HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】売れればOKという考え方と一線を画す。『いる接客、いらない接客』

 

本書を読んで欲しい人は、
・現場で接客の実務に携わる皆さん
・本部スタッフの皆さん
・経営者(事業の責任者)の皆さん
とのことなのだそうだ。
私は、「美味しく飲んで、健康になれるお水」という、消費財でもあり、健康食品でもあり、という一風変わった商品のメーカーの経営者である。
その販売方法は、宅配便による個別配送で無店舗小売業。いわゆる通販屋さんだ。
直接お客様候補の方へ新規営業するという機会はあまり無いのであるが、だからといって接客が不要という訳ではない。
基本的には、ウォーターサーバーを設置して継続利用していただくスタイルで、ストック型ビジネスであるので、一度商品を買っていただければそれで良し、とはいかない。お客様とは末永くご愛顧いただける関係づくりが必要なのだ。
既存顧客だからと言って、うかうかと安易に、ましてや粗雑に接する訳にはいかない。変なこと言っちゃったらば、お客様はウチの会社の品位や信頼性を疑う。お客様からの愛情を失ってしまった場合、我々は解約の憂き目に遭うのだ。
という訳だから、実店舗型の接客を主な前提として書かれていることは承知で、その精神はウチの会社でも取り入れるべき点も少なからずあるであろうと思って、私は本書を読んだのだった。

我々の住む社会に於いて、接客の機会は年を追うごとに減少している。それは実は最近のこととも言えない。
個人商店を中心としていた頃の昔々の小売では、「これはどういった商品なのか? どこで採れたものか? 消費期限は?」と、店頭でいちいち店員に一つひとつの商品について確認してからでないと買い物が出来なかった。
つまり、情報 = 接客だったのだ。
それが、1970年代のスーパーマーケットの台頭によるセルフ販売の時代になって変化が生じた。人々はわざわざ店員に確認するまでもなく食品を購入するのが当たり前になっていき、対面販売及び個人商店は減少の一途を辿っていった。
そして、インターネット時代の到来によって、情報は店に行かずとも机上で手に入る様になった。次いで、eコマースの登場によって買い物そのものが足を使わずに為せる様になったのだった。
さらに、AI技術の浸透、コロナ禍は、人が人に会うことなく、様々な用事を果たすことを加速させる。

では、接客は不要か?
確かに、ウィンドウショッピングをしている際に、にじり寄ってくる店員が煩わしい時は有る。
だが翻って、店員がなんで説明しに来ないんだよ! と思うことは 無いだろうか。そう、例えば高額製品を買うか、買わないか、買うんかーい、買わへんのかーい、そういった時とかだ。
通り一遍の情報収集はネットで = 接客不要。
商品の場所までの案内、若しくは商品配膳はロボットで = 接客不要。
決済はAI、キャッシュレスで = 接客不要。
買い物、消費行動に於いて幸福感を得るには? = 接客の出番だ。
逆の立場で物申せば、これから益々減っていくであろう接客だが、「ずっと残る接客」を研ぎ澄ますことに心を砕いていくことによって、我々はお客様に愛し続けられることとなる。
ずっと残る接客。そのポイントは、共感・共振・共有であると著者は言う。
さて、その極意は是非本書を手にしてご自身で確かめて欲しい。

時短を求めながら、一方それだけでは人は満たされることはない。
結局、人が幸せを感じるのは”人と何かを共にしたとき”だからだ。

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いる接客、いらない接客
作者:齋藤孝
発売日:2021年12月24日
メディア:単行本