書店数の推移、2000年には約21000だったのが2020年には約11000と約半分に減った。その中の1つに本書の書店も含まれている。時代の波に逆らえず、愚直に本を愛した店長が最後まで抗った物語。忙しかった時期もあったが、近くに大型書店が出来て徐々に客足が遠のいていき、やがて閉店する流れへ。その時その時の店長のありのままのリアルな感情が綴られている。
内容としてはブラック企業で働くサラリーマンの愚痴に近い感じはする。ただ本が好きなのは確かで、書店の品揃えなどはデータに頼らずに今までの経験で行うという職人気質なところがある。本当に好きな事を仕事に選んだのに、人生は上手くいかないものだ。
個人的にはここ20年くらいで書店の在り方も変わってきていると感じる。昔は週刊誌など欲しい本を買うためだけに行っていたのが、今では出会いを求めるような感じで本屋に入る。そこで良い出会いがあれば買って帰るが、不思議と家で読むと、あれ?と思うことはしばしば。人も同じかな?
著者 伊達雅彦
出版社 パルコ
出版年 2010年