ふとしたきっかけから「お茶」を習い25年、人生の大事なことに気づいていくエッセイ。著者の森下氏が20歳からお茶を習い始めますが、最初上手くいかずやり方を聞いても教えてももらえない状況が続きます。本人も就職がうまくいかず、「お茶」での成長も感じられないので何度も辞めようと思いますが、なんだかんだで続けていきます。
そのうち茶道具、一輪挿しの花、季節ごとの和菓子、イベントなどを通じて「お茶」の良さに気づいていき、そしてある雨の日に雨音を聞きながら「いま、生きている!」という言葉にできない何かを悟ることになります。
このようなエピソードを綴りながら15しあわせに気づいていきます。例えば人と比べるではなく過去の自分と比べること、 本物を知り、いくつになっても勉強する姿勢を持つこと等。 まさにその通りだと思うしあわせが15個書かれています。
後半部分に著者の見解として 「お茶とは季節のサイクルに沿って日本人の暮らしの美学と哲学を体験させながら知ることであった」 という部分は感銘を受けました。
最近ではスマホやノイズキャンセリングイヤホンなどの登場で、季節を五感で感じる機会が減っていると個人的に感じておりますので、この本で「お茶」を学びながら日本の四季の良さを感じて頂けると嬉しいです。映画化もされてますので、そちらから見て頂いても良いかもしれません。
著者 :森下 典子
出版社:新潮社
出版日:2008年10月28日