名書である。何故イキナリ言い切るのかというと、河崎実監督とは既知の仲だからだ。
なので、本書を書店で見かけた時には、そっと棚から引き抜いて平置き”風”に置き換えることもある。
それはさておきまして。
河崎実監督は、「いかレスラー」「日本以外全部沈没」「地球防衛未亡人」などで「バカ映画の巨匠」と呼ばれる「どこに出しても恥ずかしい映画監督(なべやかん氏考案)」だ。
そしてこの本は、監督のライフワークである「電エース」シリーズ30周年記念として、監督初の書き下ろしで上梓されたものだ。
河崎実監督の原点は、とにかくウルトラマンと加山雄三だ。これらのヒーローに心を鷲掴みにされた小学生が、そのまま大人に育ってしまった様な監督は、なかなかええとこの子だったので物持ちが良い。
小学校の頃の落書きから、円谷プロの倉庫から持ち帰ってきた怪獣の着ぐるみなど、様々なものが丁寧に保管、整理されているのだ!
だからこの本でも「電エース」を始め、「ヅラ刑事」「大怪獣モノ」「ギララの逆襲」「アウターマン」などの製作秘話・未発表の資料集が満載だ!
さて、監督の映画がどのくらいくだらないかというとだ・・・
「電エース」は、快楽星人の王子だ。気持ちが良くなると身長2000mの巨人に変身する。何故2000mなのかというと、電エースが凶器に使う東京タワーのミニチュアを用意したところ、逆算すると2000mになってしまっただけのことだ。
変身ツールは基本的には缶ビールだが、お酒が手近に無い場合は、温泉に入る、女性に抱きつくなどでも代用可能だ。
「地球防衛未亡人」は、AKB48やももいろクローバーZなどに断られた挙げ句に、ダメ元で壇蜜にオファーしてみたところ何故か快諾を受け、彼女のエロなイメージを活かしてタイトルを改変。
壇蜜だからダン隊員だ。それじゃ隊長にモロボシ・ダンの森次晃嗣を起用して、「ダン隊員」と言わせてしまおうという、アレな感じだ。
「大怪獣モノ」は、完全にシン・ゴジラにぶち当てた便乗作品だ。「日本沈没」に合わせて「日本以外全部沈没」を公開したら大ヒットしてしまった甘い経験に基づく、濡れ手に粟の二番煎じだ。
突然現れた怪獣に対抗するために、薬品セタップX(スタップではありません)を注入して人間が巨大化するのだが、イケメン俳優が巨大化すると、何故か今や新日本プロレスのゴールデンスターである飯伏幸太選手になってしまい、怪獣相手にプロレス技が炸裂する!
と、こんなこと(だけ)を42年も続けている河崎実監督は生半可ではない。
覚えておいて欲しい。監督にとって、「くだらなかった」「時間を返してくれ」というのは最高の褒め言葉なのである。
因みに、製作30周年を記念し、勢いで私の会社で作ってしまったのが、「電エースの気持ちのいいお水」と言う、特許取得のサプリメント入りのとっても美味しくて健康になれるお水の電エースバージョンだ。
シリーズ最新作である「電エースキック」では、キラーアイテムとして、すげーくだらなく登場するので、要チェックなのだ!
そう。これは書評であると同時に、私の会社の商品の宣伝でもあったのだ!
どうだ。恐れ入ったか。わはははは。わは。ごほげほ。