著者は、フランスの原子力庁で研究者として勤務し、またMENSAの会員になることにより世界中の多くの「頭のいい人」たちと出会った。世界に通用する頭のいい人は、どんな人で、どんなことを心がけているのか。またそのような人のようになるには、どうしたらいいのか。著者の専門でもある脳科学の分野から見ても理にかなっている彼らの行動はどのようなものなのか。
本書で紹介する頭のいい人の一人は、爵位を持ち20カ国語を操り、大学で言語学を教えるイタリア系ユダヤ人。そんな肩書きとは裏腹に、幼い頃から恵まれず過酷な時代を送った。また、自由にできる財産はないのに、継ぐべきものを狙う人から身を守る苦労が絶えなかったそうだ。周りには誰も味方がいなく、心が折れそうな時も負けない心を持つことができたのは、世界中の多くの本があったから。
良い先生や上司、尊敬できる人に恵まれることは稀であり、誰も味方がいなく一人で悩みを抱えながら過ごすことになったとしても本を読めば、生きる指針や、前向きに生きるコツ、また友達さえもその中から見つけることができると、彼はある教師から教わった。いつでも好きな時に、好きな分野を自分のペースで読むことができ、新しい世界を知ることができる本のおかげで、たった一人でも強い意志を保ち続けることができたそうだ。
著者が感じた世界に通用する頭のいい人は、ただ秀才というのではなく、逆境も自分の味方にして生き抜いていくことであり、それは特に日本人には欠けていると感じたそうだ。しかしそれは、頭の良し悪しではなく、意識を変えるだけで誰でも習得でき、また世界で通用するスキルは、日本でも通用するはずだと考え本書が作られた。著者によると本書は、世界基準の自分を目指す人が自らを磨くために楽しめる本なのだという。