大人になると大抵の人は何らかの仕事をしながら生きていく。多くは会社員などの従業員として働いているだろう。このままでいいのかと悩むことは少なからずあるはずだ。仕事が楽しくない、でも楽しみたい。このままこの会社にいて、将来的に食いっぱぐれることはないのだろうか。そんな悩みに対して、本書にはそのヒントが具体的に書かれている。
私が最も面白いと思ったのは後半部分だ。本書は第4章まであるが、第4章で目から鱗が落ちる思いがした。それまでの3章は、そのための序章と言ってもよいかもしれない。
人は仕事に対して3種類のタイプに分かれる。その仕事が好きでしょうがない人、仕事は最小限に抑えて趣味を充実させる人、だらだらと文句を言いながら現状維持で仕事をする人だ。最後のタイプの人間には誰もなりたくないだろう。だが、最初の「仕事人間」とその次のいわば「趣味人間」では、前者になりたいと思う人が多いのではないか。折角なら大好きなことを仕事にしたいと思うだろう。
ここで著者は、好きなものがはっきりしている人間はたったの1%だと言う。残りの99%は必ずしもそうではない。ではどうやって仕事を楽しむかというと、自分が居やすい状態でいられる環境にいることだと言う。自由な雰囲気、もしくは規律のある雰囲気などだ。私はこれを読んで、肩の力が抜ける気がした。誰もが、仕事が好きで好きでしょうがないという状態を目指さないといけない、という訳ではないからだ。
私は仕事も好きだが、それよりも趣味を充実させることに力を入れている。元々あまり趣味がない方だったので、最初は探すのに苦労氏た。それに、無駄なことはしたくない、必要なことだけをやりたいと思うタイプだからだ。そこでまず趣味をカテゴリーに分けてみた。生活を充実させるためには、脳と身体と感情をバランスよく活用することが有効ではないかと考えた。文武両道ならぬ、文武芸鼎立だ。私はこの書評を書く、ボクシングをする、演劇をすることを軸にすることにした。プライベートも充実してきたし、切り替えがうまくいくので仕事にもよい影響を与えているように思う。もし趣味がないという方は参考にしてみて頂きたい。
仕事とどのように向き合うかは人それぞれの価値観がある。もちろんそれは自由だが、少しでも楽しく仕事をしたい、自分の価値を高めたいと思う人は一度読んでみて頂きたい。