HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】デザインで、ブランドの魅力を引き出すことができる。『デザインを、経営のそばに。』

デザインはビジネスに役立つ力であるが、まだまだ十分に活用されていない。この解決の為には、デザイナーがデザインの必要性や使い方を論理的に説明し、理解いただける様にする必要がある。
電通出身のアートディレクターである著者は、その様に考えて本書を執筆したのだそうだ。

マスメディアが情報の中心だったかつての時代には、費用の多寡から広告主は一部の大会社であり、商品・サービスの種類も限られていた。その様な状況に於ける広告とは、「売る」マーケティングで良かった訳だが、その後インターネットやSNSなどによって情報発信が手軽になり、小さいブランドや個人でもアピールすることが可能になった。結果、商品・サービスも増加した。発信の場も商品・サービスも多様化したのである。
商品点数が限られていたその昔ならば、棚に置けば或る程度売れたが、あらゆるものがコモディティ化した世の中では、顧客に自社の商品・サービスを知ってもらい、選んでもらうことは難しくなっている。
如何にして顧客から「好き」と思われるかが重要だが、その為には、価格や機能を謳うだけでは万全ではなくなっている。
「トップにビジョンがある」「サステナビリティに配慮している」「美しい」など、便利さや値段を追求するだけではなく、ブランドには意味が求められれている。

ブランドの語源はワインの樽や家畜などにつける焼印である。
ブランドは「らしさ」なのである。思想と世界観を指す「らしさ」には独自性と一貫性が必要だ。
そして、ブランドに関わる全員が、ブランドの思想と世界観を理解し、共創出来る状態をつくるのが、「ブランディングデザイン」だと著者は言う。
ブランドの「らしさ」を可視化し、ブランドの機能的価値と情緒的価値をたかめ、お客様にブランドを「好き」になってもらうことを目指していく。
その為のプロセスとは?
本書では、ブランドづくりに必要な考え方とプロセス一式を具体的に解説していく。
商品・サービスが多様化した現代では、画一的な手法がいつも通用する訳ではないので、幾つかの実際に自らが行なった事例も紹介している。

著者は、クリエイティブの現場からではなく、なるべく経営の上流からデザインに関わりたいと言っている。デザイナー志望の方だけでなく、経営者を含むビジネスパーソンも、如何にして商品・サービスを知って欲しいか、顧客に「好き」になってもらいたいと思っているならば、一読をお薦めする。

デザインを、経営のそばに。
作者: 八木 彩
発売日:2024年1月5日
メディア:単行本