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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】吉田修一『国宝(上) 青春篇』 - 挑戦と成長の物語

皆さんこんにちは。吉田修一の『国宝(上) 青春篇』は、歌舞伎という伝統芸能の世界を背景に繰り広げられる、若き歌舞伎役者・喜久雄の成長物語です。物語は長崎でのヤクザたちの新年会で組長が亡くなる事件から始まります。この事件で父を失った主人公・喜久雄は、その場に居合わせた人気歌舞伎役者・花井半二郎の元で面倒を見てもらうことになり、彼のもとで歌舞伎役者としての厳しい修行を積むことになります。

喜久雄は才能を開花させ、半二郎が怪我で舞台に立てなくなった際、彼の代役として選ばれます。しかし、この出来事がきっかけで、半二郎の実子である俊介が行方不明になるという大きな転換点を迎えます。その後、喜久雄にも不遇の時期が訪れ、半二郎の死去や支えてくれた梅木社長の失脚など、彼を取り巻く環境が一変します。

この物語は、喜久雄がどのようにして自己のアイデンティティを確立し、逆境を乗り越えるかを描いています。10年ぶりに俊介との再会を果たした喜久雄が、「ここから這い上がるんだ」と決意を新たにするシーンは、彼の精神的な成長が大いに感じられる瞬間でした。

まだ読んでいませんが、『国宝(下) 花道篇』では、襲名を終えた三代目半二郎としての喜久雄が再び歌舞伎界のスターダムを駆け上がる姿を期待します。彼のこれからの旅は、まさに「這い上がる」物語の具現化となるでしょう。