生きていくうえで大切なのは、ただ単に美しく見えるということだけではなく、「美を生きる」ということ。
そのことを常に心の片隅に置きさえすれば、自分を見失ってしまうということにはならないでしょう。
「美を生きる」ことさえできれば、呼吸する一瞬一瞬は福音となります。見るもの全てが意味深いものとなる。行き交う人に、笑顔で接することができるようになる。
そしてそのためには、自分の美意識のホームグラウンドには必ずしも適合しないものにも、喜んで飛び込んでいく。
とらわれることなく、与えられた状況を受け入れて、自分の中の「子ども」がはしゃぎだすことを許してあげる。
そのような人にこそ、「いつまでも若々しく」という称号はふさわしいのです。
生きていくうえでの注意点として、自分に欠けているものをめぐって、同じところをぐるぐる回ってはいけないと著者は言います。
自分に欠けているものを補ってくれるものが、この広い世界には必ずある。
そう信じて、動けばいい。一歩踏み出せばいい。
自分というジグソーパズルに欠けている「ピース」を探して世界を旅する人の姿は美しいのです。そしてそんな人の人生の先には、偶然に出会う幸運が待っています。
若いということは、つまりはぎこちないということなのではないでしょうか。あまり分かってしまっては、生きるということの新鮮さが失われます。
「どうなるのかわからない」という偶有性が失われる。
恥ずかしくてもいい。
むしろ赤面するくらい恥ずかしいことこそが、人生の深い喜びなのではないでしょうか。