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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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現役時代がいつまで続くかはわからない『定年後』

この本には、著者が会社をやめて定年を迎えてからの生活の変化や、周りの定年を迎えた人々のエピソードなどが多数書かれている。

今の私にとって、仕事を辞めた後のことはあまり考えたことがなかったが、「行くところがなくて困る」「自分の名前を呼ばれる回数が減る」など、実感がこもった文章はなるほどと思わせることが多かった。
実際、私にとっては定年後がピンとこない。まだ20代だからというのもその理由の一つだが、もう一つは今の会社に定年まで勤めているか(定年までサラリーマンとして働いているかも含め)わからないと思っているからだ。
だがこの本がベストセラーになっていることからもわかるように、今の50代、60代でひとつの会社でずっと働いてきた人にとっては「定年後」は世界が変わるような問題なのだろう。
この本で著者は、定年後もいきいきと暮らすための提案もしている。自分が好きなことを探す、専門を伸ばす努力をする、定年の10年ほど前から定年後どう暮らすかを考えて準備をするなどの心構えは、定年前のサラリーマンが読んだら役立ちそうだ。会社で働いている間に美容師の資格をとり、定年後に開業したという人のエピソードなどを読むと、確かに夢が広がる。
おそらく今の20代、30代にとっての未来の定年は、この本に書かれているものとはだいぶ違うだろう。だからその世代にとって直接的に役立つことはあまりないかもしれない。
しかし、「人生100年時代」と言われるほど寿命が延びた今、ゆるやかに人生を終えていくためにどう生きたいかは、今何歳の人でも考えていかなければいけないことだと思った。この本にも「死から逆算して考える」ことによって、今をより充実させることができるということが書いてあるが、それは今何歳であっても同じだと思うからだ。
あとは、今の50代、60代以降の大多数の人の気持ちを想像するのにもかなり役立つと感じたので、世代間ギャップに悩んでいる人にもおすすめしたい。