本書は、著者の大ヒット作で映画化もされた『多動力』シリーズのグルメ版である。また『マンガで身につく多動力』『英語の多動力』『小説多動力』など複数のジャンルごとに出版されるほどの人気作だ。
著者は、星付きレストランからコンビニ食まで、365日外食しているそうだ。さらに、飲食ビジネスの分野では「WAGYUMAFIA」として世界中で活躍しているため、海外ではシェフとしての顔の方が有名なのかもしれない。そしてその活動を通して、飲食業界の厳しさや未来が見えてきたと言う。
お客さんの満足そうな顔を見る。これが飲食店の原点だと感じるそうだ。みんなをどう楽しませるか。どうしたら面白がって、また食べたいと思ってもらえるのか。それには、まずは自分自身が楽しむこと、それがビジネスへと繋がっていくと言う。
そのため、人気店を経営し、休みもとらずに忙しい毎日を送っている人は、労働形態を変え、きちんと休みをとってリフレッシュし、遊びに行ったり、違った環境に身をおいてみることで、またそれが新たな発見やアイディアに繋がっていくのだ。
また、飲食店では技術よりもコミュニケーション能力や素直さ、ノリの良さなどが貴重な才能になると言う。なぜなら、そのような人には、まわりが助けたくなるからだ。そのため、コミュニケーションが苦手な人は、人からアドバイスをもらうことがあったら、まずは迷わずやってみることをすすめている。
もちろんこれらは、飲食店業界で生きていく人だけのことではなく、誰でも、どのような仕事をしていたとしても、重要なことなのだ。またこれらは、本書に詳しく書かれている、予約のとれないお店の予約をとる方法にも通じるところがある。お客さんとお店、予約をとる人と誘ってもらう人、すべては人と人との信頼関係が大切だ。
評者は、予約のとれないお店へ行ったことも、予約を取ろうと試みたこともないため、本書に書かれているような予約をとるための熱量を実感したことがないが、一部の人々のなかでは、人気店の予約を持っていること自体が一つのステータスになるようだ。
実際に人気店へ行く機会があったら、きっと「なるほど」とより本書で伝えられていた内容を理解することができるのだろう。また、飲食業界については、著書『なんでお店が儲からないのかを僕が解決する』にも詳しく書かれているため、併せて読むと、より理解が深まるだろう。
『なんでお店が儲からないのかを僕が解決する』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2019/11/11/220000
『多動力』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2018/03/25/070000
『英語の多動力』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2018/08/11/220038
『マンガで身につく多動力』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2018/04/01/070000