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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】意識を抱え、二本足で立って生きるという作業自体が、基本的に病んでいるのです。それに自覚的な人と、あまり自覚的でない人がいるだけです。『村上さんのところ』

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本書では大人気作家である著者が、17日間にわたって寄せられた約4万通のメールを読みきり、そこから選ばれた473通への質問に答えたものが収録されています。真剣に人生に悩む若者への心温まる回答もあれば、おもわず笑ってしまうようなものまで。著者の人柄が実によく表れています。
そんな名回答の中から、ここでは評者がとくに気に入った回答を少しだけ紹介します。

例えば、早稲田の学生からの、飲食店をやっていて、「これは一番大切にしてたなあ」と今振り返って思う哲学はありますか?という質問。(著者が大学在学中からジャズバーを営んでいたというのは有名な話です。)
お客の全員に気に入られなくてもかまわない、というのが著者の哲学だったそう。店に来た十人のうち三人が気に入ってくれればいい。「また来よう」と思ってくれればいい。それで店って成り立つそうです。そしてそれは小説も同じことだとか。十人のうち三人が気に入ってくれればいい。そのうちの一人がまた読もうと思ってくれればいい。それが著書の基本的な考え方だそうです。そう考えると、気持ちが楽になりますよね。好きに好きなことができる。

次に話の長い人の話を短くするにはどうしたらいいでしょうか?という質問。
これにはばっさりと、話の長い人の話を短くすることは不可能だと回答。
あれは不治の病なんだとか。死ぬまで治らない。著者もよく「退屈な人って、自分に退屈しないのかな?」と思うけど、ぜったいにしないそうです。
「退屈さには神々も旗を巻く」とニーチェも言っています。神様でさえかなわないんだから、私たちに勝てるわけはありません。

そして人生に悩む高校生への回答。
著者は基本的に、人生とはただの入れ物だと思っているそうです。空っぽのかばんみたいなもの。そこに何を入れていくか(何を入れていかないか)はあくまで本人次第です。だから「入れ物とは何か?」みたいなことを考え込むよりは、「そこに何を入れるか?」ということを考えていった方がいいんだとか。
「最低限の勉強と世間体」をいちおうお義理に入れておいて、あとは適当にやっていけばいいんです。よく探せば、私たちのまわりに、自分のかばんの中に入れたくなるような素敵なものがいくつかみつかるはずです。

著者はこの山のような質問に答えていくという仕事をして、世の中には嵩(かさ)が大事な意味を持つものごとがあるんだな、ということをつくづく実感したそうです。
どっと嵩を積み上げて、それを実際に目にして手で触って、「ああ、そうか、僕がやりたかったのはこういうことだったんだな」とやっと腑に落ちる。目に見えて手で触れられることってすごく大事なのかもしれません。

ぜひこの膨大な著者の回答の中から、あなたのお気に入りを見つけてみてください。何かひとつでもあなたの生きていく上での糧となるものがあるかもしれません。
そして著者の言葉は心の悩みだけでなく身体の悩みにも効きます。
「規則正しく生きることが、たいていの悩みを解決する」と著者は結論付けています。騙されたと思って、あなたも実践してみてはどうでしょうか。 

 

村上さんのところ コンプリート版

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