HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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小説

【書評】やっぱこれがオレの好きな鬼太郎なのよ。『決定版-ゲゲゲの鬼太郎1-妖怪大戦争・大海獣』

本書は、1965年に『週刊少年マガジン』でメジャー化してからの鬼太郎のお話バージョンである。メジャー化とは言っても、テレビアニメ第3シリーズ(1985年〜1988年、全108回)以降のイメージしかない方がこの原作を読んだら、違和感バリバリであろうと思う。…

【書評】大陸雄飛の夢に誘われて。『馬賊戦記』

誰からだったかはすっかりポンっと忘れてしまっているが、薦められるまま読んでみたら、これがやたらめったらとんでもなく面白い冒険活劇一大浪漫小説だった。嘘だと思ったら読んでみてちょーだい。戦前の満州を舞台に、日本人でありながら馬賊の攬把(ラン…

【書評】大陸雄飛の夢に誘われて。『馬賊戦記』

誰からだったかはすっかりポンっと忘れてしまっているが、薦められるまま読んでみたら、これがやたらめったらとんでもなく面白い冒険活劇一大浪漫小説だった。嘘だと思ったら読んでみてちょーだい。戦前の満州を舞台に、日本人でありながら馬賊の攬把(ラン…

【書評】本当の家族でない、本当の家族のような物語『博士の愛した数式』

家政婦をしているシングルマザーの主人公は新しい仕事先へ向かう。そこで出会ったのは80分しか記憶の持たない数学博士。主人公の誕生日を聞いて「友愛数だ!」というように何事も数学で頭が満たされている。数学以外はあまり興味のない博士だが、ある日主人…

【書評】事件・芸術・映画は妖精に触発される。『ワルキューレ』

特に取り柄がある訳でもない、冴えなーい若者ヒロシは、ある日突然まんまヤーさんな二人組に声をかけられる。思いっきり警戒するヒロシに向かって、ヤーさん二人組は唐突な申し出をする。「映画俳優になりたくないか?」どうして僕みたいな非モテが・・・と…

【書評】ノーベル文学賞作家による結末は読み手が考える作品『ゴドーを待ちながら』

読書中はとにかく難解で読み終わったら虚無。そんな感想を素直に持ちました。タイトルにある「ゴドー」を待っているというストーリーです。 詳しく言いますと、2人の浮浪者が良くわからない会話をしており、どこからともなく更に2人がやってきて会話に参加…

【書評】瀬尾まいこさんの描く大学生の切なく温かい物語。『掬えば手には』

主人公の梨木匠はどこにでもいる普通の大学生。平凡なことがずっと悩みだったが、中学3年のときに、エスパーのように人の心を読めるという特殊な能力に気づいた。 ところが、バイト先で出会った看護学生の常盤さんは、誰にも心を開いていないみたいで、匠は…

【書評】 私たちは傲慢であり、善良でもある。辻村深月さん作『傲慢と善良』

婚活アプリて知り合った架と真美。結婚の段取りをすすめていた2人。ある日真美は忽然と姿を消してしまう。 失踪前に真美が漏らしていたストーカーの存在。真美は事件に巻き込まれてしまったのか?架はストーカーの正体を必死で探す。 果たして真美の安否は?…

【書評】普通の生活を考える芥川賞受賞作品『コンビニ人間』

18歳でコンビニバイトを始めて、結婚や就職することなく18年の月日が流れた主人公の古倉恵子。コンビニバイトが生活の一部となり、夢の中でもレジ打ちをしている生活を送っている。そんな生活を続けていると周りや同級生からも心配され、挙句の果てには恥ず…

【書評】結婚てなんなん?『もう別れてもいいですか』

田舎に住む58歳のパート主婦のもとに友人からの喪中はがきが届くところから物語は始まる。亡くなったのは友人の夫だった。「羨ましい・・」主人公に湧き上がる感情。「この小説はミステリーなのか?」と一瞬思わせるが、その後はごくふつうの主婦が離婚を成…

【書評】結婚てなんなん?『もう別れてもいいですか』

田舎に住む58歳のパート主婦のもとに友人からの喪中はがきが届くところから物語は始まる。亡くなったのは友人の夫だった。「羨ましい・・」主人公に湧き上がる感情。「この小説はミステリーなのか?」と一瞬思わせるが、その後はごくふつうの主婦が離婚を成…

【書評】結婚てなんなん?『もう別れてもいいですか』

田舎に住む58歳のパート主婦のもとに友人からの喪中はがきが届くところから物語は始まる。亡くなったのは友人の夫だった。「羨ましい・・」主人公に湧き上がる感情。「この小説はミステリーなのか?」と一瞬思わせるが、その後はごくふつうの主婦が離婚を成…

【書評】記憶の中から、星のように美しい記憶を辿る『星を掬う』

元夫から、命の危険を感じる程のDVを受ける主人公の千鶴。千鶴は偶然にも、小さい時に自分を捨て、出ていった母 聖子の居場所を知る。頼るあてのない千鶴は、母と共に生活をすることに。そこには、母 聖子以外に、娘に逆に捨てられた彩子と、聖子をママと呼…

【書評】 今、読んでよかった。『同志少女よ、敵を撃て』

第二次世界大戦の独ソ戦を舞台にした小説で、ソ連に実在した女性だけのスナイパー部隊を描いている。ミステリー小説の新人賞であるアガサ・クリスティー賞において、初めて選考委員全員が満点をつけた大賞受賞作である。 ある日突然、故郷をドイツ軍に襲われ…

【書評】それは最悪最凶のファム・ファタール!『引擎/ENGINE』

築地署の刑事である游二(りゅうじ)は、張り込み中だった。このところ派手に稼いでいる高級外車窃盗団の、次の犯行予定を情報屋から仕入れていたのだ。今回の盗難の標的はマイバッハ。駐車場を張る游二たち。しかし、早朝の銀座の街に唐突に響いたフェラー…

【書評】世界的な大ヒットSF小説『三体』の著者劉 慈欣の最新作の翻訳本。『流浪地球』

短編小説や中編小説が何本かあるのですが、やはり個人的には「地球の自転が止まる」ということを数百年前に分かったとして、そこから人類がどうしてきたのか、どんな影響が起き、これから人類存亡のために、過去の準備を踏まえてどうするのかという設定での…

【書評】3人の視点が交互に入れ替わり、織りなすストーリー『グラスホッパー』

妻を殺された男に復讐をすべく潜入捜査中で主人公の1人である「鈴木」、ターゲットを自殺させることを生業としているが、自殺に関わった人の幻覚に悩まされる2人目の主人公の「鯨」、そしてナイフを使いで殺し屋である3人目の主人公である「蝉」の3人の視点…

【書評】3人の視点が交互に入れ替わり、織りなすストーリー『グラスホッパー』

妻を殺された男に復讐をすべく潜入捜査中で主人公の1人である「鈴木」、ターゲットを自殺させることを生業としているが、自殺に関わった人の幻覚に悩まされる2人目の主人公の「鯨」、そしてナイフを使いで殺し屋である3人目の主人公である「蝉」の3人の視点…

【書評】デビュー作にして、圧巻のクオリティ。狙撃兵として生きる道を選んだロシア少女を描いた時代小説『同志少女よ、敵を撃て』。

舞台は第二次世界大戦のソ連。年代はナチスドイツがソ連に侵攻中の1942年〜。主人公は16歳の少女・セラフィマ。悲劇が突然セラフィマを襲う。セラフィマが平和に暮らしていた、40人が暮らす小さな村を突如ドイツ軍が侵攻する。母を含む全村人が、目の前で惨…

【書評】デビュー作にして、圧巻のクオリティ。狙撃兵として生きる道を選んだロシア少女を描いた時代小説『同志少女よ、敵を撃て』。

舞台は第二次世界大戦のソ連。年代はナチスドイツがソ連に侵攻中の1942年〜。主人公は16歳の少女・セラフィマ。悲劇が突然セラフィマを襲う。セラフィマが平和に暮らしていた、40人が暮らす小さな村を突如ドイツ軍が侵攻する。母を含む全村人が、目の前で惨…

【書評】温室って居心地がいいわけじゃない。『温室デイズ』 

「社会はもっと厳しい。中学校生活なんて温室みたいなもんだ。」と先生たちはよく言う。先生や大人たちに守られた中学校という温室のなか、色々と面倒なことと戦う女子生徒の物語である。 「みんなちゃんとしようよ。まともになろうよ。」とクラスの前でみつ…

【書評】愛しすぎは病気。『愛しすぎる女たち』

人生最大の悩み = お金で買えない人間関係、という方は多いのでは。なかでも「彼を全て許し、ひたすら我慢し、情緒不安定になる、愛しすぎている女性」に焦点を当てたこの本。好きになりすぎて尽くしすぎて失恋して、、の繰り返しを悩むそこの貴女!考え方を…

【書評】むっちゃリアルな上にクソ真面目なことこの上ないロボットアニメ。『ガサラキ』

ガサラキおじさんという人種がいるらしい。この書評を書くに当たって、改めてWeb検索した際に知ったことだ。どうやら、SNS界隈でリアルロボット路線の話になると、「ガサラキはいいぞ」と言い出すのがその習わしらしい。その『ガサラキ』とは、1998年10月4日…

【書評】 伊坂幸太郎の描く本格的ミステリー『夜の国のクーパー』

著者の伊坂幸太郎さん自身が、“僕の小説の中ではもっとも本格的ミステリー度が高い自信作です。“と、称する長編ミステリー。 「僕の住む国では、ばたばたといろんなことが起きた。 戦争が終わったんだ」と人間の“私“に語りかけるのは、雄猫の“トム“。このト…

【書評】東野圭吾による現代版『罪と罰』

本小説、タイトルが秀逸。「光と影」、「昼と夜」、「白鳥とコウモリ」。そして、本作の「被害者の娘と、殺人犯の息子」。なぜ私の父が殺されなければならなかったのか、なぜ父は今回、そして過去と2度にわたり、人を殺めたのか。 警察や弁護士からは、事件…

【書評】ドライのギブソンをダブルで。『舵をとり風上に向く者』

初出が1986年。まだ、著者である矢作俊彦が、概ねに於いてハードボイルド作家として扱われていた頃合いであろう。ただ、この短編集に於いては銃にも暴力にも出番は無い。有るのは、端正な文章と、小気味の良いセリフと、上品さ、それから車だ。14作の短編た…

【書評】コンビニを舞台とした人間物語『コンビニ兄弟2  』

女子高校生の栗原が、同級生の美月にいったひと言。 「呆れるって、知ってるつもりだったひとがつかう言葉なんだって」 「知ってるつもりなだけで本質を分かっていないひとが、思い込みでそのひとを見ていたひとが、その言葉を使うんだって。そんなひとだっ…

【書評】ナンセンスから純文学まで、言語を遊び尽くす。『エロチック街道』

多作を誇る著者のこと、次はどれを読もうかとAmazonを検索。短編集ゆえこれといった選択の基準というものが特には無い為、やや迷うのであるが、決めるに当たってやはりタイトルは重要な要素だ。しかし、だからといって、そう言う意味で選んだのではないこと…

【書評】30代半ばの独身女がフリーターで何がわるい?『コンビニ人間』

主人公は30代半ばの女性。幼い頃から世間とのズレを感じてきた。大学生の頃にふと惹かれて始めたコンビニのバイト。求められていることが明確で、ルールに則れば非常に生きやすいことに気づく。マニュアル主義批判ではなく、他者とのコミュニケーションに不…

【書評】ありのままの自分で生きたくても生きれない人へ『漁港の肉子ちゃん』

とある漁港の焼肉屋で働く肉子ちゃんと、娘のキクりんの話。丸々と太って関西弁で、声の大きな肉子ちゃんは焼肉屋の看板娘。男に騙され、逃げられ、借金を背負わされてるのに、肉子ちゃんは今日も明るい。 一方キクりんは、細くて目が大きくとても可愛い。そ…