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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】気づきとか学びとか、ほんとはどうでもいい。『本の読める場所を求めて』

 

「人の読書離れを憂うな」
こんな言葉が本書にでてきた。ほんとそうだと思った。読書が好きな人にとって、読書とは何だろうか。楽しい、好き、趣味。それだけだ。ほんとは気づきや学びとかどうでもいい。楽しければいい。人の読書離れを憂う必要なんてないのだ。余計なお世話だ。

本書は、本を気持ちよく楽しくうれしく読みたい、それを可能にしてくれる場所はどこかにないか、どうあればそれができるかを考え続けた、著者の思考と実践のドキュメントである。

ところで、みなさんはどこで本を読むだろうか。

例えば、喫茶店に行くとする。「よし、今日はこのぶ厚い物語に没頭してやる!」そんな気持ちで意気揚々と店の門をくぐる。席について、ブレンドコーヒーを注文して、さあ読書だ!と本を開く。最初は周りに一人客がちらほらいるくらいで、いい感じだ。しかし第1章をもう少しで読み終える、いよいよ物語が始まる、というところで、隣に若い女性が二人座る。そしたらもちろん、彼氏の愚痴と会社の愚痴がはじまる。そして脳内で物語を読む声は彼女達の声にどんどんかき消され、意識はいつのまにかそちらへ…

じゃあ家で読めばいいじゃん。と言われそうだが、家にいる時間というのは以外とやることが多い。読書をしていたはずがいつのまにか料理を作っていたり、洗濯を始めていたり。短時間ならまだしも、長時間読書に没頭する、というのは案外難しいのだ。読書とはとても繊細なものなのだ。

でも、したい。この世のありとあらゆる邪魔を排除して、読書にだけ、好きなだけ没頭したい。それ以外のことは何一つ考えたくない。

そんな人のためだけの店を作り続けている変態的読書家が、本書の著者であり、”本の読める店”「fuzkue」店主の阿久津隆氏なのだ。

本好きはとてつもない共感を味わえる本だと思う。そして「fuzkue」に絶対に行きたくなる。今度行こうっと。