさった壮大なミステリー…

【書評】「深遠な感情の探求:アニーエルノーの『嫉妬』と『事件』

皆さん、こんにちは。今回は、2022年にノーベル文学賞を受賞したアニーエルノーの小説、「嫉妬」と「事件」についてお話ししたいと思います。エルノーの作品は、人間の感情と社会的な問題を描くことで知られていますが、これら二つの作品もその特徴を色濃く…

【書評】アイスランドの暗い影を描く 『湿地』

アイスランドの首都レイキャビクを舞台にしたアーナルデュル・インドリダソンの「湿地」は、単なるミステリー小説を超えた作品です。この小説は、複雑な心理描写と社会的背景の探求に重点を置いています。 殺人事件を追う物語 「湿地」では、アパートで起き…

【書評】ファンタジー色が強い幻想系SFの数々。『人間以前 ディック短篇傑作選』

事情はよく知らないが、近年になって改めて連続刊行されたディック短篇傑作選も本書で6冊目。2014年に発刊されたものだが、とうやらこれでひと段落らしい。ディックの全短篇約120篇の内、64篇を編纂したことになるのだと言う。だから以前読んだことのある短…

【書評】恋と呪いの家:アガサ・クリスティ『終わりなき夜に生れつく』の深遠な謎

1. 一体何が?「終わりなき夜に生れつく」は、ミステリー小説の女王アガサ・クリスティの作品で、1967年に発表されました。これはクリスティ自身が最も気に入った作品の一つで、その理由は一読すれば明らかになります。2. 物語の背景:恋と建築物語は若い建…

【書評】ルイ王朝の愛と欲望の狭間で 『マノン・レスコー』

みなさん、こんにちは。今日紹介するのはフランス文学の古典です。ルイ王朝時代のフランスを舞台に、美しきマノンとたまたま出会った彼女に一目惚れして恋の炎を燃え上がらせてしまう青年、シュヴァリエ・デ・グリューの愛の物語を描いた『マノン・レスコー…

【書評】馳 浩の視点で紡ぐ古典と現代の対話『快刀乱筆』

こんにちはみなさん。今回は、馳 浩さんのエッセイ集『快刀乱筆』についての感想を書きたいと思います。 この本を手に取ったきっかけは二つ。一つ目は、以前読んだ馳さんの「古典、簡単じゃないか」が非常に面白かったこと。そして二つ目は、馳さんが私の住…

【書評】フローベールが描く愛と喪失の物語『素朴な人』

みなさんこんにちは。今回は、フランス文学の巨匠、グスターヴ・フローベールの『素朴な人』についての感想を書きたいと思います。 ■作品概要『素朴な人』は、フローベールの短編小説集『三つの物語』の中の一つで、主人公フェリシテの一生を描いています。…

【書評】極限のサスペンス、心理の深層:夕木 春央の『方舟』に見る人間の選択と真実

みなさんこんにちは。今回は、夕木 春央の『方舟』という小説についての感想を書かせていただきます。 ■概要 大学時代の友達と従兄とともに山奥の地下建築を訪れた主人公、柊一。しかし、彼らは偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことに。…

【書評】夢を追い続ける人へ勇気を与えてくれる一冊『アルケミスト - 夢を旅した少年』

本書は1988年ブラジルで出版され、世界で3000万部を超えるベストセラー。 羊飼いの少年がアンダルシアからエジプトのピラミッドを目指して旅をする物語。その途中に様々な出会いや経験がある。 本書の印象的な点として、夢を探求するための勇気を優しく説く…