本書は7人の数学者および4人の数学マニアを通して、タイトル通り数学者の日常について垣間見ることができる作品である。熟成しきった数学の世界はヤバイ。天才しか通用しねぇ。
大学の先生から、予備校の先生、小学生の天才数学者まで、本書ではいろんな形で数学に関わっている人の生活を紹介している。
ある先生は毎日電車で数式を書き論文をサクサク書く。ある先生は数年かけて難しい論文を書く。ある先生は笑いで数学を教える。
私も研究者の端くれであるが、数学に特徴的と感じたのはとにかく人に会うのが重要であるとのことだ、もちろん我々の分野(化学)でもそうではある。しかし、数学は最も熟成した分野であるからこそ、専門の範囲が人ごとに異なりすぎる印象だ。ずっと考えていても別の人が見ればすぐに答えが出ることがある。さすが数学と感じた。
最後に最も心に残っている話をしよう。数学の世界というのは他の分野と違い、天才でないと何もできない世界のようだ。そのため競争や嫉妬が起きない。本当の天才は凡人とは比較にならないからだ。例えばイチローに嫉妬できる人あまりいないだろう。
そんな世界で出来ることは何か、みんな「目の前のことに取り組む」だけだ。SNSの普及で嫉妬しやすい世の中になっているが、数学者のように目の前のことに一生懸命に生きていきたいと思った。