年中短パンがトレードマーク。
洋服を店頭ではなく、SNS限定で販売して大成功を収めている「短パン社長」こと奥ノ谷 圭祐氏。更にアパレルにとどまらず、カレーやビールの販売も好評を得るなどアパレル業界の常識を打ち砕き続けている。本書は自身のファンをつくり購買につなげた、短パン社長独自の考え方を明かしている。
短パン社長の基本の考え方は、お客さんと友達のような関係性をつくること。
「楽しませたい 喜ばせたい 役に立ちたい 売るより先に、根底にこういう思いがあった。その上での、「売れたらいいな」です。」
殆どのビジネスは売ることが目的で、「お役に立ちたい」を建前で覆っている。
綺麗事でもなんでもなく、お客さんのためになることをしているから、信頼を得て、次につながる。
さらに、アパレルにとどまらず田植えやフェスにまでビジネスを広げている理由も短パン社長ならでは。「自分の好きなもので、誰かを楽しませたり、喜ばせたりできないか考えてみること。これが大事。」
業界の常識の枠を外して、ひたすら相手を喜ばせることを考えていたら勝手にビジネスが広がったのだ。
そしてそんな短パン社長には似たような経営者も集まる。そのエピソードも面白いのでぜひ本書で読んでほしい。
本書は販売やSNSでの発信に悩む人だけでなく、好きなことを見つけたい・発信したいと思っている人にもぜひ手にとってほしい本だ。
ビジネスに於いてファンをつけて価値を上げ、信頼を稼ぐことは『ファンベース』(さとうなおゆき著)『革命のファンファーレ』(西野亮廣著)などでも同様に提唱されていることで、これからのビジネスの根底の考え方として、身につけるべき考え方だろう。
本書には短パン社長の思いやりややさしさが溢れている。
「人を楽しませたい、喜ばせたい、役に立ちたい」そういうGive&Giveをずっと繰り返してきた人だから、ファンがついて購入につながる。でもそれを決して特別なことだとは思わせない。本当は誰にでもできるはずなのだと、やさしく背中を押してくれる1冊だ。