著者は、サラリーマンを辞め、書道の仕事を始めた頃、人からバカにされたくない、少しでも格好良く見せたいという自分の無駄な自尊心やプライドが邪魔をし、人と話をする際も、自分の弱みを見せたくないために、しなくてもいい言い訳をしたり、自分の本音の部分を隠そうとしていたそうだ。
すると、親しくなりたいと思う人のことも心の底から信用できなくなり、こんなことをしたら相手にどう思われるだろうか、これを言ったら嫌われるかもしれないと思い話せなくなる。しかし、そういう思いは、相手の懐の深さを信用せずに、相手との間に壁を作り、自分が傷つかないよう自分を守ることに必死になっているからなのだという。
自分が心を開かなければ、誰も心を開いてくれず、表面上の付き合いしかできないため、虚無感だけが心に残る。また、この人にだったら心を開くと決めたら、チマチマ開いていてはダメだと著者はいう。チマチマ開くとぐちぐち終わりのない愚痴を言う人になってしまうため、関係性を築く前の段階で心をフルオープンにし、自分の全てをさらけ出すことが重要なのだそうだ。
自分をさらけ出すと、変に自分を飾らなくてすみ、本質を見透かされるかもしれないという怯えからも解放され、他の人にはない強固な信頼関係が確立する。一旦、心をフルオープンにできれば、その後のコミュニケーションは取りやすくなり、人生の中のかけがえのない唯一の人になれるのだ。
心をフルオープンにした著者は、奥さんとも長年にわたり非常に仲が良く、子供たちとも対等な頼りになる関係性が築けているそうだ。そして、今ではいわゆる書道家からアーティストとして世界中で活躍し、次々と想像もつかないような仕事が舞い込んできたり、思いもよらないような楽しい出来事ばかりの日々を過ごしているという。