脳科学的に物事をネガティブに捉えるかポジティブに捉えるかを解き明かした本書。遺伝子的傾向や後天的な対処の仕方を指南する。
「コップに半分しか水がない」
「コップにまだ半分も水がある」
物事をネガティブに不安と恐怖をもってに捉えるのも動物的な危機回避の本能である。またポジティブに希望を持って捉え、報酬を求めて行動するのも本能である。
しかしポジティブに捉えるほうが有意に長寿命や運にも関係するのだ。そして逆境に打ち勝つ人の共通点は楽観主義者であることである。
オックスフォード大学に勤める著者がついとめた「セロトニン運搬遺伝子」。この働きにより人生を肯定的にとらえる楽観的な性格は作り出される。
しかし遺伝だけでなく、後天的にも脳は可塑化できること、も実は本書に記載があるのだ。
評者は根本はかなりの不安症なので後天的に意図してポジティブにしていく必要のある性分だと考えている。そんな私にも貴方にも、例えば、自分の感情に名前をつけて冷静に捉えることや、マインドフルネスの瞑想によるストレス耐性を鍛える事など参考にすべき記載も多いだろう。物事を自分でコントロールする感覚が幸せにつながることも。
説得力ある実験の数々に、まさに知見の海に飛び込んだかのような読後感である。
現在この分野の最新研究がどうなっているのかも興味仕切りである。
エレーヌ・フォックス著/森内薫訳
2014年7月