HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】考えるな、感じろ 『人間の建設』

 

 文系の天才、小林秀雄氏と理系の天才、岡潔の2人の対談、というか雑談が繰り広げられる。天才同士の雑談というフリースタイルが故に余りにも内容が濃すぎる。私はほとんど理解出来なかったが、この雑談は感性が問われるのだけは感じた。いっその事、全くわからなければ素読をお勧めする。それだけでも十分に価値がある。

 雑談内容は学問、酒、アインシュタイン、美術や俳句など多岐にわたる。2人とも本質を捉え、それぞれの視点から話すが、内容は自然と噛み合う。50年以上前の雑談にも関わらず、現在にも通づるものがあり、普遍的で日本人ならではの感情の機微も感じる。特に感銘を受けたのは美的感動について、本物の絵画よりも複製に感動した話、色々と考えさせられる。また岡潔氏が話す「情緒」については正に人の真理と個人的には感じた。

 本書の最後にこの雑談について脳科学者の茂木健一郎氏が解説している。脳科学者の目線から話される感覚や脳に絡めた話が面白い。茂木氏の解説を読んだ後にまた読むと違った感覚が生まれる。こういう楽しみ方もあるのかと。

 天才2人の雑談だけではなく、茂木氏の解説まで収録された本書、本当に内容が深く、値段も安いのでコスパが良すぎる。本書は時間をかけて少しずつ理解を重ねてさらなる感動を味わいたい、そうさせる魔力を持っている。

 

 

【書評】ダイバーシティに生きる悩めるリーダー達へ。『日本史に学ぶ リーダーが嫌になった時に読む本』

 

多様化の一途をたどる令和の時代に求められるリーダー像とはどのようなものだろうか。織田信長坂本龍馬渋沢栄一、そんな誰もが知る歴史上人物のエピソードを数多く紹介しながら、リーダーとはかくあるべきだという考えを良い意味で破壊し、「選択肢」を与えてくれる一冊となっている。

 この本を読んだ第一印象は「優しい」だった。例えば序盤に「迷ったら逃げよう」という言葉が書かれている。織田信長のエピソードから、どんな勇猛なリーダーであっても恥も外聞もなく逃げてチャンスを伺ったということが語られているが、これがまるで激励しているかのように感じられるのだ。他にも様々な偉人のエピソードが悩める読者を励ましてくれる内容となっている。

現代は率先してリーダーになるよりも、「リーダーが嫌々リーダーになる時代」だと書かれており、この嫌々リーダーになる者こそが「令和」のリーダーだと著者は述べている。タイトルにある「リーダーが嫌になった時」だけではなく、トラブルが起こった時や、コミュニケーションや責任の取り方、部下のマネジメントなど、仕事や組織でよくある悩みについても、考え方を導いてくれている。また失敗したリーダー達の姿も紹介されリーダーとしての注意点も学ぶことができる。

いつの時代もどんな人でも悩むことは同じなのだと思わせてくれる。ひとつの失敗で命すら奪われる時代に生きたリーダーたちも、一つの失敗で二度と立ち直れないほどに叩かれるこの令和の時代も実は同じなのではないだろうか。

仕事で悩んだ時、リーダーが嫌になった時、ぜひこの本を手にとってほしい。日本史上の様々な人物の意外なエピソードがきっとあなたの助けとなってくれるだろう。

 

 

【書評】あなたの洗脳解いてみませんか?『「一生」の自信を「一瞬」でつくる本』

 

 本書の内容はアドラー心理学に近いイメージを抱いたが、NLP神経言語プログラミング)心理学というものに基づくものらしい。具体例を多く紹介しながら、自信がない原因を「洗脳」という強烈なワードを用いて、わかりやすく説明してくれている。

 洗脳と聞くとあまり良いイメージを持たないが、これが言い得て妙な表現となっている。様々な経験の反復により、まさに洗脳された私達の脳は、自信を喪失し、ネガティブな思考に陥っているのだと、納得しながら読み進めていくことができる。

 そして面白いことに、この本自体が洗脳の判定装置としての役割を果たす。この本の内容を理解し、素直に納得できるような人は、おそらくそもそもあまり洗脳されていないのだろう。内容を素直に受け入れられず、批判的に捉えてしまった人達は…残念ながらかなり深刻な状態にありそうだ。

 インターネットの出現により数多の情報に晒された現代において、一部の人たちしか気づいていない真実は、まさに洗脳の一言に集約される。この文章を見てピンとこない人は、この本を手に取った方が良いだろう。

 一見すると難しそうな印象を受ける本書だが、これがどうしてとても読みやすく作られている。営業成績を上げたい。人生を楽しく過ごしたい。そんな希望を持っているなら、本書で語られる32のメソッドを、あなたも手に入れてみてはいかがだろう。

 

 

【書評】営業職にマイナスイメージを抱いてる方へ 『営業の魔法〜この魔法を手にした者は必ず成功する〜』

 

 営業職の多くのイメージは新規開拓して商品を売る、そして売り上げが上がらないと会社での肩身が狭くなる。または社会人の登竜門として新入社員がイヤイヤやらされるという・・・そういうネガティヴイメージを抱いてる方に是非お勧めしたい本書。イメージが多少なりとも変化します。

 本書はストーリー形式になっており、主人公は入社一年目で契約数0、朝が来るのが憂鬱と感じる小笠原。そして、ある日小笠原がトップ営業マン紙谷に出会い少しずつ営業という仕事の素晴らしさを知る、そういう流れになっている。営業のノウハウを「営業の魔法」という名前で12個紹介されており、本書の最後にわかりやすくまとめてある。テクニックや心得的なものがバランス良く紹介されており、内容として簡単に出来るものばかり。

 私自身、本書を最初に読んだのは2〜3年前であり、当時は会社員として訪問マッサージをやる傍ら、月に一回社のルールで飛び込み営業をしないといけない日があった。結局新規開拓には繋がらなかったが、既存のお客様から仕事を頂けるようになり、結果的に仕事が増えていった。本当に簡単に真似できるものばかりでちょっとした発想の転換をしただけで、お客様との会話は弾み、いつしか頼られる存在になったのはありがたく感じる。本書を読んで是非同じような体験をして欲しい。

 

 

【書評】ショッピング体験がなくなる未来に 『2025年、人は「買い物」をしなくなる』

 


タイトルから予想すると購買自体が無くなってしまうことを予言しているように見えるがそうではなく、「買い物」(筆者はショッピングと言う言葉を使っている)がどう変化して現在に至り、今後の姿を予言しています。

マーケターの視点からここ数十年でのショッピングの変遷を簡潔ではあるがポイントをしっかり抑えて書かれています。読者の中には遠い過去の話に聞こえる人もいるだろうがそんな世代の人こそ読んでほしい。未来を知る上で歴史は重要です。

実はこの本を呼んだのは2019年の末でした。その直後に我々はCOVID-19に遭遇することになります。行動制限は大きくなり、ショッピング体験は多くの人から消え去ってしまいました。
この本に書かれてある未来は2025年でしたが、若干早まりそうな予感がします。硬貨や紙幣は不潔なものとしてみなされ、スマホ決済は普及しコンビニやスーパーマーケットでは自動精算機の整備はスピードアップしてしまいました。AIは非常に進化しコンビニやスーパーマーケットでは欲しいものは必ずあり、選ぶことすらしない。コンビニはもはや棚でしかありません。

これからECを始めようとする人には読んでほしい一冊。失敗する確率は確実に減るでしょう。
クラウドファンディングも人が買い物をしなくなる理由の一つです。
僕は近々クラウドファンディングをやりますが、この本は多くの気づきを与えてくれました。

 

 

【書評】自分の中で築いてきたものがぶっ壊される、しかしそれは研ぎ澄まされていく過程なのかもしれない 『魂の錬金術〜全アフォリズム集〜』

 

 開始早々、顔面パンチを喰らった。刺激的な文章が続く本書、魅力的だ。自分の中にあるものを地盤からひっくり返す感じ、否定とは違うその感覚。私の拙い文章では伝えられる自信がない故に、個人的に選んだ本書のアフォリズムを3つ抜粋する。それで本書の内容が少しでも伝われば幸いだ。

「知っていること、知らないことよりも、われわれが知ろうとしないことのほうが、はるかに重要である。男女を問わず、その人がある考えに対してなぜ鈍感なのかを探ることによって、われわれは、しばしばその人の本質を解明する鍵を手に入れることができる。」

「未曾有の状況下で知識や経験が役立たないとき、無知で未熟な者のほうが状況にうまく対処できる。未知のものや未試用のものは、いわば不適応の状況に対して特別の適応性を示すからである。」

「人間は贅沢を好む動物である。遊びと空想と贅沢を取り除いてしまえば、人間は生存可能な最低限のエネルギーしかもたない、愚鈍で怠惰な生き物になってしまうであろう。人びとがあまりに合理的になったり、真面目になったりして、つまらないものに心を動かされなくなると、社会は停滞する。」

 

 

【書評】伝え方に正解はない『相手のキャラを見きわめて15秒で伝える!』

 

ラジオDJとして、学生の頃から活躍していた著者が意識していたことは一つの話題は3分以内、一つのメッセージはテレビのCMのように15秒以内で伝えること。なぜなら、カップラーメンの待ち時間のように人がイライラせず、また集中して聞けるのが3分なのだそうだ。

著者は話し方コンサルタントとして活躍しているそうだが、世の中には人と話すのが苦手だったり、人見知りだという人は多くいる。しかし、著者によると人見知りの方が相手のことを観察し、話しをきちんと聞くことができるそうだ。また、コミュニケーションを取る際は、相手がどんな人なのかを理解して対応することにより、ストレスから楽しく面白いコミュニケーションへと変化するという。

著者によると、積極的で競争心のある「ガツガツタイプ」の人には、相手を尊重し情報と選択肢を与えて自らの意思で物事を決めてもらう。また、誰かの役に立ち貢献したい「やわらかタイプ」の人には、「ガツガツタイプ」とは反対に自分で選べず悩むため、エスコートしてあげるといいという。他にもロジカルタイプやオモシロタイプ、バランスタイプがあり、人の性格の違いを受け入れることによりコミュニケーションがスムーズになるそうだ。

評者も外国人へ日本語を教えたり、ビジネススクールで生徒へコンサルティングを行っていたことがあるが、外国人で言葉がたどたどしかったり、また日本人でもかなり人見知りが激しく、なかなか自分の意思を伝えられないようなコミュニケーションが苦手な人も多々いるが、誰でもきちんと向き合って話してみれば、伝えようとするその思いはきちんと伝わるものなのだ。

 

 

【書評】100万回愛されたねこ 『100万回生きたねこ』

 

 今回は絵本なだけに文字数やページ数が少ないが何か一つの長編小説を読んだように感じた。それだけ内容が深いのだと思う。私は一回読んでもなかなか理解できなかった。何回も読んでいくうちに色んな捉え方が出てくる、スルメのように噛めば噛む程味が出る、そんな感じだ。

 主人公のねこは100万回死んで、生きて。100万人の人がねこが死んだ時に泣いた。その間、ねこは一回も泣かなかった。しかし、ねこは愛する白猫が死んだ時に100万回泣いた。

 個人的には愛情の話だと思った。そしてその愛情が受け継がれていくものだと感じた。形あるものは無くなる可能性がある、形ないものは忘れる可能性がある。ねこは受けてきた愛情を忘れずに受け継いでいったのかもしれない。感慨深いものである。

 

 

【書評】そして祈った。自分にも、長い眠りを与えて欲しい、と。『装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ』

 

2007年から2008年に掛けて全12話のOVAが発売され、更に2009年1月には劇場版が公開されたアニメ作品のノベライズである本作は、メインで脚本を手掛けた吉川惣司氏の手による。
装甲騎兵ボトムズ』は、体長約4mのATというロボットを駆る主人公キリコ・キュービーを巡る物語であるが、ロボットものに付き物の、特別な主役機が存在しない。キリコが搭乗する機種も量産型である。何故ならATは戦争の道具に過ぎないからだ。
自然、世界観もミリタリー色の強いものであるのだが、テレビシリーズの第一話で100年以上続いていた星系間戦争は終結、その後はキリコの個人的な戦いを描くストーリーとなった。
つまり、物語を覆うムードに反して、これまで戦争自体を殆ど描いてはいなかったのだ。
じゃあ、ボトムズ世界に於ける戦争をどっぷりやってみようか。それが本作のモチーフの一つだ。
そう決断するに至ったことに対する大きな要因は、CG技術の発展だ。
戦争ともなれば、所謂歩兵の様な扱いのATは大量に戦場に投入される。手描きで描くのはとんでもないが、CGならはウジャウジャとATを描くことが可能、ということだ。
事実、物語冒頭のノルマンディー上陸作戦を彷彿とさせる渡河作戦に投入されたATは1,500機。無謀で激しい消耗戦をCGで以て派手に描いている。

さて、ボトムズで戦争をとなれば、テレビシリーズの始まる前が時間軸として選択される。
具体的に言えば、OVAの三作目『レッドショルダードキュメント 野望のルーツ』及び、その小説版『ザ・ファーストレッドショルダー』の後と、テレビシリーズ開始迄の間隙である。
戦争を描くとは言っても、主人公はあのキリコだ。ただの一兵卒に徹しさせる筈もない。本作では、キリコに対して、新たなアプローチを仕掛ける。
キリコの特殊性、それは彼だけのものなのか。この広い宇宙でたった一人だけのものなのであろうか、と。
また、レッドショルダーを解体され、戦時中に兵士を大量に虐殺したとして軍事裁判によって裁かれようとしていたヨラン・ペールゼンをかっさらった、情報省次官フェドク・ウォッカムは、ペールゼンが処分し損なったデータを元に得た仮説の元、キリコに対する実験を重ねる。そして、それらの結果、大胆な計画を策定し、実行する。
ウォッカムの狙いは図に当たるのか。ペールゼンは闇に葬られるのだろうか。キリコの孤独が癒されることなどあるのだろうか。

尚、第一話のみ試写会で観たが、それからは意識してアニメ版は観ずに書いたと言う本書。
脚本自体も著者が書いたものなので、ベースは当然同一なのではあるが、見比べてみれば、大筋こそ共通しているものの、両者はかなり異なる表現や展開を見せる箇所も多い。
それは、動画と文章では見せ方、読ませどころが異なることを、それぞれの作者が念頭に制作しているからなのであろう。
そして、この小説版では、その創意は効果的であったと、個人的には思わされるのだ。

 

 


作者:吉川惣司
発売日:2009年1月17日
メディア:単行本

 

【書評】最新の快眠メソッド! 『賢者の睡眠〜超速で脳の疲れを取る〜』

 最近は睡眠不足が国民的に問題になっている。アメリカのシンクタンクランド研究所」が驚くべき事を2016年に発表した。なんと睡眠不足による、日本の経済損失は年間約15兆円に相当する。なんか命削って働いて、結果的にマイナスって切ない。そんな方たちの為にぜひお勧めしたい。

 こういった睡眠不足問題があるせいか近頃、睡眠関係の書籍が沢山発行されている。どれを買うか迷うと思う。私も睡眠関係の本は4〜5冊読んだ。今回の書籍の特徴として「実践的で、かつ効果的である」という事。著者のDaiGo氏は日頃からものすごい量の論文を読んでいる。よって情報として新しいものを常に仕入れている。そんなDaiGo氏が睡眠不足解消の為に実践しやすく、かつ効果が論文で証明されている、そんな最新の睡眠方法が紹介されている。(DaiGo氏は良い睡眠の事を賢眠と呼んでいる)

 書籍の内容も、自分の睡眠状態のチェックから始まり、睡眠不足になるとどういった事が体に起きて、どれくらいのデメリットがあるか詳細に書いてある。そして、自分の睡眠タイプを知り、それに合ったアプローチ方法が書いてある。ちゃんと納得させて、その効果をより実感できるような流れになっている。

 書籍の発売は2021年8月発売で実際に私もいくつか試している。確かに睡眠の質は上がり、前より心身ともに良い状態をキープ出来ている。睡眠を舐めてはいけないと感じた。