HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】チャンドラー長編三作目は意外にウェット?『高い窓』

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本書は、レイモンド・チャンドラーの三作目の長編である。『さらば愛しき女よ』に続く流れで、これも何十年か振りに再読したが、非常に楽しく読めた。

同じく、私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とし、彼は或る依頼事に関わるうちに、例によって立て続けに殺人事件に出くわしていく。
と、書くと、伝統芸の様な決まりきったパターン物の印象を与えるかもしれないが、本書については読み始めて暫くすると、他の作品とはやや異なる雰囲気を感じた。
一作目『大いなる眠り』、二作目『さらば愛しき女よ』に比べて、暴力性は随分と鳴りを潜め、マーロウが殴られる事も無い。それよりも、シャープな会話劇が多く繰り広げられ、そしてその為に、洒落た比喩表現と各登場人物の心理が汲み取れる様な描写が細かく書かれており、ドライさが抑えられているところが新鮮だ。
また、この作品に於いては、冷静な態度を保ちつつも、マーロウが若干いつもに比べて感情的、感傷的になっている様だし、物語の締めについても甚だ個人的な範囲というか、社会的な正義などとはまったく関係なく終わらせており、真実などどうでも良いこととしているのはなかなかユニークだ。

ユニークと言えば、伏線らしいものを幾つか散りばめながら、結局なんでもなかったり、余計な登場人物がいたりもするが、これもチャンドラーの試験的な試みなのか、それとも自らの作風に飽きて変化を加えてみたかったのか、そこのところは分からない。
元々、登場人物の動作などについて細かく筆を費やすチャンドラーのことだから、より映画的な作品にすることを意識した結果なのかもしれない。

なお、今回取り上げた1988年版は、チャンドラーとの名コンビを見せてくれていた清水俊二氏が、改めて過去の作品にまで遡って翻訳を行なった最後の一作である。死の間際まで取り掛かり、あと一息のところで未完となってしまい、戸田奈津子氏が引き続いで完成した。

 

高い窓

高い窓

 

 

【書評】一億総アーティスト時代『コミュニケーションを生み出すアートの力』

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トリックアートとは、西洋のだまし絵をヒントに作られた技法で、壁に描かれた絵が人の錯覚により飛び出して見えたり、写真を撮ってみると、あたかも自分がその作品の中に入り込んでしまったかのように見えるアート作品の一つである。

評者が子供の頃、大ブームとなり地方の複数のトリックアートミュージアムへ行ったことを記憶している。トリックアートとは、意外にも日本発のアート作品であり、著者の兄によってアートは一部の人ものではなく、専門知識のない人にも、コミュニケーションのツールになればと作り出されたものだそうだ。

このような不思議な世界を日常的に味わってもらうためにと、製作現場も公開しているという。例えば、崖に作る大きな作品には、遠くからでも楽しんでもらえるように、足場を組み、実際に現場で作業している風景を作品に取り込んでみたり、また、作業が進んでいくと、作品の中の作業員の数も増えていき、一つの作品が出来上がるまでに、何通りもの変化を表現する試みは、とてもユーモアセンスが溢れている。

また現在では、ARやアプリを使って体験できる作品もあるそうだ。昔と違い誰でも手軽に写真を撮り、取り直しも容易になったため、写真を撮る人とモデルになる人が上手く連携し、誰もが気軽にアート作品を作れる。さらに、作品に込められたトリックも、知識や年齢など関係なく誰もが楽しめるため、子供達が素早く見つけ出し、いつまでもトリックがわからない親に教えてあげている場面がよくあるそうだ。

世の中の状況が一変したことにより、人々のコミュニケーションも変化してしまった。しかしその一方で、一緒にいる人と同じ空間を共有したときの安心感や、幸福感を人々は求めていると著者はいう。

 

 

【書評】著者の経験に触れられることは、幸せなこと『ビジネスエリート必読の名著15』

 

名著には、人の悩みや個性を理解するためのヒントがあると著者はいう。また、世の中の仕組みを知ることで、日常に起こる出来事が理解できるようになるそうだ。そのためには、名著から学ぶことが効率がいい。

なぜなら、名著は著者が長年にわたり経験したり、研究してきたことが瞬時に理解できる貴重なものだからだ。本とは不思議なもので、なにか自分が困っていること、わからないことがあるときに自ら探し求めなくてもその答えやヒントが自然ともたらされる。だから読書は面白い。

本書では、15冊の名著が紹介されている。そのなかには、評者が所属する堀江貴文イノベーション大学校(HIU)の主宰者でもある堀江貴文氏の著書『多動力』も紹介されている。『多動力』は、メインの内容をベースに様々な方向へ展開され、また新たなプロジェクトが進行中だ。

書籍として出来上がったものを手にすることは簡単だが、その書籍がどのようにして作られていくのか、その作品の一つ一つが出来上がっていく過程をみられることは、非常に面白い経験だ。

評者は昨年、仕事で思わぬことを経験することとなった。どのような結果になるかはわからなくても、そのときの最善の選択をし、行動していくことの重要さを学んだのは、間違いなく堀江貴文氏からだと思う。恐らくその学びがなかったら、他の従業員と同じように、そもそもその状況を「何とかしよう」とも思わなかったかもしれない。

堀江貴文氏の著書からももちろんだが、HIUでは、ビジネスについて多くのことが自然と学べ、例え自分の行動が人から中傷されたとしても、自分が正しいと思う道を貫くことができるようにもなった。正直周りの中傷してくる人たちは、自分で何も学ぼうともせず、ただ不安にかられた状況に不満をぶつけてるにすぎない。そんなことをいちいち気にしていたら何も進めない。

世の中には様々な人たちが存在する。自分で考え行動できる人。そして、評者が勤めるビジネススクールに来るような全く行動できないわけではないが、世の中の常識にがんじからめになり、かなり背中を押さないとなかなか動けない人。意外とこの層は非常に多い。自分の自由を自ら奪っている人も多くの学びにより自由を手に入れられたらいいと思う。

『多動力』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2017/05/27/084947

『英語の多動力』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2018/08/11/220038

『マンガで身につく多動力』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2018/03/21/220041

『グルメ多動力』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2019/11/20/220000 

 

ビジネスエリート必読の名著15

ビジネスエリート必読の名著15

  • 作者:大賀 康史
  • 発売日: 2020/11/21
  • メディア: 単行本
 

 

【書評】データサイエンティストって何をしているの?を解決する本。『未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス 』

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本書はAIって実際に何ができるの?データサイエンティストって仕事をよく聞くけど何しているの?、自分の会社でもよくわかってないけどAIを使いたい!。そんな人が1冊目に読むのにおすすめの本だ。

これまでの日本社会はKKD(勘・経験・度胸)が大事であったが時代は変わった。これからはDNA(データ、数字、AI)の時代だ。そして本書を読んでデータサイエンスがわかることはない。難しく努力が必要だからこそ意味がある。

実際にデータサイエンス、AIを導入したい経営者も多いだろう。本書ではそんな時の問題点がいくつかあげられている。

どんな分野でもよくある話だが、現場の意見と経営者の意見はいつも違うものだ。例えばスーパーの経営者がAIで業務改善だ!といって、データサイエンティストを雇ったとしても、そのデータサイエンティストに専門性がないとすると「夏にはアイスが売れます」と言ったことしか提案できないかもしれない。

経営者にもデータサイエンスの教養が必要である。またデータサイエンティストには高いビジネス力が必要そうだ。あるいはこれからは経営者とデータサイエンティストの橋渡しができる人とチームを組む方が重要かもしれない。

いずれにせよこれまでは勘と経験と度胸で仕事をしてきた人たちは危機感を持った方がいい。これからはデータ・数字・AIの時代だ。常に勉強することができない人はすぐに淘汰されるだろう。今危機感を持った人には本書をまず強くお勧めする。

 

未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス

未来IT図解 これからのデータサイエンスビジネス

 

 

【書評】あなたの周りの若くて美しくおしゃれなあの人は魔女かもしれない『魔女がいっぱい』

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本作はイギリスの小説家であり脚本家でもあるロアルド・ダール氏の児童文学をもとにロバート・ゼメキス氏がユーモラスで不思議な世界を映画化した作品である。また、『チャーリーとチョコレート工場』も著者による原作のため、本作にも随所にストーリーを彷彿とさせるようなシーンが見られ、楽しみが膨らんだ。

世界中のあらゆる場所に魔女が存在する。自分のほんの身近な例えば、かつて通った学校の先生や街中を走るバスの運転手も魔女かもしれない。なぜなら、魔女は人間に交ざり生活し、一見すると区別がつかない。こんなところから、ストーリーは展開されていく。

そんな魔女の特徴は、普段はメイクで隠しているが、耳まで繋がるような大きくさけた口、坊主頭を隠すためのカツラ、少ない指を隠すための手袋や細いパンプス。そして極めつけは、人間の子供の臭いを嗅ぎわけるための20センチにも及ぶ鼻の穴だそうだ。

魔女達は人間の子供が大嫌い。世界中の子供達を捕まえて魔法の薬を使い、動物に変身させてしまう。これが魔女達の活動なのだ。そして、世界中の魔女達をまとめ、取り仕切るのがアン・ハサウェイ演じる大魔女だ。

シックで豪華な衣装を身に纏い、右腕には黒猫、そしてドレスに絡まる蛇。これから始まる不気味な世界をまるで物語っているような装いだ。CGや特殊メイク等の効果もあるのだろうが、目鼻立ちのハッキリとした美しい顔からは、なかなか想像がつかないあの邪悪な表情と演技は凄まじい。美人だからこそ余計にその表情が際立ち、より狂喜を感じるのかもしれない。

評者は、兄弟もいなく、周りに子供がいる環境でもないので、子供に感情移入するようなことはないのだが、それでもその演技力は、邪悪なウィッチによりネズミにされてしまった子供達による逆転劇を応援したくなるほどのものであった。 

 

 

【書評】知らない間に乱れている自律神経『医者がやっている自律神経を整える働き方』

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なんとなく怠い
集中力が続かない
肩凝りや腰痛

そんな症状を抱える現代人が年々増えています。
無理もありません。
コロナによる外出自粛、テレワークによる就業時間の曖昧化などにより生活が急激に変わってしまったからです。
この急激な変化は人体の自律神経を乱すには十分なストレスになります。

この本には乱れた自律神経を整えるための体操や食事、睡眠の方法などが書かれており、何か1つでも実行していただけると良いと思います。

現代といえども、私たちの体は原人の頃からあまり進化していません。時代の急激な変化と身体の進化はミスマッチを繰り返し、それをコロナが拍車をかけたと思います。

私たちは人と会って、声を聞いて、外出して太陽に当たる。食事はゆっくり食べて夜は早く寝る。この生活様式が霊長類ヒト科としての基本であり、自律神経の問題はは基本の乱れによって引き起こされます。

本書で乱れた自律神経を整えましょう。

 

医者がやっている自律神経を整える働き方

医者がやっている自律神経を整える働き方

 

 

【書評】ホリエモンを諦めた人へ 『稼ぐことから逃げるな』

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著者は年収チャンネルで過激な発言でお馴染みの株本祐己氏であり、「自己啓発本やビジネス書なんか絶対読まないよ。」と言いつつ出版したビジネス書である。

 現時点のAmazonカスタマーレビューは33件で☆5つが52%、☆1つが24%となっており、☆5のレビューは「読んでませんがとてもために…」、「私は大学3年生ですが…」と支持層としてはやや物足りないが、そもそも株本氏の支持層がレビューなどする訳がないので私は納得している。他は自慢話、自己満本、「立ち読みで十分」、「株本氏が嫌いなので☆1にしました」などであり、この本のレビューにすらなっていない。

 個人的な意見だが、私はこの本が好きである。
書店のビジネス書のコーナーで目立つように宣伝してもらっているのは、ホリエモンキングコング西野さんなどのインフルエンサー、ほかには松下幸之助渋沢栄一などの古典的な大経営者である。私のような凡人からしてみると参考にならないほど偉大であり、内容は抽象的かつ精神論が多く含まれているので具体的な行動変容には繋がらないことが多い。リアルを感じにくいのだ。

 しかし、それらと比較して本書は非常に具体的かつ現実的であるといえる。
「夢を叶えるよりも稼ぐ方が難しい。」と筆者は述べているがそれもリアルである。

夢を語るよりも東大に合格するために勉強することのほうが難しいし、子供を県外の私立に送り一人暮らしをさせることの方がはるかに難しい。

夢を見るより、財務表を見て赤字を黒字にするほうが難しいし、意味不明な部下のミスの責任を取らされることのほうが辛いし、馬が合わない上司が評価者になったときは吐き気がする。

これらの対応こそが現実なのだ。
株本氏のキャリアの特徴は偉大過ぎる著名人たちと比較しても汎用性、再現性が高いと考えることができる。株本氏がいる層は本も出版しないしメディアに露出することが無いが、社会人として自然と目指している層である。

私たちが見るべきは夢でも偉人ではなく、泥臭いことやしんどいことに食らいついて会社の売り上げを立てているハードワーカーではないだろうか。それが株本氏を支持する層なのです。
株本氏の露出は偉人を支えていた優秀なハードワーカーたちのピックアップを意味します。新しいカテゴリーの出現です。

 

 

【書評】ベンチャー女優というスター性『対峙力~誰にでも堂々と振る舞えるコミュニケーション術~』

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著者は、自分のことを人見知りで小心者。基本的には、引きこもりだという。常に人目が気になり、失敗したくない。嫌われたくない。周りからよく見られたい。評価されたいという気持ちが強かったそうだ。

スターを目指し15歳で芸能界入りしたものの、7年後には自分の望まないかたちでフリーになってしまい、事務所からのバックアップもなくなり、人と円滑にコミュニケーションをとるために、試行錯誤してきたそうだ。

当時はその状況に納得できず、抗い続けながらも多くの人から支えられ、人と同じ道ではなく、自分は自分のやり方で、今自分に求められることをできるようにして、自分の得意なことで世の中を渡っていく方が良いと気づいたそうだ。また、自分の弱点を素直に受け入れ、相手のいいところを尊敬し学んだ方が人生が豊かになると著者は言う。

著者には評者も所属する堀江貴文イノベーション大学校(HIU)でも、度々イベントのMCをお願いすることがある。しかし、イベントを運営するHIUの実行委員は、ほとんどが全くの素人のため、突然のスケジュールや段取り変更などが度々起こる。そんな状況においても著者は、場の状況を瞬時に把握し、臨機応変に著者流に上手く明るく対応してくださりとてもありがたい。

また、見た目ももちろんだが、人柄もとても可愛らしい方なので、男性メンバーの多いHIUでは、大きなイベントがある際には「寺田さんに頼んでみようか」という声がよくあがる。それだけメンバー達にとっても、著者は他の人とは違った魅力的な存在なのだ。

本書は、小心者だという著者が、長年苦労して身につけた著者流のコミュニケーション術がつまった一冊だ。どんな場面でも堂々と世の中を渡り歩くために必要な内容である。

 

 

【書評】超魅力的な『やんちゃギャルの安城さん』

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なんやかんやこういう漫画は読んでしまう。『からかい上手の高木さん』ならぬ『やんちゃギャルの安城さん』。真面目な瀬戸くんをギャルの安城さんが誘惑する物語だ。

ストーリーというほどのものはないが、瀬戸くんは真面目な学生、安城さんはギャル。安城さんは瀬戸くんのことが好きなのかいつも話しかける。そして、瀬戸くんにエロく絡み、からかわれる。

しかし、安城さんもただのギャルではない。非常に魅力的で読んでるうちにどんどん安城さんに惹かれていく。そして、なぜ瀬戸くんのことを気に入っているかもだんだんわかってくる。

似たようなタイトルの漫画は多く出ているが、本作の主人公は他と比べかなり魅力的な気がする。だらだらとしたい時、何も考えたくない時是非本書を読んで癒されてみてはどうだろうか。

 

 

【書評】なんてタイトルだ。。『男は見た目が9割 美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全』

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男は内面だ?甘ったれるな。まずは見た目だろ。美容皮膚科医による、見た目が残念な男たちに向けたライフハック集。
美容に対して興味はあるものの、どこから手を付けていいのか分からない男性は多い。僕もその1人だ。この本では医師が正しい情報を元に、初心者にも分かりやすく美容について教えてくれている。
例えば体の乾燥対策について。お風呂上がり、顔には保湿クリームを塗るが、体にまでは、、といった男性は多いはず。しかし、体も乾燥は敵。その行為は、シワやたるみの原因となり、老化を促進させてしまっている。
次は口臭対策。口臭は、食べ物のカスなどのタンパク質が、口内の細菌により分解されたときに出るガスが原因である。この細菌を増やさないため、歯磨きやガムを噛むといったケアが効果的である。
このようにケアの方法だけでなく、口臭やニキビ、シミといったトラブルがどのようにして起きるのか、科学的に説明してくれるから面白い。
ぜひ皆さんも、この本から正しい知識を身に着け、自分に自信が持てる見た目を手に入れましょう。

 

男は見た目が9割 美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全

男は見た目が9割 美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全

  • 作者:堀江 義明
  • 発売日: 2020/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)