HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】がんでも、前向きに生きていける『がんになった人だけが知っている人生で大切なこと』


本書内では五人のがん経験者による、自らに対するがんの告知から術後までの経験と、気持ちの移り変わりが漫画で紹介されている。
術後もそれぞれが精力的に活動している。

どうして病に直面しながら、こんなにも強く生きていけるのだろう。
それはがんへの想いと経験を共有する、リレー・フォー・ライフの仲間であるからだ。

リレー・フォー・ライフではがん患者さんを支援する活動を行っている。
志しに賛同する参加者全員による、夜通し行われるリレーが最大のイベントだ。
24時間戦い続けるがん患者さんのために、想いを共有し支援する事が目的となっている。

この活動ではがん患者さんやがん経験者を、敬意を込めて「サバイバー」と呼んでいる。
また、それを支える周囲の方々も同様に敬意を込め「ケアギバー」と呼ばれている。

これは活動の使命である"Save Lives"に含まれる、「人の魂を救う」という考え方からだ。
「サバイバー」と「ケアギバー」と称賛、祝福する"Celebrate"(祝う)。
がんで亡くなった方を忍び、追悼し、今病の痛みや苦しみに向き合っている人を敬う"Remember"(忍ぶ)。
がんの予防や検診を啓発し、征圧のため寄付を募り、がんに負けない社会を作る"Fight Back"(立ち向かう)。
この3つが"Save Lives"の要素だ。

「サバイバー」、「ケアギバー」、そして、そうでない人にも是非読んでもらいたい本です。
がんをもっと知ろう。

 

がんになった人だけが知っている人生で大切なこと

がんになった人だけが知っている人生で大切なこと

  • 作者:坂下千瑞子
  • 発売日: 2021/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】自分次第で世の中は楽しいことで満ちあふれる『同調圧力なんかクソくらえ』

 

世の中の急激な変化が、本来の人間性を明らかにする。自分を見失い恐怖におののく人。それとは逆に確実がない状況においても、周りに流されずに自分を持ち、一見ピンチに思われるような状況でも、それを上手く乗り越えていく人。同じ状況を経験しても、どのような判断をするかは自分次第なのだ。

好きなこと、楽しいことをやるように心がけていると、不思議なことに嫌なことが起こらなくなってくる。かつてはイライラすることも、もちろんあったが、それは周りの人がもたらすものではなく、実は自分自身がそんな人だったのかもしれない。

しかし、自分自身が変わると同じような考えの人たちに自然と囲まれるようになり、あちこちからご機嫌な笑い声が絶えず、明るい雰囲気に包まれる。そうすると、自然と自分からも笑みが溢れ、それは、結果としてイライラする状況が起こらなくなる。

一見、なんでこんなことが起こるのだと驚き慄いていると、実はその先にはワクワクする楽しいことが待っていて、新しい扉を開くきっかけとなったりする。自分の世界に起こることは、全て自分次第。自分以外には何もなく、自分がどうあるかによって世界は変わる。自分が特別何かをしなくても世の中は自然と動いていく。解けない課題があっても、自然とヒントがもたらされたり、協力者が現れたりと不思議なものなのだ。

また、人は誰しも自分に足りない、満たされないと思っていることをついつい口に出してしまう。それは、そこに執着があるからなのだろうが、それを表に出せば出すほど、ますますそれは遠ざかり、良かれと思ってやっていることが実は逆効果になっていることはよくあることだ。

評者はここ最近、興味を持っていたことが実現できた。世の中の同調圧力が増したことが逆に良いチャンスになった。しかし、こういう自己実現が早くできるようになったきっかけは、著者が主宰する堀江貴文イノベーション大学校(HIU)に所属し、ビジネスに関するあらゆる話を定期的に聞くようになったからだと思う。様々な業界で活躍する人の話を聞くことにより、ビジネスというものがより身近に感じられるようになったのだ。

本書では、世の中の変化に振り回され、本来の自分自身を見失ってしまっている人が、知らず知らずのうちに陥ってしまう状況など具体例をあげて丁寧にわかりやすく書かれている。自分自身を振り返り、本書に書かれていることと照らし合わせてみると、より今の自分の現状が明らかになり、解決策が見つかるだろう。 

 

同調圧力なんかクソくらえ (宝島社新書)

同調圧力なんかクソくらえ (宝島社新書)

  • 作者:堀江 貴文
  • 発売日: 2021/02/26
  • メディア: 新書
 

 

【書評】秘密の扉の先を知りたければ、これを読め!『SALON DESIGN vol.9』

 

HIU公式ガイド『SALON DESIGN』(通称:サロン本)の最新号が発売された!今号の掲載内容はMASHI NO MASHI TOKYO、全身運動、Unlimited、Black Lives Matter、NERF、ゼロ高、HIU会員、オプション取引など多岐に渡る。

パラパラとページをめくると、黒を背景に2人の女性が写るUnlimitedの記事が目に止まる。完全会員制。公式サイトでは知ることができない、秘密の扉の先の様子が記されている!

ゼロ高生の卒業先も知ることができる。ゼロ高本と言えば『将来の夢なんか、いま叶えろ。』(通称:ゆめ叶)が思い浮かぶ。しかし、卒業生について書かれたのは本書が初!進路に悩む親御さんは、ゆめ叶と併せて必読である。

今号では写真のクオリティーが圧倒的に高まった!料理のシズル感、人物のポージングなどどれも目を引く!その写真を使い、ゼロ高生が描いたMASHI NO MASHI TOKYOの表紙は臨場感が溢れ出ている!

本誌は雑誌の編集に興味のあるHIUメンバーが制作した。そして、なにを隠そうUnlimitedの構成・文を手がけたのは評者だ!撮影、DTP・校正、モデルはHIUメンバーに協力してもらった。大切な一冊である。

horiemon.thebase.in


【書評】がんの告知後も、人生は続く『がんになった人だけが知っている人生で大切なこと』

 

日本人の死因第1位「がん」。本書は、がんサバイバー6人のドキュメンタリーコミックである。「がん = 即死」ではない。がんの告知後も、人生は続く。治療や再発による不安や苦しみが描かれる。

本書は世界最大級のがん征圧活動であるRelay For Life(略称RFL)参加者の体験談で構成される。医学の進歩によって、現在がんは治らない病気ではなくなりつつある。しかし退院後社会に馴染めず、うつ病を患うケースも見受けられる。本書の作成などを通じて、RFLは社会的健康に寄与している。

がんを乗り越えてきた6人とは別に1ページだけ、がんを克服した女性が登場する。彼女はがん克服後、突然の交通事故で亡くなってしまう。がんじゃなくても、いつ何が起きるかは分からない。

6つのストーリーのうち1つは子宮頸がん患者による体験談である。子宮頸がんは、年間1万人がかかり3000人弱が亡くなっている。厚労省には、HPVワクチンの積極的勧奨再開とキャッチアップ接種への助成が求められる。

簡易検査やワクチン接種で、むだ死にを防ぐ。体に違和感を覚えたら、病院に行く。「病院に行って何もなければそれでいい!」医療従事者の友人に言われた言葉だ。

 

がんになった人だけが知っている人生で大切なこと

がんになった人だけが知っている人生で大切なこと

  • 作者:坂下千瑞子
  • 発売日: 2021/02/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】「見る」から、「視る」へ『広告がなくなる日』

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SNSを利用した広告戦略はもはや常識となっている。
本書では現代における広告の存在理由と、社会的価値について、筆者の見解が「構成」されている。

そう、正に「構成」されている。
事例を挙げての主張や分析は非常に的確だが、一般的な「本」とは明らかに違う。

この本自体が広告のこれからを提唱する「広告」なのだ。
広告を知るために広告を読む。なんとも新しい。

広告は受動的なものから、共有するものへ変わり始めている。
そうすることで多角的に視る事ができ、対象の価値がより認知されていく。

この本(という名の新しい媒体)を是非手元に置いて頂きたい。
そして買い求めるまでの過程も含めて、皆で共有しよう。

 

広告がなくなる日

広告がなくなる日

  • 作者:牧野 圭太
  • 発売日: 2021/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】すぐ使えます。仕事でも、プライベートでも『IQ150の心理戦略コンサルタントが教える秒速で人を操る心理話術』

 


もっと相手との関係を深めたい。相手も自分も満足な関係にしたい。
本書ではお互いの信頼を前提とした、対人関係を良い方向へと導くコミュケーションのとり方が紹介されている。

少し話し方を変えるだけで印象はがらっと変わる。
同じ会話内容でも、相手の同意を得やすくなる方法が根拠と共に紹介されているので説得力があった。

更に話と同時に体の使えば効果が上がるそうだ。
どう動けば話が記憶に残りやすいか、良い意見に聞こえるか、仕草や動きでこちらも大きく変わる。

これらの方法は著者が1000冊以上の心理学の本,論文を元にまとめたものだ。
確固たる地盤から凝縮された内容であるため、とても実践的である。

本書は目的毎に3ページ前後でまとめられているので、必要な部分だけ読むのもおすすめできる。
明日、参考にしたい部分だけを寝る前と起きた後に読むのも効果的だ。

 

 

 

【書評】生きるに値する”意味のある”社会つくりのために。『広告がなくなる日』

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自ら、アイデアを生み出す人はまず「天邪鬼」、と語る通り、著者は当たり前ではないことに傾倒した考えを持っている様である。文章のそこかしこに、普通ではない発想や筋立てを持ち込もうという姿勢が見受けられる。
大体が、この本の作り方自体が極めてユニークだ。ちょっと言葉では説明がし辛いが、実際に手にすれば、それはすぐに分かる筈だ。
そして、ページ構成も変わっていて、見開きの片面に画像等のネタを配置し、もう片面に解説文的に本文を載せるという、言ってみればプレゼン資料の様なレイアウトを以って、各ページで一つの話題が完結している。
こりゃ作るの大変だろうなぁ、とか思いながら読み進む訳だが、次に何が書いてあるのかが気になり、どんどんページをめくらされているのだから、文章力も魅力の一つとなっているのだろう。

さて、内容であるが、広告とは、なくても売れるのであればないに越したことはないものであるが、「広告制作にまつわる思考や技術」はとても貴重で可能性のあるものであり、その力をより良い未来をつくることに使えたら、社会全体が良い方向へ向かうだろうと言う。そういう意味での「広告がなくなる日」なのである。
そして、SNSは、「メディアビジネス」から、「広告クリエイティブ」を解放したと言い、従来の広告媒体であったTVや新聞ではなく、SNSによってもたらされた「ブランドと社会の接地点」について実例を挙げて解説する。

また、令和とは、課題もなければ、答えもなく、「意味」が失われた時代だとし、物質的に豊かでありながら、何故か「生きづらさ」を感じる世の中で、何を心がけるべきなのかについて述べたりもしている。

便利さや効率化が声高に叫ばれ、コモディティ化してしまったこの世の中に於いて、本書全体を通して度々言及されるのが、「人間的な衝動」についてだ。
クリエイティブとは? デザインとは? サスティナブルとは? ブランドとは? それらは結局、誠意ある個性に依るということか。

なお、メーカーである私にとって最も気になる「ブランド」、「ブランディング」についてといえば、「ブランドはつくれない」と著者は言い放つ。
さて、その真意とは?

全く以って、なかなか捻りの効いた本である。
しかし、現代社会に於ける広告のあり方について、適正な意見を述べた一冊であると思える。

 

 

広告がなくなる日

広告がなくなる日

  • 作者:牧野 圭太
  • 発売日: 2021/03/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】お客様の満足と、価値を創造する『世界一やさしいコンサルティングプロジェクトの説明書』

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お客様の要望に全力で向き合い、お客様に採用してもらい、尚且その成果がお客様の予想以上でなければならない。
本書はそのプロフェッショナルを旨とするコンサルタントの仕事内容が、実際の事例を取り上げながら紹介されている。

コンサルタントにとって大事なことの一つに客観性があると紹介されている。
個人的な考えにとらわれず、冷静に人物や事柄を見つめ判断する。
印象に関わらず、良いものは良いのだ。

取り上げられた案件のなかで印象に残ったのは、期限から逆算し進捗状況を細かく分ける点だ。
不測の事態に備えてある程度余裕をもたせたり、設定した小目標も更に細分化し、案件が今のどの段階にあるのか一目で分かるように管理されている。
加えて方向修正も可能なように、副案もすぐ言語化できるよう準備してあるのだから、計画の時点でまさにプロなのだと実感した。

著者は株式会社ストラテジーテック・コンサルティングの8名。
案件に取り組む真っ直ぐなプロの仕事が、臨場感と共に伝わってきた。

どの案件にも共通しているのは、お客様の「笑顔」のために働いている点だ。
結果重視の厳しい世界であるのは、それを常に徹底しているからだ。
コンサルタントと言う仕事の本質は、人に優しく,人を想うという事なのだと心から感じた。

 

 

【書評】デザイン経営に積極的な企業ほど、顧客から愛される。『これからのデザイン経営 常識や経験が通用しない時代に顧客に必要とされる企業が実践している経営戦略』

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デザインとは、あらゆるものを”より良くする”ための行為である。そして”より良い”と感じるのは私たち人である。となると、発想の真ん中には必ず「人がどう感じるか」を置くことが重要になる。

著者は本書を通して、「これからの経営にはデザインの創造性と美意識が欠かせない」と伝えている。当たり前が通用しない、変化の激しい時代。企業にとって、ブランディングイノベーションは必要不可欠となる。そしてそれらは別々のものではなく、密接に繋がっている。むしろ繋がっていなくてはならない。そのために有効なのが、デザイン経営という手法なのである。

「デザイン経営」とは、企業のパーパスを見定め、それを基点とした組織文化を構築し、新たな価値を創造し続ける経営手法である。

「え?デザインって見た目がかっこいいとか、美しいとか、そういうことじゃないの?」
そう思うかもしれない。評者もそう思っていた。
けれどデザイン経営において、デザインとはもっと広義なものとして捉えるべきである。むしろ見た目の美しさよりも、本質的な部分を重要視している。「パーパスを見定める」とはつまり、企業の本質を探るということだ。

デザインが経営に影響を及ぼす例として、本書で紹介されているシューズブランド「リーガル」の話が面白かった。リーガルは、日本人に馴染み深い国産シューズブランドであり、外国製の廉価なシューズが台頭したことで、時代の流れとともに古いブランドというイメージを持たれてしまっていた。

そこでブランドイメージを刷新したいという依頼を受けた著者は、半年以上かけて”リーガルらしさ”を定義する試みを行った。そこで注目したのは「手仕事へのこだわり」だった。靴作りへの職人のこだわりと誇りを、ブランド自体の価値として転換しようと考えた。”職人の魂がこもった靴を履くことで、より前を向いて仕事ができる。”そんなブランド像を目指した。

そうして行なったブランドイメージの刷新は、まず流通を動かし、やがてムーブメントは社内にも波及し、靴のデザインにまで変化が現れた。そして結果的に売上にも貢献した。

このことから、デザインの創造性は見た目の変化だけでなく、経営の分野にも影響を及ぼすことができると著者は気付いたそうだ。正しいアプローチで表現されたビジュアルは、圧倒的なコンセンサスを生み出す力を持っている。正しいアプローチとは、時間をかけてじっくり内面と向き合うこと。そうして本質を探ること。

デザインとは結局のところ、その組織の価値観をぎゅっと凝縮したものなのだと思う。だからこそ、どこまでも本質と向き合う必要がある。そこで注意すべきなのはひとりよがりにならないこと。主観と客観を絶えず切り替えて考えること。そしてそのために鍛えるべきなのは、感じ、想像し、創造する力。きっと経営者に限らず、すべての現代人が身につける努力をするべきなのだろう。

 

これからのデザイン経営

これからのデザイン経営

 

 

【書評】すべての日常動作の質がUP『脱力のプロが書いた!「動き」の新発見』

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身体を使うのはスポーツや武道のような運動のときだけではない。日常のすべての活動において、私達は身体を使っている。そんな日常での身体の使い方について、本書では語られている。

スポーツの本というとどうしても専門的になりすぎて理解できないことがあるが、本書はもっと初歩的なところ、身体の動きに焦点を当てている。普段はあまりスポーツをせず身体について詳しくない人にこそ読んでほしい。

身体の動きの中で、脱力というのがある。勘違いしている人が多いのだが、脱力とは単に身体の力を抜くのではなく、力を入れる部分と抜く部分を使い分けるということだそう。例えばタイピングをしているとき。手や指に力を入れて作業していると、気づけば肩が凝ってしまうことがある。これは無意識のうちに手と肩の両方に力を入れてしまっていることが原因だ。しかし、単に肩の力を抜いて作業しようという意識だけではこの問題は改善できない。こういった人は、肩の力を抜くと手の力も抜けるといったように、肩と手の動きが連動してしまっているからだ。まずは、肩と手を切り分け、手の緊張と肩の脱力というものを身体の感覚として分けて使えるようにしていくことが大事だそうだ。これが脱力できた状態である。

この説明、私は腑に落ちた。この腑に落ちるという状態は頭を通り越して内臓である腑に落ちるということらしい。頭だけでは理解できない。身体で理解することで、「身につく」という状態になれるのだそう。

肩に力を入れると、手の力も入ってしまう。お腹には力が入れられるが、耳には力が入れられない。このように自分の身体でも意外とコントロールできないことが多い。まずはこういったコントロールできないことがあることを知るということ。それが、身体を上手に使うための第一歩である。