石川賢のゲッターロボに続く、永井豪じゃないロボット漫画シリーズ第二弾だ。
ただし、ゲッターは元からほぼ完全に石川賢のオリジナル作品だったが、今回のマジンガーZは永井豪がオリジナル作者なのが違うところ。
おれのガキの頃。その頃は、テレビ漫画(アニメーションという単語を皆知らなかったのだ)や特撮ヒーローものなどのコミカライズを、本来の作者以外が描くことが大変多かった。
何故ならば、一般のジャンプ、サンデー、マガジン、チャンピオンの週刊・月刊漫画誌の他に、小学館の小学何年生やら、テレビマガジン、テレビランド、はたまた冒険王など、数多の少年雑誌が乱立していたからだ。
だから、ひおあきらの宇宙戦艦ヤマトとか、聖悠紀の快傑ズバット、一峰大二とか楳図かずおのウルトラマンなんてものもあった。
さて、冒険王というのは月刊誌で、かなりとんがった存在であった様に記憶している。
後に夏子の酒でヒットを飛ばす尾瀬あきらも鋼鉄ジーグを連載していたが、主人公に、「おれは真っ当な人間じゃないんだ」と言わしめ、うじうじ悩む姿を描いていてもOKだった程だ。
最初は別冊少年ジャンプで連載を始めた桜多吾作のマジンガーZは、やがて冒険王に居場所を変える。
始めの頃こそテレビ漫画のコミカライズで収まっていたのだが、次第にオリジナティが増してゆく。
特に終盤はもんのすごい。その展開はなんとも言えぬ怒涛っぷりだ。
兜甲児は、ドクターヘルの機械獣との闘いに明け暮れし過ぎた為に高校留年。
あしゅら男爵は、まんまとマジンガーZを強奪。野望を抱えドクターヘルに造反し、自らが世界の支配者になろうとする。
ピグマン子爵の心理攻撃で、頭がおかしくなった兜甲児は、エロエロ大魔王になってイケナイことをしようとみさとを追いかけ回す。
地獄島に乗り込むマジンガーZに恐慌し、無謀な命令を言い放つドクターヘルに対し、ブロッケン伯爵は愛想を尽かす。それでも自らの誇りにかけて剥き身の単身でマジンガーZに戦いを挑む(ここ、かっこいい)。そして良い感じでマジンガーを圧倒する。
突如現れたミケーネの戦闘獣との戦いでボコボコにされたマジンガーZは、地獄島と共に海中に没する。
兜甲児の運命は・・・えっ? どビックリ!
個人的には、最終エピソードの前に差し込まれた、ドクターヘルの生い立ちを描いた「戦え!!ドクターヘル」もオススメ。
桜多吾作は、続編のグレートマジンガー、UFOロボ グレンダイザーも冒険王で連作したが、世界観も共有しており、キャラクターも作品をまたいで登場しまくる。そして、どんどん悲惨化していくのだ。
グレンダイザーに至っては、とうとう主人公が地球を・・・。
こんなペシミスティックなお話を、当時どんなガキが喜んで読んでいたのだろう。
あ、おれだ。
マジンガーZ
作者:桜多吾作
発売日:1974年1月30日
メディア:単行本