HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】起業?転職?現状維持?『このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法』

 

 大人になると大抵の人は何らかの仕事をしながら生きていく。多くは会社員などの従業員として働いているだろう。このままでいいのかと悩むことは少なからずあるはずだ。仕事が楽しくない、でも楽しみたい。このままこの会社にいて、将来的に食いっぱぐれることはないのだろうか。そんな悩みに対して、本書にはそのヒントが具体的に書かれている。

 私が最も面白いと思ったのは後半部分だ。本書は第4章まであるが、第4章で目から鱗が落ちる思いがした。それまでの3章は、そのための序章と言ってもよいかもしれない。

 人は仕事に対して3種類のタイプに分かれる。その仕事が好きでしょうがない人、仕事は最小限に抑えて趣味を充実させる人、だらだらと文句を言いながら現状維持で仕事をする人だ。最後のタイプの人間には誰もなりたくないだろう。だが、最初の「仕事人間」とその次のいわば「趣味人間」では、前者になりたいと思う人が多いのではないか。折角なら大好きなことを仕事にしたいと思うだろう。

 ここで著者は、好きなものがはっきりしている人間はたったの1%だと言う。残りの99%は必ずしもそうではない。ではどうやって仕事を楽しむかというと、自分が居やすい状態でいられる環境にいることだと言う。自由な雰囲気、もしくは規律のある雰囲気などだ。私はこれを読んで、肩の力が抜ける気がした。誰もが、仕事が好きで好きでしょうがないという状態を目指さないといけない、という訳ではないからだ。
 
 私は仕事も好きだが、それよりも趣味を充実させることに力を入れている。元々あまり趣味がない方だったので、最初は探すのに苦労氏た。それに、無駄なことはしたくない、必要なことだけをやりたいと思うタイプだからだ。そこでまず趣味をカテゴリーに分けてみた。生活を充実させるためには、脳と身体と感情をバランスよく活用することが有効ではないかと考えた。文武両道ならぬ、文武芸鼎立だ。私はこの書評を書く、ボクシングをする、演劇をすることを軸にすることにした。プライベートも充実してきたし、切り替えがうまくいくので仕事にもよい影響を与えているように思う。もし趣味がないという方は参考にしてみて頂きたい。

 仕事とどのように向き合うかは人それぞれの価値観がある。もちろんそれは自由だが、少しでも楽しく仕事をしたい、自分の価値を高めたいと思う人は一度読んでみて頂きたい。

 

 

【書評】何となくそんな気がするを大切にして 行動すれば、必ず人の心は動かせる『あなたの心に聞きなさい』

著者は、当時高校生の娘と会社を立ち上げ、上場した経験から、多くの人々との付き合いがある。そんな著者が立ち上げたのが「おせっかい協会」だ。なぜなら、世の中はおせっかいで成り立っている。損得や計算ではない、心からの愛情や親切がおせっかいの本質だ。愛情は親からたくさん受け取っていることが理想だが、そのままでいいと自分で自分を認めることで、自分に愛情をあげることができる。人に愛情を与え、また、受け取ることで心の安定につながり、その愛の循環が社会をいいものにしていくと著者は考える。

著者の周りには、有名社長で仕事も上手くいっている人や、頭がよくてお金持ち、地位も名誉もある人がたくさんいるそうだが、実際には自分の人生に不安を抱えていたり、些細なことで自分に自信がなくなり傷ついてしまう。また、心が満たされず寂しそうで、人には冷たいことを言ったり、繊細な心を守るために、鎧を着て激しく人を攻撃したり、自分を正当化するために、言い訳をしたり、嘘をつく。そんな行動をとるそうだ。

それは、自分の心の声を聞かないために満たされず、また、自分の心がわからないため、人の心もわからず孤独感が深まるのだという。そもそも人の悩みの90%はどうでもいいことだと著者はいう。なぜなら、人々はいつも周りの声ばかり聞き、自分の心の声を聞いていない。一見自分のことを悩んでいるようでもそこには自分自身はいなく、だからこそ悩むのだそうだ。

そのため、何か心に思うことがあった時は、心を素直な状態にして動くことで、迷いや不安はなくなり必ずいい結果が待っているという。しかし、どうしようという気持ちからは損得勘定が働く。どんなことでも自分の中に感じる何となくこう思うの感覚を否定せず、大事にしてみることが重要なのだそうだ。

 

 

【書評】10年に一度は大きなスキルチェンジをしよう!『CHANGE LEADER 「多様性」と「全員参加」を実現させるリーダーシップの身につけ方』

 

1万時間の法則というのがある。1万時間取り組むとプロフェッショナルになれるというやつだ。1万時間ってのは週に40時間として5年間、他に仕事があるとなかなかきつい。週に20時間くらいなら、平日2時間、土日は5時間ずつで10年?なんとかなりそうだ。

さて、本書のタイトルは『CHANGE LEADER』だが、世の中がどんどん変化しているのは現代を生きる我々にとっては誰しもが感じることだろう。
コロナ禍になり在宅業務が増えてきた、飲み会も減った。またDXと言われなんとなく、変わっていく感がある。電子決済も当たり前になってきた。

そんな中でこれからのリーダーはどうすればいいのだろうか。

会社ではジョブローテーションというものがある。色々な職場を3年ごとに経験することで、なんでもできる人材を作ることだ。しかし、同じ会社でずっと働いていくとすると、なんでも知っているので働きやすくはなるが、専門性が下がる。

これからの時代の変化が多様な社会では、むしろ普遍的な高いスキルが重要。そして、そのスキルの組み合わせが重要になっていくと著者はいう。

そのためにどうすれば良いのだろうか。それはタイトルに書いた通り、10年に一度は大きなスキルのフルモデルチェンジをすることだ。

10年何かをすればプロフェッショナルになれる。それを10年毎に変えていけば、相互作用が生まれ唯一無二に人材になれる。これがこれからの時代の生き抜き方だ。

本書ではこれ以外にも、これからの会社員の変化、働き方の変化にも多くの文献の紹介を交えながら述べている。気になった人は読んでみよう!

 

 

【書評】コンビニを舞台とした人間物語『コンビニ兄弟2  』

 

女子高校生の栗原が、同級生の美月にいったひと言。

「呆れるって、知ってるつもりだったひとがつかう言葉なんだって」

「知ってるつもりなだけで本質を分かっていないひとが、思い込みでそのひとを見ていたひとが、その言葉を使うんだって。そんなひとだったなんて呆れちゃう、って。ほんとうにそのひとを見て、知っているひとは
言わない。そんな言葉でそのひとの行動を終わらせないもんだって。あたしも、そう思う。」

“呆れる“って言葉は、
失望して、受け入れられないっていう、相手を拒絶する強い言葉。

栗原の言葉は、
「驚いたけど、私はあなたの本質を少なくとも分かろうと努めている。だから、“呆れる“なんてことはないよ」と美月に伝えているようで、心に染みた。

本作の作者は町田そのこさん。
町田そのこさんの描く長編小説に比べ、ポップな世界観。
また、短編小説なので、サクッと読めるのも良し。シリーズ化されてるので、続編も楽しみ。

 

 

【書評】これからの仕事術。『仕事の研究』

 

著者は、電通入社後、サイバーエージェント、テイクアンドギヴ・ニーズ、タビオ、ストライプインターナショナル、ベクトル、ソウルドアウトなどのベンチャー企業の役員を歴任し、マーケティングブランディング業務をしてきている。
それらの経験を元にした本書では、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルに3分類した、50の仕事術の法則を書き表している。
著者自身のエピソードを交えながらの思考や行動について述べられており、ハウツー本というよりは、物事の捉え方、仕事に於ける姿勢、その様なことを学べるものと言える。

自分を発明する。
利他、社会のために。
WHY? とSO WHAT? を繰り返していく。
何を言うかではなく、行動と結果がすべて。
誰と成功したいか? ではなく、誰とだったら、たとえ失敗しても後悔しないか?
いい人であること。
「for You」
といった具合だ。

なかでも比較的繰り返して述べていることは、「世界で一番大切な、たったひとり」を決めること、だ。
インターネットによって到来した、規模の大小、場所や年齢などに縛られることなく、アイデアと情熱があれば可能性を広げていける世の中では、「今まではなかったけれど、実はこういうのがあれば凄くいいですよね」という様なものを生み出すことがし易い環境になってきている。
潜在的なニーズを掘り起こして、新しい市場を創る」には、その商品やサービスにとっての「世界で一番大切な、たったひとり(=『リードターゲット』)」が具体的に見えているかどうかが最も重要なことだというのだ。
リードターゲットというのは、抽象的や平均的なターゲット像とは違い、「そのサービスや商品を、この先10年間が明るい未来になっていくために、たったひとりに利用してもらいたいとしたら、それは誰か?」という思考から生み出されるものだ。
「たったひとり」の心を射止める商品やサービス、使い方、メッセージが、共感が共感を呼び、「ああ、実はこういうのが欲しかった」、「こういうのがあると、自分の暮らしが楽しくなっていきそうだ」という「共感の連鎖」によって潜在的なニーズが掘り起こされていく。
そして、これからの時代のマーケティング活動とは、「商品・サービスの本質的な価値と人の人生との関係の間に意味をつくる」ということだと言う。
「人の生活にとっての意味」が感じられる様なアウトプットが「気づき」「発見」「ときめき」を生み出していくと言うのだ。

著者は、作家であるサン=テグジュペリの言葉を以て述べる。共創型の仕事にしていくために。
「愛とはお互いを見つめ合うことではなく、共に同じ方向を見つめることである」

仕事の研究
作者:美濃部哲也
発売日:2022年3月1日
メディア:単行本

 

 

【書評】自分の親は、自分が選んでいた!!『胎内記憶図鑑』

本書は、胎内記憶のある6,000人の子供たちの証言を元に作られたものである。医学博士であり産婦人科医でもある池川氏が1999年より胎内記憶の研究を行い、また、絵本作家のぶみ氏もイベントで絵本の読み聞かせをした際などに子供たちから直接話しを聞いたそうだが、世界中の子供たちが同じような話をしているため、子供同士が示し合わせて作り話をするということも考えにくいという。

そもそも胎内記憶は日本人の子供だと約30%ぐらいが持っており、だいたい2歳から話し始める子が多く、小学校低学年ぐらいで忘れてくるそうだが、大人でも約1%が記憶している。その記憶とは、自分が生まれる前、お母さんのお腹の中にいた時の様子や、お母さんが突然食べたくなったもの、よく着ていた服などを見ていたそうだ。また、自分が逆子だったことや帝王切開で生まれたことなど親が教えていないことまでも知っているという。さらには、どうやって自分の親を選んだのか?そう。衝撃の事実は、自分自身が親を選んでいるということ。

その理由の多くは、お母さんの心がかわいいから、優しいから、また、寂しそう、辛そうだったからというもの。いずれにしても生まれてきた理由は、お母さんを喜ばせるため。そこが共通項なのだという。そのため、10歳になるまではお母さんを喜ばせるために生き、その後は自分にしかできないことを探しながら生きるのだという。世の中にはまだまだ知らないことがたくさんあるが、それをどう捉えるかで人生の幅が広がり面白さが増すのだろう。

 

 

【書評】料理の基本はこの一冊『料理の四面体』

世界のあらゆる料理に共通する単純で明快な原理、そんなものが果たしてあるのだろうか?疑って開いた本書のページ。めくればめくるほど、料理の本質が見えてくる。

本書の特徴として説明が丁寧である。そのおかげで肝である、料理の四面体がすっと入ってくる。各論から総論になる流れが論理的な構成だと感じた。また「料理」という言葉については、はっとさせられた。料理は料(はか)り理(おさ)めるというのが本来の意味である。改めてこの意味を考えると料理をするという行為は誠に奥が深い。

料理の普遍的な原理が書かれており、この基本を押さえれば料理のレパートリーは勝手に増えていくだろう。そしてその原理は単純である。本質的なものほどシンプルであると改めて感じた。料理の発展は人間の発展である。

著者 玉村豊男
出版社 中公文庫
出版年 2010年

 

 

【書評】ナンセンスから純文学まで、言語を遊び尽くす。『エロチック街道』

多作を誇る著者のこと、次はどれを読もうかとAmazonを検索。
短編集ゆえこれといった選択の基準というものが特には無い為、やや迷うのであるが、決めるに当たってやはりタイトルは重要な要素だ。
しかし、だからといって、そう言う意味で選んだのではないことは断りを入れておかねばならぬ。
そ、そんなものを期待した訳じゃないよ。いい〜や、マ、マジで。
例の、ぶっ飛んだ展開を予想したまでのこと。だって、普通は付けないでしょうよ、こんな題名は。

発刊された頃には既に作家生活二十年ほど。収録されている18編は、初期のスラップスティックな作風ではなく、前衛的で実験的な作品が多い印象で、あんまりドタバタ、グチャグチャ、メロメロというよりは、みっしりとじっくりとした作品が続く。
こうなってくると良く分かるのが、文章の巧みさだ。
分かり易い盛り上がりが有るでもないのだが、ちゃーんと読み進めていけるのだから著者の筆力には頭が下がる。
その顕著な例は、冒頭の『中隊長』。主人公の中隊長の随筆みたいなものというだけであって、何が起こる訳でもないが、流れる様に読めてしまう。そしてテーマと言えるのが、ただ単に中隊長の性格に依っているということに次第に気付いていき、おお、なるほど、むむむとなるのだ。
他には、言ってることがデタラメばかりな『昔はよかったなあ』、『日本地球ことば教える学部』とか、淡々とそのプロセスを描写するかと思えば、次第に裏切られていく『寝る方法』、『冷水シャワーを浴びる方法』、『歩くとき』の方法シリーズ(?)、ああ楽しいなぁといった感じで読める『ジャズ大名』等々。

という訳で、あんまり「こういう傾向の作品集」と決めつけ難い一冊であるが、何が出てくるのか予想の付かない迷宮の面白さを体感ください。

エロチック街道
作者:筒井 康隆
発売日:1984年10月25日
メディア:文庫本

 

 

【書評】親という既成概念『まずは親を超えなさい!』

 

タイトルでは「まずは」と謳っている、という事はこの先がある。この先に待ち構えているものはとても身近なものであり、ある意味厄介なものかもしれない。なんとなく想像ついてる方はいると思うが、それの乗り越え方とは?

著者である、苫米地氏は脳機能学者ということもあり、知識を交えての見識が面白い。無意識なものが意識的になってくる、これは指摘されないと一生気付かない。一つ一つの章は短く構成されていて、私は読みやすいと感じた。自分を変えたいと思っている方には、何か刺さるかもしれない。

私の場合は何か行動を起こす時は感情(脳)と筋肉の働きが大事だと思う。何かに触発されて感情が動き脳へ刺激がいくことで起爆剤になる、そして行動力すなわち筋肉を動かす事である。脳から筋肉への流れが、抽象的から具体的という流れに似ている気がする。この具体的にする力を持っている人は少ない。

著者 苫米地 英人
出版社 フォレスト出版
出版年 2009年

 

まずは親を超えなさい!

まずは親を超えなさい!

Amazon

 

【書評】命ある時、すべきこと『メメント・モリ』

「ちょっとそこのあんた、顔がないですよ」
本書を開くと、まず飛び込んでくる魂のメッセージ。この言葉はその時の自分の気持ちを測るバロメーターのように感じる。あなたにはどう感じましたか。その何とも言えない気持ちのまま、本書に飛び込んで下さい。

生と死がテーマ。写真と共に短い筆者のメッセージで進む本書、こういうのをアフォリズムというのかな。本当にすぐ完読できる。しかし、熟読するのは時間がかかる。筆者はボロボロになるまで読んで欲しいと思いを込めている。ボロボロになればなるほど、輝く一冊。

メメント・モリは「自分はいつか必ず死ぬから、死を忘れるな」とのこと。死を思ってこそ、生きると実感出来るのであろう。そして、死が訪れた瞬間に死を決断する力が求められる。これは自殺をするという意味ではない。生き抜いたものだからこそ、死を決断して選び取ったのだ。

著者 藤原新也
出版社 三五館
出版年 2008年

 

Memento-Mori