著者は、自らの営業支援の経験を元に、セールスエバンジェリストとして、セールスモデルの研究、開発、講演を行なっている。
コロナ禍以降の営業環境には、三つの機会損失が挙げられる。
・つながらない
・会えない
・買ってもらえない
本書を上梓することにした発端は、2020年8月7日に、著者がnoteに投稿した「シン・セールス理論」という記事が、2022年4月時点で3万5千回ほど閲覧が有ったからだと言う。
それは、コロナ禍により商談機会が作れずに苦戦している企業が、その難し過ぎる状況を打破出来る様にと書いた記事だったが、本書を執筆するに当たり、果たして2020年の夏に書いたものの内容は、今現在にマッチしているのか? と著者の頭に疑いが浮かんだ。コロナ禍とひと口に言っても、その期間は長い。その最中にも変化は生じてきている。
そして、もう一つの疑問は、これは「営業パーソン側の一方的な理論なのではないのか」ということだった。
そこで、疑問を解消する為に著者が選んだ手法はアンケートだった。2021年11月、997名の購買者から、購買者のリアル・購買におけるファクトを収集し、現時点で通用するセールス理論を読み解く。“ベキ論”を言いたくなってもグッとガマン。購買者側の「こうしてほしい」というリアルな要望にピントを合わせることに専念したのだった。
"こうしたい"と考える営業と、お客様が"されたい"と思う営業は果たして同じであるのか?
「されたい営業」を事実ベースで実行することで「お客様にとって価値のある営業パーソン」になれる筈だ。
26の質問の内容は、「どの様な営業が望ましいか?」とか、「オンラインとオフラインはどっちが良い?」と言った類いのもので、その回答には意外に思えるものも多い。
一つの結論としては、最早オンラインかオフラインか、と言った発想では、確実に一方に於いて機会損失を免れないことが言える。
質問の回答の分析に続いては、オンラインとオフラインを混ぜ合わせた、購買者との関係作りについて解説する。
また、アンケートによって分かった恐ろしい事実。オンライン商談中に、違う業務をしていたことがあるか? という問いに、ほぼすべてでしているが18.3%、たまにしているが49.1%、合わせると実に67.4%がイエスと述べている。つまり、オンライン商談では購買者は「心離れ」を起こし易いのだ。そこで、本書ではオンライン商談時に購買者を参加させる為に、如何にして「場を創る」かの手法についても詳述している。
そのツールは、4つのキードライバーと12のディテールであると著者は言っているが、無論ここで紹介する訳にもいくまい。是非、本書を手に取ってお確かめください。
尚、本書は、BtoBを対象としたアンケートに基づく、法人営業を前提としたものとなっている。
だが、それ以外の方にとっても、世相を知ることは無駄にはなるまい。
お客様が教えてくれた「されたい」営業
作者: 今井 晶也
発売日:2022年8月5日
メディア:単行本