HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

羽根田さんが格好良いと思ってしまった『林檎の樹の下で(上巻・下巻)』

本書を読み進めていくと2つの違和感を感じた。一つはこれまでに読んだアップルを語る書籍は全てジョブズを中心だったことに対し、本書は日本人の奮闘を中心に語られていたことそれ自体、もう一つは日本人ゆえの文化からくる駆け引きだ。

これまで読んだジョブズ中心のアップルの物語はどこかスマートで、白黒がはっきりしていた。しかし本書はどうだろうか、白とも黒とも言い難い泥臭いエピソードが重ねられていく。しかしそれゆえに読み進めていけばいくほど本書の物語に惹かれていく。

本書では様々な立場の日本人が登場する、その1人が当時の東レ
システム機器事業部の羽根田孝一だ。彼は東レのアップルとの代理店契約の交渉を任されることになる。文化の違いから起こる不協和音もさることながら、大企業のサラリーマンというプライドが彼の足を踏みとどまらせるのだ。しかし最後には大企業のサラリーマンとしてのプライドではなく、“営業”としてのプライドが彼を前に進めさせる。営業という同じ職種を経験している方であれば彼の葛藤は共感できるのではないだろうか、私はとても共感した。国と文化を越え契約まで漕ぎつける彼の仕事に対する姿勢は見習いたいが、さらにその先の彼の格好良さが見れるのでぜひ本書を手に取ってほしい。

本書を読了した後に愛用のMacを見て思うことは、日本にやってくるまでにこれほどまでに摩擦を経てきたのかということだ。そしてもう一つ、私が生まれる前、生まれてから、今も尚私の知らない場所で未来を大きく変えるモノや技術が国や個人間を行き来しているのだろうなとも思った。全て把握することは叶わないかもしれないが、せめて一つだけでもその事実に気づき関わっていくことができたらと、本書を経てそんな願望が芽生えた。

 

林檎の樹の下で(上)禁断の果実上陸編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(上)禁断の果実上陸編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

 
林檎の樹の下で(下)日本への帰化編 アップルはいかにして日本に上陸したのか

林檎の樹の下で(下)日本への帰化編 アップルはいかにして日本に上陸したのか