『装甲騎兵ボトムズ』を冠にしているが、御本家とは殆ど関係無いのが本作。同じくしているのはその舞台くらいで、共にアストラギウス銀河を活躍の場としている。一方、時代はテレビシリーズから約300年後なのだから、幾ら異能者のキリコ・キュービィーといえども登場する訳がない。
しかし、相変わらずなのは人の営みということか。ギルガメスとバララントの二つの星系は断続的に戦火を交えて止まない。数次に亘る大戦のなか、兵器開発は飛躍的に進み、主力兵器の地位は、かつてのAT(約4m大のロボット)から、「ロボトライブ」と呼ばれるアンドロイドに移り変わっていた。
一小隊の編成は、隊長に人間の将校一人が就き、あとは六〜八人のロボトライブというのが標準となっている。
第五次銀河大戦は一時休戦を迎えたが、主人公レイ・チャドラーが指揮する小隊はその間際、惑星ラザースの戦場で奇妙な事象に出くわす。それが異変の始まりであった。
半年後、生まれ故郷の惑星メルキアで私立探偵を営んでいたチャドラーは、かつての部下Geeと再会した。しかし、それは偶然ではなく、仕組まれていたことだった。仕組んだのはミス・グレイ。彼女とはラザースでの事件の際に因縁があった。彼女が口にする「ガネシス」とは何? それは、再会したGeeを含め、一部のロボドライブに置きていた或る異常・・・つまり感情の様なものの現れと、どうやら関係しているらしい。
街では、マッビーと略される、マッドロビーと通り名がついた暴走ロボドライブの事件が頻発していた。だが、更にミス・グレイが言うには、惑星ラザースでロボトライブによる反乱が発生、戦闘を拒否しているという。また、その首謀者がかつてのチャドラー隊の一員であるとも言うのだった。
彼女からの依頼により、チャドラーは原隊の部下であったロボトライブたちを引き連れてラザースへ調査に赴く。
果たして、ロボトライブたちに何が起きているのか。それはアストラギウス銀河に於ける大いなる意志によってもたらされたものだったのだ。
本作は、『月刊ニュータイプ』にて1993年2月号から1994年12月号まで連載されたものだが、ボトムズ祭り的なプロジェクトが執り行われた頃、即ち17年を経た2011年に刊行された。
謎と事件が折り重なる物語。ロボット物とはまた異なる心理的な探偵小説っぽくて、いつもの高橋監督とはまた違う感じはなかなか楽しめた。
装甲騎兵ボトムズ equal ガネシス
作者: 高橋良輔
発売日:2011年5月26日
メディア:単行本