「科学の面白さの核心を伝える本を書いてみたい」そんな著者の思いから生まれた科学エッセイ。物理学者らしからぬ柔らかい表現で語られる、不思議で美しい22の科学夜話である。
寄せては返す波の響きに、永遠という言葉が心に浮かぶ。昼と夜の交代や月の満ち欠けなど、永劫に回帰する運動の中に私たちは永遠を感じてしまう。しかし、何億年という時間のスケールで見ると、太陽の巡りや潮の満ち引き、そして一日の長さでさえも実は変わっているのである。
このような永遠など存在しない世界に、もし永遠が存在するのであればどこにあるのか。それはきっと、私たちの意識の中だろう。波の律動ではなく、その律動に無限の回帰を感じとる私たちの意識の中にこそ、永遠は宿るに違いない。
スマホの中は書き散らされた短文で溢れ、頭に入ってくる毎日の情報量の多さに私は疲れ切っていました。そんな時に出会ったのがこの本です。知的で神秘的で少しロマンチックな科学の世界に、私は夜な夜な引き込まれ、素敵な眠りにつけたのでした。
ぜひ、頭をリフレッシュしたいときに読んでみてください。