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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】もしかして・・・生まれ変われるかも・・・。『平成地獄ブラザーズ ハード・コア』

 

原作・狩撫麻礼、画・いましろたかしによるこの漫画は、グランドチャンピオンにて1991年から1993年に連載されたが、随分と歳月を経た2018年に、山田孝之主演・プロデュース、山下敦弘監督により映画化された。佐藤健なんかまでも出演している。
映画化のきっかけは、山田孝之から山下監督に放たれた、「『ハード・コア』って読みました?」という言葉だったらしい。

本作の映画化の発表に際し、狩撫麻礼はこうコメントしている。
いましろたかし君とコンビが組める。『ハード・コア』のすべては、そこから発想しました。最下層の男たちの世間とのギクシャク、それに尽きます。山下敦弘は良き映像作家である、と思います。映画に期待しています」
だが、その狩撫麻礼は、映画が完成する直前に亡くなってしまった。
きっと鑑賞を楽しみにしていたのだろうと思うと、残念に思う。

さて、狩撫麻礼の追悼本『漫画原作者狩撫麻礼 1979-2018 《そうだ、起ち上がれ!! GET UP . STAND UP!!》 』を読んで感化され、改めて蔵書している狩撫麻礼原作の漫画を総浚いしていた私だったが、それもワンサイクル終了。
しかし、1990年代に入ってからは、殆ど漫画を読むことがなくなっていたので、幸い未読のものはいっぱい有る。
という訳で、今更ながら単行本を購入したのであった。

しかして読んでみたこの漫画。これは・・・なかなか強烈だ。
ボロアパートのゴミ溜めの様な部屋に住み、無為な日々を過ごす社会不適合者の権藤右近。近所の廃工場に寝泊まりし、住民票も無く、失語症で知恵足らずの牛山。自分のことを”はみだし者”だと分かっている右近は、もっとヤバい牛山を不憫に思い、放ってはおけない。
有事の際には、右近に頼れる者は一人しかいない。デキの良い弟、商社マンの左近。彼も次第に二人と親密な関係へとなっていく。
底辺に生きる右近と牛山の二人。その出口が見えない生活に、やがてとんでもない変化が起きた。
廃工場の地下から現れた、謎のロボットとの出会い。
右近は、この孤独な鋼鉄男を不憫な奴と思うのだった。
「俺たちは兄弟だ・・・”平成地獄ブラザース”・・・・・・とでも宣言するか」

世間と上手く交われぬ拗ね者を描かせたら右に出る者無しの狩撫麻礼と、ヘタウマっぽいけど、間や雰囲気がいい感じのいましろたかしの絶妙な画風。
傑作じゃねーか!
只々、夢中で読み耽ってしまった。

純粋と言えば純粋、愚かと言えば愚か。
八方塞がりの人生。その清算の仕方とは?

平成地獄ブラザーズ ハード・コア
作者: 作・狩撫麻礼、画・いましろたかし
発売日:2000年10月5日
メディア:単行本