HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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顧客の満足と信頼は百千の宣伝に勝る 『苦労して成功した中小企業のオヤジが新人のボクに教えてくれた「上に立つ人」の仕事のルール』

時代は平成元年、バブル景気真っ最中の大阪。

主人公が入社した会社は、バブル期独特の華やかさの欠片もないビル管理の中小企業。そこで社長兼会長(オヤジ)の秘書役にとして「アホ」「ボケ」「帰れ」と、毎日怒鳴られながら働いている。

“入る会社を間違えた。でも、辞めることはできなかった。
それは、オヤジの叱り方が表面上は厳しかったが、中身は愛情深く、温かかったからだ。“

典型的な大阪の中小企業の経営者のオヤジの下で働く主人公が学んだ「仕事のルール」。 それは、古典的であり、流行にも乗らない原理原則に沿った地味なものだった。

『中小企業ゴキブリ論』
『中小企業はスピード、隙間、敏感。この3つを意識しなければならない。』
『何事も素早く決定し、素早く行動に移すこと。大手が手を出せないような隙間、ニッチな分野に特化して徹底的に強みを磨くこと。お客様のニーズ、世の中の動きをどこよりも敏感に察知すること』
“そうすれば大手も怖がる存在になれる。中小企業の生き残りはコツは、そこにあるんや。”

本書の「オヤジ」は株式会社日経サービスの創業者、近藤勲氏がモデルとなっており、貴社の研修サービスにおいて、既に引退した「オヤジの仕事観」を浸透させるために作成したものになるそうです。会社は平成29年4月3日に50周年を迎え、年商は120億円。上場企業に劣らず、無借金で安定して経営しています。

本書は実話に基づく23のストーリーがあり、何も分からない新人も、部下の育成に悩む上司も起業したての社長さんも、各々の立場で大事な「仕事のルール」が書かれています。

社会に出ると、相手のためを思って叱ってくれる人は少なくなります。叱った側は嫌われますし、陰口や悪口も言われることになりとても面倒だからです。それでも、そのデメリットを受け入れて、愛情をもって叱ってくれる人は貴重ですね。
言われる内が花です。メンターに引っ張られて人は成長しますよね。
ぜひ、本書を読んでみてください。
「お前も自分が偉くなったら、耳の痛い意見を言ってくれるやつを大事にしいや」

現役時代がいつまで続くかはわからない『定年後』

この本には、著者が会社をやめて定年を迎えてからの生活の変化や、周りの定年を迎えた人々のエピソードなどが多数書かれている。

今の私にとって、仕事を辞めた後のことはあまり考えたことがなかったが、「行くところがなくて困る」「自分の名前を呼ばれる回数が減る」など、実感がこもった文章はなるほどと思わせることが多かった。
実際、私にとっては定年後がピンとこない。まだ20代だからというのもその理由の一つだが、もう一つは今の会社に定年まで勤めているか(定年までサラリーマンとして働いているかも含め)わからないと思っているからだ。
だがこの本がベストセラーになっていることからもわかるように、今の50代、60代でひとつの会社でずっと働いてきた人にとっては「定年後」は世界が変わるような問題なのだろう。
この本で著者は、定年後もいきいきと暮らすための提案もしている。自分が好きなことを探す、専門を伸ばす努力をする、定年の10年ほど前から定年後どう暮らすかを考えて準備をするなどの心構えは、定年前のサラリーマンが読んだら役立ちそうだ。会社で働いている間に美容師の資格をとり、定年後に開業したという人のエピソードなどを読むと、確かに夢が広がる。
おそらく今の20代、30代にとっての未来の定年は、この本に書かれているものとはだいぶ違うだろう。だからその世代にとって直接的に役立つことはあまりないかもしれない。
しかし、「人生100年時代」と言われるほど寿命が延びた今、ゆるやかに人生を終えていくためにどう生きたいかは、今何歳の人でも考えていかなければいけないことだと思った。この本にも「死から逆算して考える」ことによって、今をより充実させることができるということが書いてあるが、それは今何歳であっても同じだと思うからだ。
あとは、今の50代、60代以降の大多数の人の気持ちを想像するのにもかなり役立つと感じたので、世代間ギャップに悩んでいる人にもおすすめしたい。

かっこ悪いくらいもがいていた「裏側」 『小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法』

本書は、はあちゅう氏と村上萌氏の共著になり、お二人が現在に至るまでに、必死にもがき苦しんでいた「裏側」の部分が書かれています。

本書の構成は「迷子になった“自分探し期”」、「転機となった“試行錯誤期”」、「軸が固まる“理想の自分実現期”」、「私たちのマイルール」の4つであり、それぞれのパートでお二人が当時を振り返っています。

その中でも、今回は村上萌氏を紹介したいと思います。
村上萌氏は成蹊大学に入学し、ミスコンでグランプリを獲得しますが、就職活動に失敗し、ニートになります。就職をした同期を見て焦燥感を感じ、様々なことに挑戦していきますが上手くいきません。

「幸せには型があると思っていた」、「型にはまろうとしたけどうまくいかなかった」、「ブランドやタグに目がくらんだ」と、各単元で、何もない自分にコンプレックスを感じ、他者の評価を気にして「正解」を探していたことなど、その当時の“生々しい悩み”が詳細に書かれています。

そこから職種に拘らず、様々なことに挑戦し、行動しながら少しずつ自分の形が見えてきます。自分で歩いた道中で、好きなことを見つけ、まだわからなかった自分のことに気づき、何が必要なのかを発見していきます。

村上萌氏の文章を読んでいくと、「自分を見つける」ことが目的ではなく、どんどん行動して、挑戦をしていった先で自分が見つかっていったのではないかと思えます。

わからないから行動できないのではなく、動かずにその場に留まるので自分がわからない。
無我夢中で行動し、挑戦するから自分のことがわかる。
色んな道に落ちている「小さな自分」を見つけ、それを拾い集めて行くようなイメージを持ちました。

ぜひ、“自分探し”や“正解探し”で悩んでいるのであれば、本書をお勧めします。

小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法

小さな野心を燃料にして、人生を最高傑作にする方法

さぁ、恥をかこう。『多動力』

最初の一歩を踏み出すこと。

言うは易し行うは難しとはこのことではないでしょうか。
『多動力』の重要性は様々な媒体で語られてきましたが、その前に自分の行動を抑制してしまう心理的ブロックを崩さないといけません。

それは、他人からどう見られているだろうか、恥ずかしいといった「感情」を捨てることです。本書には「一歩を踏み出せないあなた」に最適な金言があふれています。

『誰もあなたのことなんて興味がないということに早く気づくべきだ。』
『一歩を踏み出したせいでみっともない失敗をしたとしても、そんなことは3日もたてば誰も覚えていない。』
『恥をかく勇気、失敗する勇気さえもてば、どんどん免疫ができてリスクを取ることを恐れなくなる。』

「最初の一歩」の目的は感情のフィルターを外すためとし、しっかり失敗して「恥」をかきましょう。
恥をかいた分だけ自由になれます。

このことから、まず最初の「足し算」は「恥をかくこと」になりそうですね。
そして、行動し続けましょう。
読者の皆さんは「エメットの法則」をご存知ですか?
『あるタスクへの取り組みを躊躇するのは、そのタスクを完了させるよりも多くの時間と活力を消費する。』
一旦動き始めると、止まる方が難しいということです。

読者の皆さんも、何も考えずにとりあえず始めてみましょう。
恥をかけたら目的達成です。

多動力 (NewsPicks Book)

多動力 (NewsPicks Book)

マンガ 多動力  ~現代を生き抜く究極のスキル~

マンガ 多動力 ~現代を生き抜く究極のスキル~

行動する人へ 『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』

あなたが「ゼロ」ならば、何をかけても「ゼロ」のままだ。

物事の出発点は「掛け算」ではなく、必ず「足し算」でなければならない。
小さく地道な一歩を踏み出すことから、すべてがはじまるのだ。

掛け算ではなく、ゼロの自分にイチを足そう。
僕は働くことを通じて自分に足し算をしていった。掛け算ができるようになったのは随分後になってからのことだ。

これは本書の引用である。
堀江貴文氏は物事の効率や最適化の主張をメディアを通じて繰り返している。
同じ時間、同じ労力を使いながらより大きな結果を残していく「掛け算によるショートカット」の有効性を強調してきた。
だが、その前提には圧倒的な努力によって積み重ねた「足し算」の部分があったうえで、主張をしていることを忘れないでほしい。

起業しての数年間は友達とも連絡をとらず、飲みに行くこともなく、会社にベッドを置いて毎日のように寝泊りする生活をしてきており、睡眠時間以外の時間はすべて仕事に充てていた過去があるのだ。
この「足し算」の過去があって、初めて「掛け算のショートカット」ができるようになったのである。

ビジネス書や成功法則の本を読むよりも、「イチ」となる小さな一歩を踏み出そう。
仕事以外でも良いから小さな成功体験を積んで「やるじゃん、オレ!」と自分のことを好きになろう。
批判されても、行き当たりばったりだと笑われても、勝手に言わせておけばいい。
誰よりも早く動き出し、かたちにしてしまおう。

失敗して失うものなど、たかが知れている。

本書には行動する人を後押しするメッセージが多く書かれています。
ぜひ、一読してください。

このままだと一生このまま 『ゼロ なにもない自分に小さなイチを足していく』

本書はまだ何者でもなかった堀江貴文氏の積み重ねた「イチ」の軌跡を見ることができ、そこには堕落した麻雀漬けの大学生活、女の子に声をかけることができなかったことなど、語りたくない過去なども記されており、著者が「どこにでもいる学生」だったことがわかります。

そんな中、友人に誘われて行った「ヒッチハイク」ではじめて声をかける緊張感、はじめてヒッチハイクに成功したときの達成感を味わい、「僕にもこんな大胆なことができるんだ!」と少しずつ自信を持ち、確実な自分の殻を破ったという手応えをつかみます。

それから、東大を中退し、ギャンブルに明け暮れ、塾講師のアルバイトをしているとき、休憩室で弛緩しきった空気とそこの一部になっていた自分に気づきます。
このまま塾講師を続けていたら、間違いなく弛緩しきったこの風景の一部になる。
「このままでは一生、このまま」だ、とゾッとします。

危機感を抱いた著者は東大に行き、「プログラマー募集」の求人の張り紙を見て、中学生時代にパソコンに熱中し、コンピューターのシステム移植の仕事でお金を稼いだこと、そのとき感じた達成感や充実感、働くことの意味を思い出します。
手始めに「東進ハイスクール」のアルバイトに飛び込み、次にベンチャー企業に転身した著者は仕事にのめり込み、インターネットと出会い、加速していきます。

本書には、堀江貴文氏が自分の殻を打ち破るまでが記されており、ヒッチハイクなどの成功体験やパソコンにのめりこんだという経験が著者の強烈なバックボーンになっていることがわかります。

ヒッチハイクからはじめてみるか、飲み会の幹事からはじめてみるか、さっそく起業から動き始めるか、進む方向やスピードはどうでもいい。とにかく「ゼロのままの自分」に見切りをつけ、一歩を踏み出すことだ。』

読者がもし行動できず、悩んでいるのであれば、何度でもこの本に戻ることをお勧めします。
必ず、背中を押してくれます。

今ある選択肢の中で、まずやろう‼︎『日本再興戦略』

本書は現代の日本の状況を解き、自分たちはどのようにして社会にコミットしていけば最善なのかを語られた書籍である。

とくにこれから重要になってくるのが、「百姓的な」生き方だ。どういうことかというと、100の生業を成すことを目指したほうがいいのである。そうすれば、いろいろな仕事を幅広くマネジメントしているので、埋もれる心配がないのだ。

今後の世の中は自動化、機械化になっていくといわれているが、日本の人口減少も自動化を進める上でプラスに働く。人口増加社会であれば自動化することによって仕事にあぶれる人が出てくるが、日本のような人口減少する社会では、逆に取り入れやすいのである。だから、人口減少はネガティブなのではなくチャンスなのだ。

さらに、今、どこの会社でも、圧倒的にGDPを下げているのはホワイトカラーのおじさんたちだ。彼らはただ文句を言うだけ。暇なので無駄な社内政治や抵抗するだけに時間を使っている。こういった「ホワイトカラーおじさん」が大企業からいなくなることによって日本企業の業績が一気によくなるはずである。

これからの時代は「自分とは何か」を考えて、じっくり悩む自分探し病はダメな時代である。それよりも、「今ある選択肢の中でどれができるかな、まずやろう」みたいな実行力が高い方が有利にことが進むだろう。

ならば、まずやってみよう。

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

ガリガリ君ナポリタン味の大失敗から…『スーさんの「ガリガリ君」ヒット術』

アイスクリーム売り場ではもうお馴染みの「ガリガリ君」のヒット術から学ぶ、モノ作りを目指す若い方や、売れる商品はどう作るか、仕事に悩むビジネスパーソンに向けた書籍である。

ガリガリ君を作っている赤城乳業では、年齢や肩書きを超えて、なんでも自由に「言える」関係を大切にしている。風通しのよいオープンな雰囲気の中、なんでも言えることが、組織の活性化につながるという信念で、それを社内では「言える化」といって実践している。

また、時代によって、自分の短所が長所と受け止められることもあるし、逆に、自分の長所が短所と受け止められる時代もある。だから、自分の短所を卑下することはないし、逆に長所を誇示することもない。両方を自分だと思ってありのままに受け止めるのがいい。評価も時代と共に変化する。

それに、時には失敗することもあるだろう。失敗はマイナスだけでなく、時にはプラスをもたらす。大失敗して話題になることで、注目を浴びることもある。例えると、「ガリガリ君ナポリタン味」の失敗はテレビで大々的に取り上げられた。これによって3億円の赤字を算出してしまったが、宣伝効果は3億円以上あったといえる。

このように今ではどこのアイスクリーム売り場行っても必ず並んでいる「ガリガリ君」だが、これまで述べたように失敗も経験してこのような商品まで成長できた。そんな学びから今後社会に出る方や、仕事で行き詰まりを感じているビジネスパーソンの力になるような元気が出る1冊だ。

 

スーさんの「ガリガリ君」ヒット術

スーさんの「ガリガリ君」ヒット術

 

 

羽根田さんが格好良いと思ってしまった『林檎の樹の下で(上巻・下巻)』

本書を読み進めていくと2つの違和感を感じた。一つはこれまでに読んだアップルを語る書籍は全てジョブズを中心だったことに対し、本書は日本人の奮闘を中心に語られていたことそれ自体、もう一つは日本人ゆえの文化からくる駆け引きだ。

これまで読んだジョブズ中心のアップルの物語はどこかスマートで、白黒がはっきりしていた。しかし本書はどうだろうか、白とも黒とも言い難い泥臭いエピソードが重ねられていく。しかしそれゆえに読み進めていけばいくほど本書の物語に惹かれていく。

本書では様々な立場の日本人が登場する、その1人が当時の東レ
システム機器事業部の羽根田孝一だ。彼は東レのアップルとの代理店契約の交渉を任されることになる。文化の違いから起こる不協和音もさることながら、大企業のサラリーマンというプライドが彼の足を踏みとどまらせるのだ。しかし最後には大企業のサラリーマンとしてのプライドではなく、“営業”としてのプライドが彼を前に進めさせる。営業という同じ職種を経験している方であれば彼の葛藤は共感できるのではないだろうか、私はとても共感した。国と文化を越え契約まで漕ぎつける彼の仕事に対する姿勢は見習いたいが、さらにその先の彼の格好良さが見れるのでぜひ本書を手に取ってほしい。

本書を読了した後に愛用のMacを見て思うことは、日本にやってくるまでにこれほどまでに摩擦を経てきたのかということだ。そしてもう一つ、私が生まれる前、生まれてから、今も尚私の知らない場所で未来を大きく変えるモノや技術が国や個人間を行き来しているのだろうなとも思った。全て把握することは叶わないかもしれないが、せめて一つだけでもその事実に気づき関わっていくことができたらと、本書を経てそんな願望が芽生えた。

 

林檎の樹の下で(上)禁断の果実上陸編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(上)禁断の果実上陸編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

 
林檎の樹の下で(下)日本への帰化編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(下)日本への帰化編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

 

 

堀江貴文の人生に影響を与えた一冊『林檎の樹の下で』

本書は堀江貴文氏が復刊人となり、また『スティーブズ』のうめ先生が漫画を描き復刊させた、日本とAppleに関する唯一のノンフィクション本である。

本書は上下巻からなっており、上巻の副題がが「禁断の果実上陸編」、下巻が「日本への帰化編」である。

現在ではあたりまえに使っているAppleの製品。いかにしてAppleは日本へ進出して来たのか、否誰がどうやって、日本に持ってきたのか。そしてアメリカのベンチャー企業に振り回される日本の大企業を描いたのが本作品である。

とにかく今回の復刊版で最も良い点は漫画がある点だ。伝記などのストーリー性があるものは漫画の方がよく伝わる。特にスティーブ・ジョブズは活字映えしない、絶対に漫画が合っている。漫画になっているため、活字とストーリーは同じであるが、漫画部分だけであればものの10分もあれば読み通すことができるようになっている。

Appleの本、スティーブ・ジョブズの本はこれまでもたくさん出ているが、日本に焦点を当てた本はない。遠い遠い存在だと思っている人が多いだろうジョブズAppleが日本人と格闘する姿は非常に面白い。本当に事実は小説よりも奇なりである。

林檎の樹の下で(上)禁断の果実上陸編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(上)禁断の果実上陸編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(下)日本への帰化編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(下)日本への帰化編 アップルはいかにして日本に上陸したのか