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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】 人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか。現代の抱える問題•闇について考えさせられる1冊『黄色い家』

2020年春、総菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の
記憶ーー。
黄美子と、少女たち2人と擬似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな"シノギに手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい...。
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15歳の主人公の花と、同世代の蘭、桃子。そして、年上の黄美子さんの4人は1つの家で、“生きるため“に共同生活を送るようになる。
花たちが生きるために“シノギ“に手を染め、闇に堕ちていき、身動きがとれなくなる様が読んでいてゾッ~っとした。

15歳だった花も40歳となり、花は60歳となった黄美子さんに会いにいく。ひとりぼっちだった子どもの自分を連れていってくれた黄美子さん。物語のクライマックスで2人は20年ぶりに再開する。

人はなぜ、金に狂い、罪を犯すのか。全601ページの、善と悪の境界に肉薄する1冊。
貧困•犯罪•格差•裏社会•孤独…。
現代の抱える問題•闇について考えさせられます。

本:黄色い家
作者:川上未映子
発売日:2023.02.20
メディア:文庫本(中央公論新社