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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】ブランディングの成否は「走り出す前の準備」にかかっている。『ブランディング・ファースト〈メソッド編〉』

本書は、2020年発刊の『ブランディング・ファースト』の続編なのだそうだ。広告費をかける前に「ブランド」をつくる。これが前著のサブタイトルで、数多の広告に埋もれない為に「ブランド」を構築せよ、といったものだったのだろう。
時が経ち、状況は悪化している。
コロナ禍の影響は、ファンをつくれていなかったビジネスを苦境に立たせた。また、 SDGsがビジネスの大きな道標となってきている現状では、より一層ブランディングの重要性が問わることとなる。
概念や方法論がメインとなった前著では網羅出来なかった実践・メソッドを表すのが本書である。企業がブランディングに取り組む時に、「失敗の原因になり易い要素」を徹底的に潰すことを念頭に置いて書いたと著者は言う。
その手法が「Branding DRIP Method(ブランディング・ドリップ・メソッド)」。
①「SETUP」、②「DRIP」、③「SERVE」の3つのフェーズで推進すると言うこの手法。著者は、それぞれのフェーズに於いて、どの様に進めていくのかの詳述を進めていく。
大事なのは、マネジメント層のブランディングに対する理解、インナー、つまり従業員などのスタッフも取り込めた進め方によって社内での共感を得ること、それから双方のパッション。これらを備えた上で、パーパスやビジョン、ブランドマップを整えていく。

「What」から「Why」への転換も大事だ。「何が出来る」ではなく「何故この会社でビジネスをしているのか」、「どんなブランドになりたいのか」ではなく「どんな社会にしていきたいのか」を考えることだ。
何故自社が存在するのか、社会に何を提供出来るのか、という存在価値を規定するのである。
人を共感させ、動かす力を持っているのはWhyであり、これを的確に設定することが、自ずとSDGsに繋がり、持続可能性を高める。
優れたリーダーは、「What、How、Why」ではなく、「Why、How、What」のゴールデンサークルで行動すべきなのである。
「デザイン = 見た目」ではない。「ブランド = 広告」ではないのだ。そして、心が動く体験を提供することが求められるのが現代のプロモーションなのである。

ブランディング・ファースト〈メソッド編〉
作者: 宮村 岳志
発売日:2022年5月21日
メディア:単行本