HIU公式書評Blog

HIU公式書評ブログ

堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

MENU

【書評】見た目と違ってレベルが高い!データサイエンスのはじめの一歩に。『統計学の図鑑』

f:id:SyohyouBlog:20201227221248j:plain

親子で学ぼう!小学生から!って雰囲気のこの図鑑ですが、統計の基礎から始まり、多変量解析、ベイズ統計学、ビックデータ。しっかり勉強ができます。細かいところは置いておいて、まずイメージを掴みたい人に。

本書は統計学の図鑑だ。見開き2pで図たっぷりで統計学の解説が行われる。いろいろな本を見てきたが本書より多くの図を用いている統計学の本はないだろう。

もちろん統計学を学ぶには数式を理解して、学ぶことが大事ではあるが本書は唯一無二の図で理解できる統計学だ。統計を初めて学ぶ人におすすめ。

しかもその内容は、検定などの基礎から始まり、確率統計、最近流行りのベイズ統計学からビッグデータまで。データサイエンスやAIなどに興味がある人も読んでみるといいと思う。

 

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

統計学の図鑑 (まなびのずかん)

 

 

【書評】百考は一行に如かず『大きな嘘の木の下で~僕がOWNDAYSを経営しながら考えていた10のウソ。~』

f:id:SyohyouBlog:20201226214918j:plain



前作の『破天荒フェニックス~オンデーズ再生物語~』では、著者が経営するOWNDAYSのアップダウンの激しいストーリーに、その瞬間、瞬間ワクワクし、本を読む手がなかなか止まらなかったが、本作はまたひと味違った面白さがある。

前作では語られなかった著者の経験から培われた考え方や社員に伝えてきたメッセージ等がまとめられている。実際に経営をしていると毎日色々なことが起こり、ボロボロになりながらも、そこから様々なヒントが得られるそうだ。

評者もここ最近、破天荒フェニックスさながらの経験をしている。OWNDAYSとは、売り上げも、負債の額も比べられないほど少ないが、日々ハラハラが止まらない。上手くことが運んでいくと、思わぬところから阻止されたり、なかなか前途多難だ。前作を読んでいた時には、想像もしていなかったが、行動してみると、今まで見えていなかった様々なことが明らかになり、著者の言うように、この経験から得られることは多い。

また、OWNDAYSでは、著者の考えにより、とてもユニークな取り組みが行われている。例えば、出世のために上司に気を使う権力構造をなくすために、人事権をなくし、立候補による選挙制度を導入。出世のチャンスは誰にでもあり、かつての上司が自分の部下になるということも起こるのだ。

テクノロジーの進化により、人が行なう単純作業が必要なくなる。そんなときに必要になってくるのがエンターテインメントだと著者は言う。それは、人を喜ばすことであり、メガネを売ることもエンタメになるそうだ。新作のサングラスをかけながら食事をするコラボイベントは、なかなか思いつかないとてもユニークなイベントだと思った。

世の中のほとんどの仕事は遊びに変えられる。遊んでいるときは誰でも楽しい。だからそれを真剣にやればより楽しくなる。仕事もそのように向き合えば楽しく充実したものになるそうだ。労働が仕事という考え方から、その仕事は自分の使命なのか。自分のやりたいことなのかと、今一度自分の仕事について振り返ってみることを著者はすすめている。

『破天荒フェニックス~オンデーズ再生物語~』
https://bookrev.horiemon.com/entry/2018/12/28/220008

 

 

【書評】眉毛のお手入れが自分の魅力を落としてしまう『男は見た目が9割~美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全~』

f:id:SyohyouBlog:20201225215430j:plain

本書は、美容皮膚科である著者により、見た目の老化や様々な悩みを抱えている男性向けに作られた美容に関する知識をまとめたものである。年齢に限らず見た目の善し悪しで、その人の第一印象は変化し、仕事やプライベートにも大きく影響すると著者は言う。そのため、本書ではパートごとに顔、髪、体のお手入れ方法が紹介されている。

良かれと思った過度のお手入れが、逆効果になることもある。肌がきれいな人が、余分なお手入れはせず、最低限なことだけで肌の健康を保っていたりする。また、印象を良くしようと思ってつけている香水が、立ち去ったあとに香り、そこに違和感を感じることもある。男性と女性の感じ方の違いや、正しい情報をもとに行動することが重要だ。

本書は、主に男性向けに書かれているが、評者自身が男性の顔の中で無意識に見てしまうパーツは歯と眉毛だ。どちらも本書で紹介されているが、歯は見た目はもちろん、その人の健康状態に大きく影響を及ぼすため本能的に確認してしまうのかもしれない。ケア方法や、歯列矯正等、とても参考になる内容だ。

また、眉毛は顔の中ではとても重要なパーツで、その人の顔全体のバランスにあわせて生えている。しかし、流行りにあわせて過度に細くしたり、形を変えると、そこには違和感が生じる。そのため、形は変えずに、もともと生えている部分のラインからはみ出た部分のみを整えた方が、その人自身の個性が発揮され、より男らしさや力強さが眉毛から感じ、それは男性としてのとても大きな魅力になる。だが、残念ながらそれに気づいている人はあまりいない。

このように、良かれと思って逆効果のお手入れをしてしまうことはよくある。本書を読むことにより、それぞれの的確なアドバイスが得られるのだ。

 

男は見た目が9割 美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全

男は見た目が9割 美容皮膚科医が教える嫌われない男の美容大全

  • 作者:堀江 義明
  • 発売日: 2020/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】まるで何の意味もなく、誰にでも可能で、しかし、およそ酔狂な奴でなくてはしそうにないことを、やりたかったのだ。『深夜特急1 香港・マカオ』

f:id:SyohyouBlog:20201224214732j:plain

著者ははじめて訪れた異国である韓国のソウルに降り立った時、いったいここからどれほど歩けばパリに辿り着けるのだろう、という感慨を抱いた。そして26歳になった著者はある日思い立った。「インドのデリーからイギリスのロンドンまで、乗り合いバスで行こう。」

一年以上にわたるユーラシア放浪がいざ始まり、デリーまでの途中に立ち寄ったのが香港だった。

”香港には、光があり、そして影があった。光の世界が眩く輝けば輝くほど、その傍らにできる影も色濃く落ちる。その光と影のコントラストが、私の胸にも静かに沁み入り、眼をそらすことができなくなったのだ。”

著者は香港に住む人々の日常に魅せられ、出発点であるデリーに着くまでに半年もの時間を費やすことになる。

そんな著者は旅が進むにつれて、次第に身が軽くなっていくように感じる。そして、本書の至るところに出てくるのが、「王侯の気分」という言葉である。

例えば、著者は香港で何度も「スター・フェリー」という船に乗るのだが、そこにこんな描写があり、評者はとても気に入ってしまった。

”十セントの料金を払い、入口のアイスクリーム屋で五十セントのソフト・アイスクリームを買って船に乗る。木のベンチに座り、涼やかな風に吹かれながら、アイスクリームをなめる。対岸の光景は、いつ見ても美しく、飽きることがない。放心したように眺めていると、自分がかじっているコーンの音がリズミカルに耳に届いてくる。このゆったりした気分を何にたとえられるだろう。”

もちろん、こんなことなら日本でだって、どこでもできることなのかもしれない。けれど自身のあらゆる日常から解放されて、ある意味孤独で心もとなく、そしてだからこそ、どこまでも自由を感じられる。そんな旅でしか味わえない気分なのかもしれない。

そしてまた、現地の人々の、素直でわかりやすい性格にも、著者はしばしば”王侯の気分”を見出す。日々のやるべきことで忙しい我々にとって「幸せ」とは何だったか、深く考えさせられる。そこもまた見所である。

計画を決めず、流れに身を任せてふらふらと。現地の人々に溶け込み、自身も旅なのか日常なのか区別がつかなくなる。きっとこれこそが、旅の醍醐味なのだろう。

 

 

【書評】守銭奴の本当の姿は、心優しいサンタクロース『クリスマスキャロル』

f:id:SyohyouBlog:20201223221610j:plain

本書は、イギリスの小説家チャールズ・ディケンズの原作を元に、堀江貴文氏主演ミュージカル『クリスマスキャロル』の脚本にあわせて作られ、絵本化されたものである。

そのため、堀江貴文氏にちなんだエピソードも数多く含まれ、他にはないユニークなストーリーに仕上がっている。また、心暖まる劇中歌は、その部分を読むだけでも何だかワクワク楽しくなってくるものだ。

本書の特徴は、ストーリーのみならず、絵本自体を堀江貴文イノベーション大学校(HIU)のメンバーの協力により、作られたところだ。もちろんプロの絵本作家ではない。メンバー同士がプロジェクトを立ち上げ、文章を校正し、また、堀江貴文氏が主宰する「ゼロ高等学院」の生徒がキャラクターをデザインし、多くの素人達の手により出来上がった作品だ。まさに本書は、素人でも人気絵本作家になれることを証明したものなのだ。

メンバーは誰でも、その進捗状況を確認できるため、評者も出来上がっていく様子を見守っていた。タフなスケジュールにハラハラしたが、メンバー同士が協力しあい、公演までに無事出来上がった。実物を手にすると、その出来映えにさらに感動は高まる。メンバー達の実行力のお陰もあり、ミュージカル会場内でも大人気で売れ行きは好調だ。

世の中の状況により、舞台やイベントは、自粛する傾向が続いているが、きちんとした対策のもとに行った公演は大盛況。観客は、一様に感動し、昨今の暗いムードを忘れさせてくれるひとときであった。

堀江貴文氏が演じるサンタクロース姿のエビニーザ・スクルージが、歌って踊るその姿は何とも愛くるしい。堀江貴文氏もミュージカル俳優としては全くの素人でスタートし、初演の当時は、スキップできないところから練習を始めたそうで、その努力は凄まじい。

評者もスタッフとして参加したが、サンタの衣装を身にまとい、コース料理をサーブする。どれをとっても普段は、全くもって体験することがない未知の世界。それがまた面白いのだ。世の中の人たちが、楽しみに満ちた時間を送れるように、素人だからこそわかる魅力を、今後も演劇の世界にもたらしてほしい。

 

 

【書評】SDGsってこういうことなんだろうなぁ。『フランス人は10着しか服を持たない コミック版 ファッション&ビューティ 編』

 

f:id:SyohyouBlog:20201222221503j:plain
発行部数61万部のベストセラー『フランス人は10着しか服を持たない』のコミック版。お気に入りの本だという人も多いのではないのでしょうか?。コミック版が出たのでこの機会にどうぞ。

さて、本作の内容ですが、タイトルの通りフランス人は10着しか服を持たない。比較としてアメリカ人は大量に服を持つこと。その文化の違いが紹介されている本です。

10着の良い服・似合う服だけを持っている方が、大量の安い服を持っている場合よりも、毎日服に迷うこともなく、良い気分で生活できるという話です。

他にもフランスは文化のある国なので、昔から受け継いできた高価な家や家具、食器それを毎日使って生活しています。そうすることで自分自身の行動も丁寧になっていくといいます。良いものはつかはないと意味がない。

さて、日本に置き換えて考えると、実家に眠るようなものを修理しながら使い続けていくことがいいのだろうか。その地域、国民性にあったものを長年使うのがいいのか。

そう考えるとこの考え方は結局SDGsに繋がる気がしてきた。大量消費社会から抜け出し地産地消生きるヒントはここにもあった。

 

 

【書評】アートには、人と人をつなげる力がある。『コミュニケーションを生み出すアートの力 日本で生まれた「トリックアート」が人の心をつかむ秘密』

f:id:SyohyouBlog:20201221220033j:plain
「トリックアート」とは、絵画の技術を駆使し、人間の錯覚を利用することで、平面の絵なのに立体的に見えたり、見る角度によって印象が変化したりするユニークなアートのことだ。

評者は「アート」なんて言われると、なんとなく高尚で、近寄りがたいイメージを抱いてしまう。
なぜだろう?

それは、自分とのつながりを感じにくいからかもしれない。やはり絵を見るだけで感動したり共感するには、それなりの時間や知識が必要なんだと思う。

その点、「トリックアート」は画期的だ。見る側の自分も参加し、思考できる「体験型のアート」と言えるので、充分につながりや一体感を感じることができる。そうして遠く感じていた「アート」の世界へ入っていくきっかけを作ってくれるのだ。

「絵は描くことが目的ではない。
その絵が見る人々に与える影響、生まれる
コミュニケーションが大切である。」

これが、トリックアートを作り続ける著者の思いだ。

そしてそんなコミュニケーションツールとしてのアートを、もっと街中に溢れさせたい。アートに溢れ、人々の会話や笑顔が途切れない世界をつくり出したい。著者はそんな夢を持っているそう。

評者は散歩が好きなのだけど、そんな街になったら、歩くのがもっと楽しくなりそうで、想像するだけでわくわくする。目的としての建物で溢れている街って、たしかにおもしろくない。もっと人が立ち止まって、のんびりした会話がはじまるような街になると、素敵だよなあ。

 

 

【書評】香りを楽しむ!料理が出来ない私でも失敗せずにちゃんと出来ました!凄いメゾット!『ハーブ&スパイスメソッド【イタリア料理編】』

f:id:SyohyouBlog:20201220220159j:plain

シンプルなレシピ集。1つ1つのレシピに"ハーブ&スパイスを使用するルールやポイント"が紹介されているのが見てて楽しい。"失敗せずにおいしく出来る"のは難しく書かれていないこのシンプルなレシピのお陰だ。ハーブやスパイスのことをもっと知りたくなった1冊だ。

私の場合、料理を2.3品作ってから全編の基礎を読んでみた。7ページ目の”メゾットの利用方法”だけ先に読んでおいてもよかったかもしれない。体感してから基礎を読むと"ハーブとスパイスの組み合わせ"で味を引き締めること、使い分けで"味にメリハリが付く”ことなどさらに次のレシピを作るのが楽しみになった。

私のように料理が苦手で基礎が出来てない方にも、スパイスが家にない方にも、シンプルなレシピなのでサクサク作れておすすめです。何気なくハーブやスパイスを使ってた方も読めば香りでこんな料理が変わるなんて!と発見があるかもしれない。

実は著作のスープカレー屋さんが網島にある。イタリアンやフレンチを長年されていた國光シェフが営む「発酵スープカレー ミコヤ」のカレーには深みのあるコクと香りでカレーでもこんな風になるなんてと驚き、ワインも進んだ。
ちょっとしたメゾットをこの本から学んだので、今度はどんなスパイスを使っているのか?注目してスープカレー屋さんにも行ってみようと思う。

 

 

【書評】限りない自由と解放感を満喫『深夜特急1 香港・マカオ』

f:id:SyohyouBlog:20201219213248j:plain

"インドのデリーからイギリスのロンドンまで乗合いバスで行く"ある日そう思い立った26歳の主人公は、仕事をすべて投げ出し1,900ドルを持ち旅に出た。
最初に立ち寄った香港では、街の熱気に酔い痴れて、思わぬ長居を・・・。マカオではカジノで「大小」という博奕に魅せられて・・・。
ゴールは2万キロ彼方のロンドン、移動は乗合いバス、1年以上にわたるユーラシア横断ひとり旅の始まり「香港・マカオ」編。

"デリーからロンドンまでの乗り合いバスの旅にとって最大の困難は、山賊でも、胃下垂でも、尻のすり切れでもなく、ニューデリー駅の若い係員のような『鉄道で行くべきだ』という偏見なのであった"
誰もが意味を感じない酔狂な旅であるからこそ、自由と解放感を求めて後先考えず海外へ出かけたいと感じてしまう。

"英語で訊ね、答が返ってくる。すると、その中に、英語に独特の言い回しが含まれていることに気付く。記憶し、今度はそれを人に対してすぐに使ってみる。通じれば、それで確実に言葉をひとつ覚えたことになる。そうしているうちに、英語に対して萎縮していた心が伸びやかに広がってくる"
語学を習得することは話す勇気と好奇心が全てだと感じたこの一文により、英語への苦手意識は全く無くなった私。とはいっても、今でもカタコトであることには変わらないが、不思議なことに会話が成立する事が多くなった。

深夜特急を読んで人生が変わった人はたくさん居ると思う。私もそのひとり。『深夜特急』を初めて読んでから早や25年、自分の足で街の表も裏も歩くひとり旅を35か国続けてきた。リアルな海外への旅が出来ない今、もう一度『深夜特急』を読むべきかも。 

 

【旧版】深夜特急1 ー 香港・マカオ (新潮文庫)

【旧版】深夜特急1 ー 香港・マカオ (新潮文庫)

 

 

【書評】数年後に読んでも実感できない。今まさに読むべき! 『ゴーマニズム宣言SPECIALコロナ論』

f:id:SyohyouBlog:20201218213214j:plain

本書は新型コロナウイルス感染症によるインフォデミックそれに伴う緊急事態宣言発動からの経済破壊について、特にテレビのワイドショーが強い影響を発していたという著者の主張が中心である。ただ、ワイドショーの批判に終始することはなく過去の感染症の歴史、感染症への向き合い方、死生観、日本と諸外国の衛生意識の比較、ウイルスについての知識、経済の大切さなどについても分かりやすく表現されている。特に衛生意識の比較については漫画だと本当に分かりやすいと感じた。本書を読むことで現在も続いている状況を再認識し、インフォデミックについて恐れずに対応してもらいたい。

小林よしのり氏によるゴーマニズム宣言。今までは歴史に関する巻も多かった。評者は、そもそも自分が生きていない時代のことなんて本当かどうかも分からないし、確かめようがないという気持ちが強く、ゴーマニズム宣言を積極的に読むことは避けていたのだが、今回のコロナ論に関してはパラパラとめくっているうちに率直に読みたいと思った。コロナ論で描かれていることは我々が現在進行形で体験しているリアルであり、調べれば正しい知識にも辿り着くことができる状況だからである。

危機管理の基本は融通性があること。一度決めたことだからと、ただ続けることは恐ろしい。なぜ新型コロナウイルス感染症は他の指定感染症と比べて危険度がかなり低いのに指定感染症から外すことができなかったのか。これは評者も思うが、謎である。指定感染症になっていることで隔離など様々な私権の制限、感染経路の調査や消毒など多方面に大きな影響を及ぼす事態となっている。感染者に対する差別がよく問題となるが、指定感染症のままで現在の強力な措置を続けている以上は、多くの人が警戒してしまっても仕方がない。もちろん差別はいけないことだが。評者自身、急に検査を受けるように要請される事態となって陽性だった時(仮に偽陽性だったとしても)のことを考えると恐怖でしかない。新型コロナウイルス感染症流行の初期の頃はどういう感染症か把握できていなかったので指定感染症に含めることはやむなしだったが、それ以降はどういう感染症か分かってきたはずなので、暑い時期に指定を見直すなどの融通性をとることはできなかったのか。

今後、同じようなことが起きた時に今回のような混乱を起こしてはならない。それはまさしくその通りだが、具体的にはどうするべきだったか。テレビのワイドショーでの煽り報道や、怪しいデータから推測をする専門家の存在という背景はあったものの、この混乱の決定打となっているのは緊急事態宣言や指定感染症の継続といった、すなわち政治家の判断であろう。数年後にこのコロナ騒動は笑い話になっていてほしいと思うが、どういったプロセスを経てこのような混乱が引き起こされたのか、もっと融通性のある危機管理の仕方はできないものかなど1人1人がよく調べて分析する必要がある。1人1人なんていう大層な主語を使ってしまうと抽象的で無責任になってしまうが、本当にそうなのだ。決定打ではあるものの結局、政治家の判断の中には有権者の多数に支持されるだろうという思惑もある。有権者の投票によって働くことができている職業だから。だから正しく分析できる有権者が多ければ今回ほどのことは起こりにくい。現在進行形の危機への対応、未来の危機への備えのためにこの本を読もう。