HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】恋愛とは儚いものである 『マンガで読む名著 三四郎』

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夏目漱石が画く『三四郎
普段は小説なんて、長くて読めないという方も、このマンガならきっとスラスラ読める!

物語は、三四郎が、田舎である熊本から、東京に行くため電車に乗るところからはじまる。三四郎は、今期から東京大学の生徒として、大学に通う。

勉強好きで、勉強することしか頭に無かった彼が、様々な人達と知り合い、人間関係を構築していく中で、今まで見たことなかった景色や、感情を経験することとなる。

女は苦手だと思っていた彼が、ふとしたことで恋をし、恋にのめり込まれていく。

純粋な心を持った学生が、もがき苦しみながらも、日々成長していく毎日を画いた1冊。
名前は聞いたことあるけど、読んだことは無いという方も是非1度体験してもらいたい。

きっと私達が少年だった頃を、純粋な恋愛をしていたあの頃に、少し戻ってみてはいかがだろうか?きっと、懐かしく感じることだろう。

 

マンガで読む名作 三四郎

マンガで読む名作 三四郎

 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2020/4/19-25】

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1位

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一瞬で恐怖を消す技術 ~恐怖を力に変える7つのステップ~

一瞬で恐怖を消す技術 ~恐怖を力に変える7つのステップ~

 

 

 

2位 

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幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

幸せになる勇気――自己啓発の源流「アドラー」の教えII

 

 

 

3位

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職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

 

 

 

4位

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5位

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6位

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7位

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8位 

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9位

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10位 

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【書評】あなたは子どもを「殺して」いませんか?親殺しには、子殺しが先行しているのです。『親殺し』

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実際にあった9件の親殺し事件を題材にした、「親殺しには子殺しが先行している」というテーマの本である。
9つの事件の主な要因を、「教育家族」、「離婚」、「対人関係」の三つに区別し、仏典に描かれた阿闍世の親殺し事件をも手がかりに、親のあり方や救済について考える。

どの事件も、マスメディアの報道によって概要だけを知ると、ただひたすらに酷く、親を殺す無情な子供の姿しか浮かび上がってはこない。大半の人はそう認識しているだろう。
けれど、本当にそうだろうか。この世に生まれてきて、何の理由もなく親を殺す子供がいるだろうか。

親殺しの前に、先に子供が親によって殺されていると、この本の著者は言っている。心が殺されてしまっている。本来ならば、この世でどんなことがあろうとも、唯一のよりどころになってあげるべき親が、子供を殺し、そして子供に殺される。これは誰もが他人事とは言い切れないはずだ。

本書の中で、菅原哲夫氏の「隣る人」という表現が出てくる。
子供は自分の内部に「隣る人」という絶対的な信頼の対象の存在を感じることができるなら、「一人になれる」。子供は一人ではないから、本当の意味で一人になれる。危機において自暴自棄に陥ることなく、粘り強く自らを支えることができる。
  
これらの事件の加害者である子供たちがもし、「隣る人」に値する大人に出会うことができていたらと、強く思わずにはいられない。そしてあなたも今一度、よく考えて欲しい。あなたは子どもを殺していませんか? 

 

親殺し

親殺し

  • 作者:芹沢 俊介
  • 発売日: 2008/09/29
  • メディア: 単行本
 

 

【書評】未完全でも、不完全でも、現状が嫌いでもいい。大いに動いてください。揺れてください。『僕たちは美しく生きていけるのだろうか。』

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生きていくうえで大切なのは、ただ単に美しく見えるということだけではなく、「美を生きる」ということ。
そのことを常に心の片隅に置きさえすれば、自分を見失ってしまうということにはならないでしょう。

「美を生きる」ことさえできれば、呼吸する一瞬一瞬は福音となります。見るもの全てが意味深いものとなる。行き交う人に、笑顔で接することができるようになる。

そしてそのためには、自分の美意識のホームグラウンドには必ずしも適合しないものにも、喜んで飛び込んでいく。
とらわれることなく、与えられた状況を受け入れて、自分の中の「子ども」がはしゃぎだすことを許してあげる。
そのような人にこそ、「いつまでも若々しく」という称号はふさわしいのです。

生きていくうえでの注意点として、自分に欠けているものをめぐって、同じところをぐるぐる回ってはいけないと著者は言います。
自分に欠けているものを補ってくれるものが、この広い世界には必ずある。
そう信じて、動けばいい。一歩踏み出せばいい。
自分というジグソーパズルに欠けている「ピース」を探して世界を旅する人の姿は美しいのです。そしてそんな人の人生の先には、偶然に出会う幸運が待っています。

若いということは、つまりはぎこちないということなのではないでしょうか。あまり分かってしまっては、生きるということの新鮮さが失われます。
「どうなるのかわからない」という偶有性が失われる。
恥ずかしくてもいい。
むしろ赤面するくらい恥ずかしいことこそが、人生の深い喜びなのではないでしょうか。

 

僕たちは美しく生きていけるのだろうか。

僕たちは美しく生きていけるのだろうか。

 

 

【書評】意識を抱え、二本足で立って生きるという作業自体が、基本的に病んでいるのです。それに自覚的な人と、あまり自覚的でない人がいるだけです。『村上さんのところ』

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本書では大人気作家である著者が、17日間にわたって寄せられた約4万通のメールを読みきり、そこから選ばれた473通への質問に答えたものが収録されています。真剣に人生に悩む若者への心温まる回答もあれば、おもわず笑ってしまうようなものまで。著者の人柄が実によく表れています。
そんな名回答の中から、ここでは評者がとくに気に入った回答を少しだけ紹介します。

例えば、早稲田の学生からの、飲食店をやっていて、「これは一番大切にしてたなあ」と今振り返って思う哲学はありますか?という質問。(著者が大学在学中からジャズバーを営んでいたというのは有名な話です。)
お客の全員に気に入られなくてもかまわない、というのが著者の哲学だったそう。店に来た十人のうち三人が気に入ってくれればいい。「また来よう」と思ってくれればいい。それで店って成り立つそうです。そしてそれは小説も同じことだとか。十人のうち三人が気に入ってくれればいい。そのうちの一人がまた読もうと思ってくれればいい。それが著書の基本的な考え方だそうです。そう考えると、気持ちが楽になりますよね。好きに好きなことができる。

次に話の長い人の話を短くするにはどうしたらいいでしょうか?という質問。
これにはばっさりと、話の長い人の話を短くすることは不可能だと回答。
あれは不治の病なんだとか。死ぬまで治らない。著者もよく「退屈な人って、自分に退屈しないのかな?」と思うけど、ぜったいにしないそうです。
「退屈さには神々も旗を巻く」とニーチェも言っています。神様でさえかなわないんだから、私たちに勝てるわけはありません。

そして人生に悩む高校生への回答。
著者は基本的に、人生とはただの入れ物だと思っているそうです。空っぽのかばんみたいなもの。そこに何を入れていくか(何を入れていかないか)はあくまで本人次第です。だから「入れ物とは何か?」みたいなことを考え込むよりは、「そこに何を入れるか?」ということを考えていった方がいいんだとか。
「最低限の勉強と世間体」をいちおうお義理に入れておいて、あとは適当にやっていけばいいんです。よく探せば、私たちのまわりに、自分のかばんの中に入れたくなるような素敵なものがいくつかみつかるはずです。

著者はこの山のような質問に答えていくという仕事をして、世の中には嵩(かさ)が大事な意味を持つものごとがあるんだな、ということをつくづく実感したそうです。
どっと嵩を積み上げて、それを実際に目にして手で触って、「ああ、そうか、僕がやりたかったのはこういうことだったんだな」とやっと腑に落ちる。目に見えて手で触れられることってすごく大事なのかもしれません。

ぜひこの膨大な著者の回答の中から、あなたのお気に入りを見つけてみてください。何かひとつでもあなたの生きていく上での糧となるものがあるかもしれません。
そして著者の言葉は心の悩みだけでなく身体の悩みにも効きます。
「規則正しく生きることが、たいていの悩みを解決する」と著者は結論付けています。騙されたと思って、あなたも実践してみてはどうでしょうか。 

 

村上さんのところ コンプリート版

村上さんのところ コンプリート版

 

 

【書評】人が想像できることは、すべて実現できる『宇宙に命はあるのか 人類が旅した一千億分の八』

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想像してみよう。遠くの世界のことを。
想像してみよう。あなたは火星の赤い大地に立ち、青い夕日が沈むのを見ている。
想像してみよう。あなたは宇宙船の窓から「星月夜」の絵のような木星の渦を間近に見下ろしている。

地球に生命が誕生したのはおよそ40億年前ということがわかっている。
だが、どうやって生まれたのかはわからない。そして我々は地球以外の生命をまだ1つも知らない。我々は40億年の孤独の中にある。

イマジネーションとはウイルスのようなものだ。ウイルスは自分では動くことも呼吸をすることもできない。他の生物に感染し、宿主の体を利用することで自己複製して拡散する。イマジネーションも、それ自体には物理的な力も、経済的な力も、政治的な力もない。しかしそれは科学者や、技術者や、小説家や、芸術家や、商人や、独裁者や、政治家や、一般大衆の心に感染し彼ら彼女らの夢や、好奇心や、創造性や、功名心や、欲や、野望や、打算や、願いを巧みに利用しながら自己複製し、増殖し、人から人へと拡がり、そして実現するのである。

こんな逸話がある。1962年、ケネディー大統領がNASAを訪れた時、廊下にホウキを持った清掃員がいた。ケネディーは視察を中断して話しかけた。
「あなたは何の仕事をしているのですか?」
彼は胸を張って誇らしげに答えた。
「大統領、私は人類を月に送るのを手伝っています!」
なぜアポロが月に行けたのか?その鍵は、政治家の名演説よりもむしろ、現場の技術者の創造性の中にあるのではなかろうか?月を歩いた12人の宇宙飛行士の華やかな活躍よりもむしろ、無名の40万人の泥臭い努力の中にあるのではなかろうか?

もしかしたら現代は、人々がイマジネーションを働かせる余裕に乏しい時代かもしれない。テレビやインターネットやスマホが片時も休むことなく情報を吐き出す。自分から頭を働かせなくとも、生活空間はほんの小さな隙間すら情報で埋め尽くされる。旅先の静かな夜や待ち合わせに遅れた恋人を待つ甘い時間さえ、スマホは余念無く我々の心を情報の鎖で縛り、イマジネーションを働かせる自由を奪う。

イマジネーションは見たことのないものを想像する力だ。
常識の外に可能性を見出す力だ。翼を持たぬ人間が青い空を見上げて飛ぶことを夢見る力だ。目には今存在するものしか映らない。だが、目を瞑り、常識から耳を塞ぎ、代わりに想像力の目をイマジネーションの世界へ向けて開けば、今ないものを見ることができる。現在だけではなく未来も見ることができる。

 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2020/4/12-18】

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1位

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レバレッジ・リーディング

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2位

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一瞬で恐怖を消す技術 ~恐怖を力に変える7つのステップ~

一瞬で恐怖を消す技術 ~恐怖を力に変える7つのステップ~

 

 

3位

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「いいね」を購入につなげる 短パン社長の稼ぎ方

「いいね」を購入につなげる 短パン社長の稼ぎ方

 

 

 

4位

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5位 

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6位 

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7位

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8位

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9位

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10位 

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【書評】生きることからなにを期待するかではなく、生きることがわたしたちからなにを期待しているかが問題だ。本当の自由とは何か。『夜と霧』

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著者は悪名高いアウシュビッツとその支所に収容されるが、想像も及ばぬ苛酷な環境を生き抜き、ついに解放される。家族は収容所で命を落とし、たった1人残されての生還だった。

著者は学者として、極限におかれた人々の心理状態を分析する。なぜ監督官たちは人間を虫けらのように扱って平気でいられるのか、被収容者たちはどうやって精神の平衡を保ち、または崩壊させてゆくのか。こうした問いを突きつめてゆくうち、著者の思索は人間存在そのものにまで及ぶ。

あるとき、著書の中である思いが貫いた。
愛は人が人として到達できる究極にして最高のものだ、という真実。人は愛により、愛の中へと救われるということ。人はこの世にもはや何も残されていなくても、心の奥底で愛する人の面影に思いを凝らせば、ほんのいっときにせよ至福の境地になれるということを、著者は理解したそうだ。

強制収容所に収容された人々は、まっとうに苦しむことは、それだけでもう精神的になにごとかを成し遂げることだ、ということを証明していた。最後の瞬間まで誰も奪うことのできない人間の精神的自由は、彼らが最後の息をひきとるまで、その生を意味深いものにした。強制収容所での生のような、仕事に真価を発揮する機会も、体験に値すべきことを体験する機会も皆無の生にも、意味はあるのだ。その可能性は、彼らの覚悟というただ一点にかかっていた。

著者のヴィクトール・E・フランクルは、1905年、ウィーンに生まれた。ウィーン大学在学中にアドラーフロイトに師事し、精神医学を学んだ。ナチスにより強制収容所に送られた体験を戦後間もなく本書に記した。人間が存在することの意味への意志を重視し、心理療法に活かすという独自の理論を展開した。

自由というのは結局のところ、心のありよう次第だと、著者は言いたかったのかもしれない。そしてそれを獲得するには覚悟だけが必要なのだ、と。
現状に対して、どのような覚悟をもつかという自由はどんな人にも、常に与えられているのだ。

 

夜と霧 新版

夜と霧 新版

 

 

【書評】本当に自分にとって興味のあることだけを自分の力で深く掘り下げるように努力をし、それ以外のジャンクはジョークとしてスキップしちゃうわけである。『職業としての小説家』

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著者は自分のことをどこにでもいるごく普通の人間だと語る。実際、日常生活の中で自分が作家だと意識することはほとんどないそうだ。たまたま小説を書くために必要な資質を少し持ち合わせていて、人より頑固な性格に助けられ、こうして職業的小説家として小説を書き続けている。そしてその事実にいまだに自分自身が驚かされると言う。その驚きをできるだけピュアなままに保ちたいという強い思いを持っているそうだ。著者の職業的作家としての人生は結局のところ、その驚きを持続させるためにあるのかもしれない。

私たち人間は生きていく過程であまりに多くのものごとを抱え込んでしまっている。なによりもまず出発点として、「自分に何かを加算していく」よりはむしろ「自分から何かをマイナスしていく」という作業が必要とされる。そして、何が必要で何がそれほど必要でないかを見極めていくためには、「それをしているとき、あなたは楽しい気持ちになれますか?」というのがひとつの基準となる。もしあなたが何か自分にとって重要だと思える行為に従事していて、もしそこに自然発生的な楽しさや喜びを見出すことができなければ、それをやりながら胸がわくわくしてこなければ、そこには何か間違ったもの、不調和なものがあるということになりそうだと著者は語る。

著者は学校というものが苦手だったそう。学校について考えると、あまり良い思い出はなく、むしろ首筋がむず痒くなってくるそうだ。
もし人間を「犬的人格」と「猫的人格」に分類するなら、著者自身はほぼ完全に猫的人格になると言う。「右を向け」と言われたらつい左を向いてしまう傾向がある。しかし日本の教育システムは共同体の役に立つ「犬的人格」をつくることを、ときにはそれを超えて団体丸ごと目的地まで導かれる「羊的人格」をつくることを目的としているようにさえ見えるそうだ。

著者は日本の教育システムに疑問を感じている。過去はどうあれ、私たちのこれからの行き先はもう、単一の視野では捉えきれないものになってしまっている。社会の勢いが失われ、閉塞感のようなものがあちこちに生まれてきたとき、それが最も顕著に現れ、最も強い作用を及ぼすのは教育の場だ。そしてそういう「逃げ場の不足した」社会がもたらす教育現場の問題に対して、私たちは何とか新たな解決方法を見つけることのできそうな場所をどこかにこしらえる必要がある。一人ひとりがそこで自由に手足を伸ばし、ゆっくりと呼吸できるスペース。制度、ヒエラルキー、効率、いじめ。そんなものから離れられる、暖かな一時的避難場所。誰でもそこに自由に入っていけるし、そこから自由に出て行くことができる。そのどのあたりにポジションをとるかは、一人ひとりの裁量にまかされている。そんな場所が必要だ。
そしてこれってまさしくHIUのことではないだろうか?と、評者は思ってしまった。

評者は著者の作品に幾度となく救われてきたように感じる。具体的に何がどう役にたったと語ることは難しい。著者の言う、暖かな一時的避難場所が評者にとってのそれだったのかもしれない。答えを求められることもなく、自らの意思で、自由に選択でき、自由に好きに生きられる世界。そしてこれからの時代を生きる人にとって、HIUのようにオンラインサロンなどがそれに取って代わっていくのかもしれない。

ものごとを自分の観点からばかり眺めていると、どうしても世界がぐつぐつと煮詰まってしまう。身体がこわばり、フットワークが重くなり、うまく身動きがとれなくなってくる。でも自分という存在を何か別の体系に託せるようになると、世界はより立体性と柔軟性を帯びてくる。何か別の体系というのは、著者にとっては読書であり、ある人にとってはスポーツだったり、別のある人にとってはゲームだったりするかもしれない。そしてこれは人がこの世界を生きていく上で、とても大事な意味を持つ姿勢であるはずだ。そのためにはまずは、自分にとっての本当に必要なものは何か見極めていくことが必要なのかもしれない。

 

職業としての小説家 (新潮文庫)

職業としての小説家 (新潮文庫)

 

 

【書評】自分に素直に生きるには『~彼女がたどり着いた愛すべき仕事たち~これが私の生きる道!』

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本書では、自分の好きなことに夢中になることで、様々な職業を自ら作り出し、結果として自分らしく働いている33人のストーリーが綴られている。

その具体的な内容は、33人のそれぞれの仕事を始めたきっかけ、好きを仕事にしていった経緯、その仕事の内容、サラリーマン時代の話、退職、さらには、今後新たに仕事を始めたい人へのアドバイスまで掲載されている。

また、本書に登場する人とは、「銭湯図解」というものを自ら作り、銭湯の良さを紹介するイラストレーターや、スパイスカレーに魅せられた人、書籍をPRする「本しゃべりすと」、欠かすことのできない3つの異なる本業を持つ人など様々だ。

これらは、なかなか世の中では知られていない職業なだけに、苦労した事も人一倍あるようだが、自分の好きなこと、夢中になったこと、必要になったことが仕事になっているため、苦労以上に楽しみが多いようだ。

さらに本書の特徴は、33人の仕事やその思いと共に、多くの写真で構成されているところだ。その印象は誰もが笑顔で溢れている。自分の好きなことに夢中になると、自然と誰でも笑顔になるものだ。自分の好きなことを紹介するその姿は、とても楽しそうであり、読者側も思わず微笑んでしまう。

自分の人生を楽しく過ごすのも、嫌々過ごすのもその人次第である。男女問わず、誰もが年齢や老化を気にするが、常に自分の満足の行くこと、楽しいこと、好きなことををして日々過ごしていれば、特に何もしなくても、常に若くあり続けられる。

また、自分の新たなる挑戦は、ほどよいストレスを受けつつもそれが成長となり、自信となっていく。好きなことに夢中で挑戦する人は、誰しも魅力的な人なのだ。