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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】平均像ではない職業別収入を徹底解剖。『あなたの人生はいくらですか?』

ユニークな本だ。
というのが、本書を手にした際のファーストインプレッション。
「50人と、5組の夫婦の人生をご紹介し、「収入」の内訳と推移を徹底解剖!」と謳っている様に、読み物、というよりデータ集といった趣きのある本書は、著者の或る想いから作成された。
「就職や転職ミスを減らしたい」
その為に、自分で人生設計が出来る様に手助けをするものを作ろう、と言う訳なのだ。

就職して3年以内に高卒者の約4割、大卒者の約3割が離職すると言う。その主たる原因は、画一的な情報から得た印象で職業を選んだ結果、業種や職種を見込み違いをしてしまう、或いは個別企業の選択ミスが発生しているからではないかと著者は推す。
その様なミスを防ぐ為には、ケース別の「収入」のあり方を詳細に表したものがあれば良い。
そういうことで、まず第1章では「個人の職業人生」を取り上げ、40種類の業種別のデータを解説している。

続く第2章では、「転職と兼業の展開」とし、例えば「会社員 → 作家」、「ホステス→ 女優」、「ミュージシャン + 天文物理学者」といった様な10種類を掲げている。
定年まで同じ会社で働き続ける男性は32%、女性は6.5%で、ならば職業生活を考えた時に触れ得ざるを得ないことだと著者は考えたのである。

最後の第3章が、「女性目線の夫婦所得」での5種類。
これは、例えば、「再婚して生きる女性(専業主婦)」や、「シングルマザーとして生きる女性」、「IT企業社長と結婚する女子アナウンサー」などなどで、婚姻率の低下、離婚率の増加はあるものの、職業生活の大半の期間を結婚して過ごす男女が国民の半数以上を占めていることから、これにも触れておくべきとのことなのだ。

主に読むべきところは、やはり第1章であろう。
その解剖っぷりは興味深い。
プロ野球選手」、「開業医」、「弁護士」、「漁師」、「大企業のサラリーマン」、「中小企業のサラリーマン」、「政治家(首相)」、「宇宙飛行士」、「お笑い芸人」、「漫画家」などを選んだ人々が、著者が仮定した職業キャリアを経た場合に於いて、何歳ごろからどのくらいの収入を得始め、何歳でこんなジャンプアップやイベントがあったとして収入がどの様に変化して、何歳で仕事を終えるか、さらには年金は何で幾ら? といった所得推移や、生涯所得も計算している。
それだけでなく、お金で換算できない価値のプラス面、マイナス面の数々。その職業に関与する有名人は誰とか、職業別の今後の課題。はたまた、関連する話題などにも触れており、金銭面だけでは測れないその仕事の全貌を読者に表そうとしている。
なるほど確かに、小中生の頃にこの様な書籍があったとすれば目を皿にして読み耽っただろう。自分が望む職業が果たして望み通りのものなのかどうか、選択すべき道であるのであるかどうか、そして自分がここに書されている様な職業キャリアを獲得出来るか否か、これらの判断に大いに役立つだろう。
試しに、今の職業に当てはめて、自らをシミュレーションしてみては如何?

あなたの人生はいくらですか?
作者: 加藤賢治
発売日:2022年3月1日
メディア:オンデマンド版