経営者は、新たなビジネスの種を探し続けなければ、長期的な繁栄は叶わない。その為には成長性の見込める分野に常にアンテナを張っておかなければならない。
本書は、化粧品と健康食品業界に特化したダイレクトマーケティング支援を行なってきた著者が、新たに化粧品・健康食品のD2C事業を始めたいと考えている他業種事業者に対し、業界参入へのステップを示し、解説をする為に書かれたものだ。
第1章から第6章まで、31項目のトピックス。著者がコンサルタントに就いた際にも同様の順序で見直しを進めると言うので、戸惑うことなく知識を身に付けられるだろう。
私は、特許取得のサプリメントを配合した狂ったお水『サプリメント in ウォーター MCMのめぐみ』という商品のメーカーをして13年目。どっぷりこの業界の者だ。
新規参入者ではないのだが、トレンドを知ること、その為に本書を手にした次第だ。
そういうことなので、事業を始めるに当たって必要なことのくだりはやや冗長にも思えたが、そりゃまぁ仕方がない。現在自分が行なっていることに修正や追加を施すべきものはないか、チェック項目を挙げられていると思えば良いのだ。
例えばだ。
顧客とは、自社の商品を使うことによって幸せになる人のことである。メーカー側は、機能やスペックをアピールすることよりも、商品を買うことによって顧客が受け取るものは何か、顧客ベネフィットというものを具体的に提示すべきだ。
「これがこんなに入ってて、他には無いものなんですよ」
ではなく、
「こんな良いこと起こりますよ」
とアピールしなければならない。
これはついつい陥りがちな罠だ。私自身もともすればなおざりにしてはいないかと、肝に銘じておかねばならないことだ。
そして、自身も関わっている身としては、本書がこの業界の将来性について言及していることは実に喜ばしい。背中を押されている気分がする。
「美と健康」は人にとって永遠のテーマ。このビジネスが消えて無くなることはあり得ない。むしろ女性への富の集中化、少子高齢化によるシニア層の増加は、「美と健康」への消費の伸び代を示すものだ。
安定どころか、今後益々巨大な市場を形成していくことが見込めている化粧品・健康食品のD2C事業は、参入しない理由が無いと言えるのだ。
ところで、マーケティングに関して色々な情報が飛び交っている昨今でも、意外にまだまだ「商品が出来た。ECサイトやモールに載っけたら勝手に売れる」と思っている人は結構多い様だ。
そんな話がある筈がない。
失敗しない新規参入を果たす為には、本書はきっと良いガイドブックになってくれるだろう。
まずはミッション、そしてビジョン作りから。
化粧品・健康食品EC・D2C新規参入パーフェクトガイド
作者: 山口尚大
発売日:2022年9月1日
メディア:単行本