HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】あなたはあなたが思うがままに時間を過ごしていますか『モモ』

本書のテーマは「時間」。人それぞれ時間の使い方は違う、そして得られる物も。時間という有限なものを通して見られる人間模様が面白い。本書を読めば時間について改めて考えるきっかけになるかもしれない。

400ページあるが、物語自体のテンポは良く、サクサク読める。子供が読めばキャラクターや物語に魅了され、また時間について新しい発見が出来るであろう。大人が読めば、何かについてはっと気付かされる、そんな内容であろう。本書では語られなかった謎みたいなものもあり、それをみんなで話し合うのも面白いであろう。奥が深いミヒャエル・エンデ

私としては時間とお金の使い方でその人の価値観みたいなものがわかる気がする。だから時間やお金の使い方にあまり口出ししない様にしている。だらだらする?良いじゃないかですか、あなたが思うがままに過ごしていれば。

著者 ミヒャエル・エンデ
出版社 岩波少年文庫
出版年 2005年

 

 

【書評】過去よりも未来を見て、今のこの瞬間を大切に。『小林教授の肩の力を抜くとすべてよくなる』

 

人生をどう生きるか。
自己啓発でもなく、哲学でもなく、医者として、そして60歳を超えた者という立場から書かれている本書では、冒頭に於いて、まず、肩の力を抜いてみてはどうかと読者に問いかけている。
人に好かれたい、人に認められたい、褒められたい。手放せないしがらみの数々。あれもこれもと頑張る。その結果、肩に力を入れすぎた生き方になってはいないだろうか。
色々と背負い込んでいるもの。しかし、それらは本当に大事なのだろうか。整理してみて、力が抜けた生き方をしてみれば、きっと楽しく、健康になれるのではないか。

順天堂大学医学部教授である著者は、これまでも多数の著作があるらしいが、主なテーマとなっているのは、自律神経と腸内環境なのだそうだ。
本書でも、ストレスや生活の乱れが自律神経に変調をきたすと言い、交感神経と副交感神経のバランスについてや、ストレスホルモンのコルチゾール、幸せホルモンであるセロトニンなどについての説明にも多くのページを割いている。
だが、小難しいことを述べるでもなく、こういった態度でいるとこうなっちゃうよとか、こんなことをすればいい感じになるという具合で、それこそストレスなく読めるものだ。

また、不調の原因「肩の荷」を下ろそうという訳で、「立場」を手放すとスッキリする、「過去」を手放すと未来が開ける、「欲」を手放すと豊かになる、と説く。過分に自らの経験、というか、自分の場合こうだった、という話な訳なのだが、自己啓発的な手法+自律神経的な発想がちょっと面白い。
ただ、年齢を重ねると体の調子や状態が悪くなってくるということに関する話題も多めで、著者の年齢ゆえとは言え、その辺りは若干読者の層を選ぶこととなるかもしれない。

私としては、「過去」を手放す章のなかにあった、「3行日記で過去を整理」という一節は少し気になる。
一日の終わりに簡単な日記をつける。その方法は、以下を書き出すことだ。
一、今日、一番イヤだったこと
二、今日、一番うれしかったこと
三、明日の目標
これは、著者がアイルランドの医師から学んだメンタルコントロールのテクニックなのだそうで、ちょっとやってみようかなと思わされた。
その効果のほどをお知りになりたい方は、どうぞご一読をと言うことで。

小林教授の肩の力を抜くとすべてよくなる
作者:小林弘幸
発売日:2022年1月1日
メディア:単行本

 

 

【書評】お伊勢参りの先に見えるものは?『弥次喜多 in DEEP』

 

第5回手塚治虫文化賞・マンガ優秀賞を受賞。
前作の「真夜中の弥次さん喜多さん」はクドカン原作で映画化もされている。

一行はお伊勢さんに向っていると言う大枠の目的があるが二人の設定がゲイであったりヤク中であったりとアクが強く、作者のしりあがり寿の絵柄もあって全体的にギャグ漫画の体裁となっている。

「体裁」と書いたのには意味があり、ただのギャグ漫画ではないからである。
前半は1話完結のオムニバス形式が続いていくが、

 死すら無かった事に出来る「ふりだしの畳」
 メビウスの輪のように時間が交差する「塀の向こう」
 道や己の存在意義がわからない「ヤマモクさん」

など、テーマを持った話が多い。
引き合いに出して良いかわからないが到着する星ごとにテーマが違う銀河鉄道999を思い出したりもした。

ただ、銀河鉄道999のようにわかりやすいテーマではなく、(999が薄いと言うわけではないです)
不条理ギャグ漫画家が書いているからなのか各話の受け取り方は読み手次第となる。
恐らくそれぞれの読者が生きてきて目聞き体験した事から答えは変わってくるのだろう。

中盤から鳥の親子や千年の宿の息子など登場人物が増えてきて途端にストーリー性が増してくるが、現実と夢を行ったり来たりしながら展開のギアを上げ、生とは何か、死とは何か。神はどのように出来るか。人は何を信じて生きていくのかなど、当初のギャグ漫画の要素を置き去りにして壮大なテーマへと昇華していく。

物語は大きく膨らみ、最後は収束を迎えていくが、収束の後に弥次さんと喜多さんがある登場人物に投げかける言葉はこのイノチが希薄な世界で我々に語り掛ける言葉となり、読者に人生の一歩を踏み出す勇気を与える言葉となるだろう。

 

 

【書評】開かない扉はない。自分の未来は自分で創れる『そういえば、いつも目の前のことだけやってきた〜頑張るあなたが人生を楽しむ54の方法〜』

 

著者が、短大卒業後に入社した企業はフジテレビ。誰もが想像する華やかな世界とは裏腹に著者に与えられた仕事は、お茶汲みやコピー取り、伝票整理などのいわゆる事務職。当時女性は、25歳定年制というルールがあり、採用の条件は、「25歳で辞める」と約束することだったという。そのため、やりがいを求めてバリバリ働く意識の高いやる気のある女性は全く求められていなかったそうだ。

そのような環境におかれた著者自身は、もともと仕事に対してキャリア志向や野心もなかったため期待や見返りを求めず、また、男性社会で戦うのではなく、常に目の前のことに一生懸命に取り組み、好き嫌いで判断せず仕事の中にも自分なりの楽しさを見出し、人が喜んでくれることを嬉しく思っていたそうだ。そのような心構えの著者には当然、想像もしていなかったような仕事が舞い込んできたり、著者をサポートしてくれる人たちも増え、事務職から編集長に、また、フジサンケイグループ初の女性役員に就任することとなった。

本書には、著者が仕事で学んだコミュニケーション、人生の波に上手く乗るための武器、人から信頼を得るための基本など、仕事はもちろん、人生においての多くの学びが詰まっている。そして、著者は現在、出版プロデュースはもちろんのこと、人間力を育むおしず塾や著者の自宅に招かれたような優雅で素敵な雰囲気の中で学べる銀座百年大学での大人気講座など多方面でさらなる活躍をしている。

前例のないことにも果敢に挑戦し、仕事も結婚も子育てもやりたいことはなんでも諦めない。そんな著者の素顔が垣間見れる一冊である。

 

 

【新着記事】ひとつ願いが叶うなら何を願いますか?『バースディー・ガール』

 

 言わずと知れた村上春樹のこの短編小説は、中学3年生の国語の教科書に採用されている。主人公の彼女の願いは言及されない。我々に問われているのは、「願い」が何か?ではなく、「願い」を導き出す工程なのだと思う。

 端的に言うと僕が二十歳のバースディを迎えた彼女と彼女がバイトするレストランのオーナーとの不思議な体験を聞くストーリーである。二十歳の誕生日に非番であったアルバイトの女性が、同僚と交代するはめになり、レストランでのウエイトレスの仕事につく。何事もなく終わるはずだったその日、レストランのオーナーの部屋に食事を運ぶことになり、不思議な体験をするところで話が展開する。
 オーナーである老人は願い事をひとつだけかなえてくれると言う。これがこの小説のキーである。
彼女の願いは何か?僕との話の中で、最後まで彼女の願いははっきりと示されない。彼女はオーナーが想像するような願いを言ったわけではなかった。だが、数十年経った現在、僕に問われた彼女は彼女の願いがかなったかどうかはイエスでノオであって時間が解決すると話すのだ。そしてその願いをしたことに後悔はないと言う。
そして彼女に願いを聞かれた僕は考えて「何ひとつない」と答える。この展開がいかにも村上春樹だ。彼女の話から僕の話に変えることで急に一般化する。とても自然に。
一つの願いを問われた時に何を考えるだろうか?自分、他人、現在、未来、具体的、抽象的、可視、不可視、と様々な視点で考えるだろう。彼女はその後僕をまっすぐな素直な視線で見つめるところで終わる。
ぱっと読むと悲しい物語のように読めるが、幸福感が同時進行しているように感じられる。願いごとが何ひとつもないと言う人生を、悲愴と捉えるのか、幸福であると捉えるのか。後者であると願いたい。
さて、ここで問います。あなたの願いは何ですか?

 

 

【書評】疲れない人付き合いには無視?!『プロカウンセラーが教える他人の言葉をスルーする技術』

人の悩みはほぼ人間関係なんだそう。確かに現代社会において人と関らずに生きていくことは困難だろう。だからこそ、コミュニケーションの中での取捨選択が大切になってくるのだ。

 共感力、鈍感力、数年前に流行った言葉である。もはやコミュニケーションにおいてどちらが正しいのかよくわからなくなる。特に日本文化では相手を慮り、行間読むことを重要視されている。ただ初対面の方、付き合いの浅い方の行間なんて読めるだろうか?そう、人間が社会的な生き物であることも相まってその人の本心なんて誰も読めないのだ。
  相手からのどの情報を受け止めるかは、自分の物差しを基準にしていいのだそう。相手がさまざまなメッセージを送ってきたとして、自分の基準で内容を判断してよいと許可する。もちろん、相手の話はきちんと聞いている様子を見せる。ただし、内容について全て受け入れる必要はないのだ。確かにカウンセラーがクライエントの話を全てまともに受け止めていたら心が保たないだろう。なんだか納得してしまった。
  人間関係を保つためには、結局は共感力も鈍感力も傾聴も受容もすべて必要なのだ。私たちに求められているのは、誰にどのタイミングでどのスキルを使うかを瞬時に考えることなのだ。一生勉強とはよく言ったものだ。

 

 

【書評】いい人って疲れません?『いい人なのに嫌われるわけ』

 

 いい人ってあなたの周りにいませんか?もしくはいい人って言われませんか?それって必ずしも良い意味で使われていないかも。いい人と、周りにいい人がいる人へ送る人付き合いの本です。

 いい人の行動にモヤモヤを感じたことありませんか?そして、いい人にモヤモヤ感を抱いて、なんでモヤモヤするんだろう?って思ってしまったことありませんか?いいんです!これは人間が狩猟民族から文明社会へ進化する中で生じてきた齟齬の結果抱く違和感なんだそう。なので、まずはいい人にモヤモヤを抱くことを特に問題ではないと理解しましょう!
  いい人と言ってもいろいろないい人がいると思われる。この著書では17タイプに分けて解説している。人助け、気遣い、即断即決、仲間意識などの分類である。自分自身も含めていい人に関わる人はきっとどれかに当てはまるだろう。集団生活を楽しく過ごしたいと思っている人にとっては、自分自身がどう人と接するか、いい人とどう接するといいのか、トリセツのような一冊とも言えるだろう。新年度始まってモヤモヤしている方。いかがでしょう?

 

 

【書評】お尻は生活習慣のエビデンスなのではないか 『マンガでわかる痔の治し方』

気にはなるけど中々人には相談できない「痔」。そんな痔について、ゆるいタッチのマンガの対話形式と日常生活をリアルに表現した明日から実践したくなるマンガ!

痔という相談しづらいテーマに、マンガの組み合わせは手にとって読んでみようとなる。日常生活と痔の関係や改善方法。医者であっても相談しづらい内容も網羅しており、気になったら受診してみようとなる。

一言で言うと「痔」は、生活習慣のエビデンスと言ってもいいのではないか。人が二足歩行になってから心臓より下にあるお尻に血が溜まりやすく、ちょっとした生活の乱れが痔になっていくのだという。日本人の3人に1人が痔だとも言われている。生活習慣の改善というとここ最近健康を意識して行動している人は年配者だけではなく若い世代でも多い印象。しかし、定期検診の項目ではないだけに知らないうちに痔になっていることも。

お酒を飲んだ次の日、なんだか下痢気味だな。寝不足気味の日はなんだが便秘かな。今日は調子いいなと思った日は快便だったなど、振り返ると体調と排泄は連動しているんだなと意識させられた。最近なんだが痔かもしれない。生活改善をしたい。お尻が気になるがどうしたら良い。など気になっている人は一度手に取ってほしい。また、普段から生活習慣に意識がある人も日々の排泄からその日の調子がわかるかもしれない。

マンガかつ対話形式の為、普段の生活とのイメージがしやすく理解しやすい内容となっているのではないだろうか。日頃の日常生活の調子について意識が高まる一冊になっている。

 

 

【書評】売れればOKという考え方と一線を画す。『いる接客、いらない接客』

 

本書を読んで欲しい人は、
・現場で接客の実務に携わる皆さん
・本部スタッフの皆さん
・経営者(事業の責任者)の皆さん
とのことなのだそうだ。
私は、「美味しく飲んで、健康になれるお水」という、消費財でもあり、健康食品でもあり、という一風変わった商品のメーカーの経営者である。
その販売方法は、宅配便による個別配送で無店舗小売業。いわゆる通販屋さんだ。
直接お客様候補の方へ新規営業するという機会はあまり無いのであるが、だからといって接客が不要という訳ではない。
基本的には、ウォーターサーバーを設置して継続利用していただくスタイルで、ストック型ビジネスであるので、一度商品を買っていただければそれで良し、とはいかない。お客様とは末永くご愛顧いただける関係づくりが必要なのだ。
既存顧客だからと言って、うかうかと安易に、ましてや粗雑に接する訳にはいかない。変なこと言っちゃったらば、お客様はウチの会社の品位や信頼性を疑う。お客様からの愛情を失ってしまった場合、我々は解約の憂き目に遭うのだ。
という訳だから、実店舗型の接客を主な前提として書かれていることは承知で、その精神はウチの会社でも取り入れるべき点も少なからずあるであろうと思って、私は本書を読んだのだった。

我々の住む社会に於いて、接客の機会は年を追うごとに減少している。それは実は最近のこととも言えない。
個人商店を中心としていた頃の昔々の小売では、「これはどういった商品なのか? どこで採れたものか? 消費期限は?」と、店頭でいちいち店員に一つひとつの商品について確認してからでないと買い物が出来なかった。
つまり、情報 = 接客だったのだ。
それが、1970年代のスーパーマーケットの台頭によるセルフ販売の時代になって変化が生じた。人々はわざわざ店員に確認するまでもなく食品を購入するのが当たり前になっていき、対面販売及び個人商店は減少の一途を辿っていった。
そして、インターネット時代の到来によって、情報は店に行かずとも机上で手に入る様になった。次いで、eコマースの登場によって買い物そのものが足を使わずに為せる様になったのだった。
さらに、AI技術の浸透、コロナ禍は、人が人に会うことなく、様々な用事を果たすことを加速させる。

では、接客は不要か?
確かに、ウィンドウショッピングをしている際に、にじり寄ってくる店員が煩わしい時は有る。
だが翻って、店員がなんで説明しに来ないんだよ! と思うことは 無いだろうか。そう、例えば高額製品を買うか、買わないか、買うんかーい、買わへんのかーい、そういった時とかだ。
通り一遍の情報収集はネットで = 接客不要。
商品の場所までの案内、若しくは商品配膳はロボットで = 接客不要。
決済はAI、キャッシュレスで = 接客不要。
買い物、消費行動に於いて幸福感を得るには? = 接客の出番だ。
逆の立場で物申せば、これから益々減っていくであろう接客だが、「ずっと残る接客」を研ぎ澄ますことに心を砕いていくことによって、我々はお客様に愛し続けられることとなる。
ずっと残る接客。そのポイントは、共感・共振・共有であると著者は言う。
さて、その極意は是非本書を手にしてご自身で確かめて欲しい。

時短を求めながら、一方それだけでは人は満たされることはない。
結局、人が幸せを感じるのは”人と何かを共にしたとき”だからだ。

あ、ところで、私の「美味しく飲んで、健康になれるお水」ってなぁに? と気になった稀有な方がいらっしゃいましたら、こちらをご参照ください!(宣伝)
『特許サプリ入りのお水宅配 サプリメント in ウォーター MCMのめぐみ』
https://mcm-megumi.com

いる接客、いらない接客
作者:齋藤孝
発売日:2021年12月24日
メディア:単行本

 

 

【書評】気象病とはなんぞや??『1万人を治療した天気痛ドクターが教える 「天気が悪いと調子が悪い」を自分で治す本』

 「雨降りそう」「古傷が痛む」「なんだか頭痛い」と‘なんとなく’感じることがないだろうか。かく言う論者も台風が近づいてくると頭が割れるように痛くなる。根性では治せないのだ。改善方法があると聞いたら、ぜひとも教えていただきたい!
 論者の頭痛は天気予報士より正確なことが多い。台風が近づく前に気圧の微妙な変化で頭痛が教えてくれるのだ。有難迷惑である。
著者は日本慢性疼痛学会認定専門医であり、天気痛ドクターとして天気痛・気象病外来を行っている。病気でも未病でもない、天気(気圧・気温)の影響を強く受けて発症する症状について気象病として、解説し解決法を教えてくれる。著者の研究では、内耳が敏感な人、自律神経が不安定な人がハイリスクであるそう。この著書は気象病が起こるメカニズムやデータを提示し、気象病を起こさないためのマッサージや体操、栄養素、汗をかく習慣などの対策を教えてくれる。ハイリスクであるのであれば、気象病を発症しないように対策を練ることができるのだそう。これは試すしかない!対策ってめんどくさかったり、難しいんでしょう?と思うかもしれない。
が!実際はそんなに難しい工程ではない。例えば内耳が気圧の変化に影響を受けないように耳の周りをマッサージする程度でいいのだ。これは実行できるかもしれない!そう思わせてくれる。他にも対策はいろいろ書かれている。
この著書を読むと、決して怠けているわけでも、根性がないわけでもない、と自信をもってこれから言えるようになるわけだ。そして自分の症状も軽減出来たら一石二鳥ではないだろうか!