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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】戦国シリーズ1→転職武将『パワースポット『藤堂高虎』

「武士は二君に仕えず、などというのは学者のたわ言だ」最初のこの言葉は印象的でした。戦国時代に転職という言葉があったかわかりませんが、主君を七度変えて生き残ったことで知られている武将が藤堂高虎(とうどう たかとら)です。主君を会社に言い換えると現代にあてはまり、想像つきやすいです。戦国時代は弱い主君に就くと、國(くに)が滅ぼされて自分の死にも直結するから、その戦況に応じて力のある主君に変えて生き抜くのは今でも必要なスキルではないでしょうか。

当時の私は、戦国時代の武将は一人の主に仕えるのが当たり前だと思っており、七度武将を変えたのは藤堂高虎の話は衝撃的でした。そこで、手に取ったのが本書です。本書の冒頭が印象的で、下記のように書かれていました。

【あるじの仰せらるること、合点が行かなんだときは、はきとおのが考えを申しのべよ。それで浪人をしたとて、決して恥ではない。】
【武士は二君に仕えず、などというのは学者のたわ言だ】

藤堂高虎の父親である源助虎高の言葉です。自分の考えをしっかり述べて、主君から解雇されて浪人しても恥ではない、この考え方は主体性があり、軸がぶれていないので今でもよい学びになります。また、学者のたわごと、今で言えば学説やSNSでの流行り文句に惑わされないようにするのも大事ですね。

藤堂高虎は決して身分は高くなく足軽から始まったと言われています。最初に仕えたのが浅井長政です。浅井は織田信長に敗れて自害した後、高虎は阿辻貞征(あつじさだゆき)、磯野員昌(かずまさ)、津田信澄(のぶすみ)、羽柴秀長豊臣秀吉に仕えていきます。最終的に天下を治めた徳川家康に仕え、この先見の明には敬服します。晩年に高虎は「武士たるもの七度主君を変えねば武士とは言えぬ」と格言を残しています。

現代は会社勤めしなくても、個人で事業をしていくことは可能ですが、生き抜くために高虎のような先を見渡す能力は必要です。現代を生き抜くためにも参考になり、転職を考えている人にもお勧めの一冊です。

発行 2008/2/1
著者 

 

 


出版社 学陽書房