HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】欲望による破綻から抜け出そう。『お金の真理』

 

f:id:SyohyouBlog:20200716101926j:plain

「秒速で1億円稼ぐ男」「ネオヒルズ族」と騒がれた時代の寵児から、法人税滞納で無一文へと転落。地獄の底から這い上がり、再び莫大な資産を築き上げた著者による、「お金」の哲学についての著書。ウィズコロナの世界で、私たちはどうお金と付き合うべきか、酸いも甘いも経験した著者が、自身の過去の失敗談を基に私たちに一つの指針を示してくれます。

お金を作る、増やすためには、前提としてお金を「守る」ことが重要になります。しかし、著者は巷でよく言われる紋切り型の「節約バカ」になってはいけないと説きます。一般的には余計な支出と呼ばれる類のものであっても、自らの心が満たされている状態を常に作るための最低限度の支出と評価できるのであれば、支出を惜しむべきではありません。

その上で、目の前の物事に対し、直感でアタリを付けて、小さなテスト(小さい金額でのテスト)を繰り返し、成功と失敗の経験を積み上げていくことが重要になります。著者は、小さな成功を喜べる人でなければ、最終的な大きな成功を掴むことは難しいといいます。

“「タワマン高層階」「LINE交換」「港区女子」は有害無益” など、過去に著者を誘惑し、破滅に導く一因となった諸々の誘惑から距離を取るよう警鐘するなど、必ずしも全ての読者に当てはまる内容ではない箇所もあり、また、それほど目新しい情報が記載されているわけではありませんが、「お金」に邪魔されず成功したいと考える人にとって、普遍的かつ合理的な内容が詰まっています。

ふと誘惑に流されそうになった時、改めて読み返したいと思える一冊です。 

お金の真理

お金の真理

 

 

【書評】知ってますか?出世のルールは2度変わりますよ。『出世する人は人事評価を気にしない』

f:id:SyohyouBlog:20200716101710j:plain

みなさん、会社や組織で働いていたら「何であの人が上司なんだろう?」と思うことはありませんか。それは、みなさんと上司で組織内での評価基準が違うからかもしれません。この本を読めば、出世と評価基準の関係(出世のルール)が簡単に理解できます。そして、なぜ?「出世する人は人事評価を気にしない」のか分かります。

一般社員は卒業基準。求められている業務を理解して「早く、正確に、沢山」取り組む。管理職は入学基準。1つ、2つ上の役職なら、どのように判断、行動するか常に考えて取り組む。経営職は視点を高く、全体最適で考え、自分自身で判断して取り組む。つながる力と質問力が重要。このように説明されており、出世のルールが2度変わることが理解できて勉強になった。

また、"子会社に飛ばされた同期が上司になった日"という衝撃的な見出しで始まる小説パートがあります。営業部所属で上司の言う事は絶対服従。運動部出身で24時間戦えます!という課長の金剛。自称同期ナンバーワンで成果を出ているが、実は取締役からは時期部長にはふさわしくと判断されていることを上司から告げられる。そこから金剛は、どのように変わるのか?。自分と重ね合わせて楽しめる。

組織の評価やキャリアに関して悩んでいる方は必読。私も3年に1回くらいの頻度で読み返してます。

 

 

【書評】ドジで間抜けなのび太くんは人生の勝ち組!?『「のび太」という生き方』

f:id:SyohyouBlog:20200716101545j:plain

失敗ばかりののび太くんがドラえもんや周囲の助けもありながら人生の勝ち組になっていく方法を学ぶことの出来る著書です。

印象に残ったエピソードとして『のび太と夢幻三剣士』
このエピソードではのび太くんが不老不死目前までいくが、彼はその為に竜を殺すことをよしとしない優しさと強さを見せています。
彼のように、欲に振り回されずに大事なものを見失わない強さを持つことが大切なことだと思います。

もう一つのエピソードとして『のび太と雲の王国』も印象的です。
''夢をただ頭の中でぼんやり考えるだけでなく、声に出して自己宣言していること。''
このエピソードでは目標を宣言して他者からもはっきり認識できるようにすることで、夢を実現するのび太くんの姿を見れます。
彼のように例え周囲に笑われようと、声高に自己宣言して目標に対してガムシャラに突き進む強さが大事だと思います。

この本を書いた著者は『ドラえもん学』という学問を提唱した人物で、ドラえもん関連の書籍を複数出版しています。

今こそ漫画から生き方を学び、生活を豊かにしましょう! 

 

「のび太」という生きかた

「のび太」という生きかた

 

 

【書評】大人になったはずの自分へ『14歳の君へ』

f:id:SyohyouBlog:20200716101351j:plain

14歳の君へ。
人間とは良く分からないね。なぜ生まれたかも、なぜ死ぬのかも、良く分からないね。
だけど、生まれたからには生きなきゃいけないね。
だけど、どう生きればいいのかなんて、全然分からないよね。

著者は優しい口調で語りかける。中学生に向けて書かれた本だが、読んで感動したのは20代の男性である。この本は本当に14歳に向けて書かれたものだろうか。

いいかい。生きている者は必ず死ぬ。しかしその「死ぬ」とはどういうことなのか、これもまた生きている者には絶対に分からない。なぜなら、生きている者は生きているからだ。生きている者に死ぬとはどういうことなのか、死ぬまで分かる訳がないじゃないか。

だけど、死があっての生ならば、生があっての死なのだ。人は必ず死ぬという事実から逃げてごまかしながら生きていけるのだろうか。この事実から目を背けて面白おかしく生きていく。これで生きていけるのか。

読めば読むほど自分の中にいた14歳の自分の目が輝く。
まだ自分はこの世界のことを何も知らない。けど、この世界のことをもっと知りたい。
これ以上私の安っぽい言葉を綴るとこの本の品位が下がるのでこれまでにしておく。
最後にあとがきの一文を紹介する。
『受験の役に立ちませんが、人生の役には必ず立ちます。』

 

14歳の君へ―どう考えどう生きるか

14歳の君へ―どう考えどう生きるか

  • 作者:池田 晶子
  • 発売日: 2006/12/23
  • メディア: 単行本
 

 

【書評】それは正しい胸の痛みであり、正しい息苦しさだった。『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

f:id:SyohyouBlog:20200716101047j:plain

大学二年生の頃、多崎つくるはほとんど死ぬことだけを考えて生きていた。

きっかけははっきりしている。彼はそれまで長く親密に交際していた四人の友人たちからある時、唐突に絶縁を突きつけられた。理由も告げられずに。

あのとき死んでおけばよかったのかもしれない。今でも、多崎つくるはよく考える。

16年が経過した今、ようやく多崎つくるは真相を知るために動き始める。あの頃、彼らに一体何があったのか。名古屋、フィンランドへと友人を訪ね始める。

そして真相が少しずつ明かされ、つくるは自分でも気づかなかった胸の奥深くの痛みに気付く。けれど、それは彼がしっかり感じなくてはならないものだった。

その冷ややかな芯を、つくるはこれから少しずつ溶かしていかなくてはならない。時間はかかるかもしれない。しかしそれが彼のやらなくてはならないことだった。

ひょっとすると、悲しかったり、痛いと感じたりすることは悪いことではないのかもしれない。悲しみという感情は苦しみを癒す。そしてそれを乗り越えて、次に進むことができる。自分の感情に気付けている時点で、回復への足がかりはできている。

日常は雑音があまりにも多くて、自分の感情をおろそかにしがちだ。大事なのは、自分の心の声に耳を傾けること。自分の言葉を探し続けることではないだろうか。

”自分の「実感」を何より信じましょう。”

著者が他のところで言っていた言葉だ。たとえまわりがなんと言おうと、そんなことは関係なくて。それにまさる基準はどこにもない。

著者自身、ずっとそのような「実感」を求めてたくさんの本を読み、たくさんの音楽を聴いてきたそうだ。

音楽といえば、本書では「ル・マル・デュペイ」という曲が重要なシーンで何度も登場するのだが、是非後半はそれを聴きながら読み進めてみて欲しい。より世界感に入り込める。

 

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫)

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 (文春文庫)

  • 作者:村上 春樹
  • 発売日: 2015/12/04
  • メディア: ペーパーバック
 

 

【書評】小さな、しずかな物語ですが、これは狂気の物語です。『神様のボート』

f:id:SyohyouBlog:20200716100335j:plain

過去の恋人のことを忘れられず、あちこち転々として暮らす自らのことを「旅がらす」だという母と、娘の物語。

ふわふわと、まるで夢の中を生きているような、過去に縛られている母。それに反するように、すくすくと成長し、しっかりと時を刻んでいく娘。

仲睦まじく暮らす二人だったが、過去を生き続ける母と、今をしっかりと生きていきたい娘は、どうしたってすれ違っていく。

”夏は好きな季節だ。街は日ざしで溢れていた。毎日毎日、私たちはそれぞれの場所をぬけだしては会った。くらくらするような熱さのなかで。一瞬とも永遠とも思える信じられない時間の堆積のなかで。”

母は静かに、けれど狂気とも言えるくらいに、恋に取り憑かれている。

物語は母目線、娘目線と、交互に進んでいく。美しい季節の描写が、時の流れを意識させ、より一層悲しい気持ちになる。

同じところをぐるぐるとやみくもにさまよい続ける母は、病んでいるのかもしれない。けれど、それだけ恋にのめり込める様は、ある意味では幸福なようにも見える。

現実に折り合いをつけて、まともに生きていることが果たして正しいのだろうか。幸せについて、考えさせられる物語だった。

ちなみに著者はあとがきで、本書はいままでに書いたもので、一番危険な小説だと言っています。危険だけど、じーんと余韻に浸れる、素敵な作品です。

 

神様のボート (新潮文庫)

神様のボート (新潮文庫)

  • 作者:江國 香織
  • 発売日: 2002/06/28
  • メディア: 文庫
 

 

【書評】人材育成には社内勉強会が一番 『勝手に人が育っていく!社員100人までの会社の社長のすごい仕掛け』

f:id:SyohyouBlog:20200716100530j:plain

どうすれば社員が勝手に育つのか?社長が喉から手が出るほど欲しいその答えは、社内勉強会の中にあった。ただし、勉強会を開けばいいというわけではない。そこには押さえておかなければならないポイントがあった。

勉強会は社内から湧き出てくるもの。社員が受け身であってはならない。そう言い切る作者は社内勉強会のフェーズを8段階に分けている。チーム編成からテーマの選定、勉強会の集客方法など、各フェーズで意識するポイントや注意点など細かく触れており、まさに勉強会を開くための説明書となっている。

私は、著者の言う、参加者をいかに能動的にさせるかという点に強く共感した。参加者にアンケートは取ってはいけない。メモも必要ない。参加者どおしの対話を重視し、意見や価値観を共有するところに力を入れるべきである、という。授業に慣れてしまっている私たちは、特にこのことを注意しなければ罠にはまってしまうだろう。

中小企業の社長向けに書かれた本であるが、一般社員の私にも強く響いた。勉強会だけでなく、会議を開催するにあたっても転用できそうなことを多く学ぶことができた。

社内勉強会、やってみようかな。 

 

勝手に人が育っていく! 社員100人までの会社の社長のすごい仕掛け

勝手に人が育っていく! 社員100人までの会社の社長のすごい仕掛け

  • 作者:渡邉 良文
  • 発売日: 2020/05/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2020/7/5-7/11】

f:id:SyohyouBlog:20200224171934j:plain

1位

f:id:SyohyouBlog:20200706063919j:plain

bookrev.horiemon.com 

バカ映画一直線!: 河崎実監督のすばらしき世界

バカ映画一直線!: 河崎実監督のすばらしき世界

  • 作者:実, 河崎
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 単行本
 

 

 

2位

f:id:SyohyouBlog:20200619101301j:plain

bookrev.horiemon.com

東京改造計画 (NewsPicks Book)

東京改造計画 (NewsPicks Book)

 

 

 

3位  

f:id:SyohyouBlog:20200706060945j:plain

bookrev.horiemon.com

東京改造計画 (NewsPicks Book)

東京改造計画 (NewsPicks Book)

 

 

 

4位

bookrev.horiemon.com

 

5位

bookrev.horiemon.com

 

6位

bookrev.horiemon.com

 

7位

bookrev.horiemon.com

 

8位

bookrev.horiemon.com

 

9位

bookrev.horiemon.com

 

10位

bookrev.horiemon.com

 

【ランキング】今週読まれた書評【2020/6/28-7/4】

f:id:SyohyouBlog:20200224171942j:plain

1位

f:id:SyohyouBlog:20200629110309j:plain

bookrev.horiemon.com

 

 

2位 

f:id:SyohyouBlog:20200619101301j:plain

bookrev.horiemon.com

東京改造計画 (NewsPicks Book)

東京改造計画 (NewsPicks Book)

 

 

 

3位

f:id:SyohyouBlog:20200629110046j:plain

bookrev.horiemon.com

 

 

 

4位

bookrev.horiemon.com

 

5位

bookrev.horiemon.com

 

6位

bookrev.horiemon.com

 

7位

bookrev.horiemon.com

 

8位 

bookrev.horiemon.com

 

9位

bookrev.horiemon.com

 

10位

bookrev.horiemon.com

【書評】不敗の戦略書と勝ち方のルール。『しくじり企業も復活する7つの大原則』

f:id:SyohyouBlog:20200715222404j:plain


著者は、成功している企業の戦略やその要因を紐解いていくと、「孫子の兵法」や「ランチェスター法則」でほぼ説明できるとする。

第1章では、この2つの理論を解説し、第2章に於いては、ビジネスを成功させる「7つの原則」を掲げて、これを実践すれば必ず成功すると言い放つ。
さらに第3章では、宝塚歌劇団新日本プロレススノーピーク、ライザップ、ハウステンボスサイバーエージェント、ウーバーイーツなどの実例を挙げて、「7つの原則」に照らし合わせて個々の企業戦略を解説している。
最終第4章に於いては、大塚家具、ダイシン百貨店、ラッキーピエロ、俺の〜シリーズなどの現状を解説し、しくじりの戦略から学ぶことを推す。

原則、戦略を紹介した上でなお、著者は、成功するまであきらめず、「やり抜く」「振り切る!」信念が必要と強調している。本書で取り上げた原則を身に付けることで、信念を貫くための裏付けとして欲しいと望むのであろう。

個人的には、第3章、第4章に於ける各企業の特徴のある戦略の解説が興味深い。自らのビジネスに置き換えて考えてみると、新しい観点を得るヒントとなるかもしれない。

 

しくじり企業も復活する7つの大原則

しくじり企業も復活する7つの大原則

  • 作者:名和田 竜
  • 発売日: 2018/10/22
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)