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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】室町のイメージが変わる!『一冊でわかる室町時代』

 

室町時代といへば金閣銀閣!それ以外はぼんやりしていた。ドラマなどに取り上げられることも少なくやや知名度が劣る。しかし、本書でそのイメージは見事にひっくり返された。

南北朝時代から戦国時代までを含むと実に250年も続いた足利時代。一体何が起こっていたのか?それをざっくり知ることができる内容だ。

著者はこの時代を一言でいうと「力強い時代」という。そのベクトルは中央から地方、上層から下層と向かっていた。徐々に下剋上が起こったのもこの現れだ。

幕府が守護に力を与えないよう京に住まわせた結果、各国を実質支配した守護代をはじめさらには家臣らが力をもってのし上がっていく。かの織田信長もこの流れの中にいるわけだ。自分の好きな戦国武将はどういう流れからきているのか調べるのも面白そうだ。

各地に広がったのは政治力だけではない。一次産業の発展から商工業が活発化するなど経済も加速。文化や習慣も中央から流出し発展した。能や茶道もその一例。戦乱の世でありながらあらゆる分野の変革に力強さを感じずにはいられない。人、モノ、概念が大きく流動していたのだ。

「そういへば戦国武将ってどうやって出てきたの?」とふと気になった方には特におすすめ。室町時代の諸事情を理解するとその過程がわかりワクワク感が止まらないだろう。

いつものことだが現代の価値観でみてしまうと、兄弟、味方で繰り返される裏切り、嘘、そして殺し合いは信じがたいものがある。室町時代もそれが平常運転で、個人的には読みながら途中やや疲労を感じたことは否めない。

が、当人たちは自分たち(家)が生き残るために必死なのである。家内の争いが”この時代のデフォルト”であることを必死に想像しながら「歴史って面白い」と改めて思うのであった。