開始早々、顔面パンチを喰らった。刺激的な文章が続く本書、魅力的だ。自分の中にあるものを地盤からひっくり返す感じ、否定とは違うその感覚。私の拙い文章では伝えられる自信がない故に、個人的に選んだ本書のアフォリズムを3つ抜粋する。それで本書の内容が少しでも伝われば幸いだ。
「知っていること、知らないことよりも、われわれが知ろうとしないことのほうが、はるかに重要である。男女を問わず、その人がある考えに対してなぜ鈍感なのかを探ることによって、われわれは、しばしばその人の本質を解明する鍵を手に入れることができる。」
「未曾有の状況下で知識や経験が役立たないとき、無知で未熟な者のほうが状況にうまく対処できる。未知のものや未試用のものは、いわば不適応の状況に対して特別の適応性を示すからである。」
「人間は贅沢を好む動物である。遊びと空想と贅沢を取り除いてしまえば、人間は生存可能な最低限のエネルギーしかもたない、愚鈍で怠惰な生き物になってしまうであろう。人びとがあまりに合理的になったり、真面目になったりして、つまらないものに心を動かされなくなると、社会は停滞する。」