HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】人は後悔を生み続ける。大切なのは後悔のままにさせないこと。『漫画 君たちはどう生きるか 』

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後悔を後悔のまま抱え生き続けるのか、その後悔の重荷を下ろし生きて行くのか。
少年の裏切りと言う後悔をきっかけに物語は進む。
少年はコペル君と呼ばれている。叔父さんに付けられた名前だ。
常識を妄信してはいけない、考え続けなければならないと、叔父さんは少年に伝える。
当たり前を疑いだした少年のことを叔父さんは、「コペルニクス」の様だと思ったそうだ。

誰にでも経験がある些細な裏切り。その裏切りの苦しさに苛まれている少年は、叔父さんから1冊のノートブックをもらった。
物語は叔父さんのノートを主体にすすで行く。
誰にでも経験のある後悔からこの本は目をそらさなかった。
当たり前にことだが、後悔を抱えて生きて行くことは苦しい。だからこそ、それを解消しなければならない。
そんなことを忘れていた僕にこの本は教えてくれた。
当たり前をひっくり返した少年コペル君とこの本に感動した。

面白い物語の共通点は、一つの軸を主体にストーリーの枝葉を自然に伸ばしていくところ。
軸がブレてもよくないしストーリーが一つでは退屈。
この本はそのバランスが圧倒的に良い。
面白い物語と確信をもって言える。

進むべき道に悩んでいる人に読んでほしい、小説バージョンもあるので好みに合わせて。
装丁と絵を担当している、羽賀翔一さんは「ケシゴムライフ」と言う漫画を描いている。その漫画もこの作品と同様に何とも粋な話で、深く考えさせられる内容だ。
決して上手いとも言い切れない作画が原作の雰囲気を丁度よく表現している。
ケシゴムライフを見た過去があるからかはわからないが、僕はこの原作にしてこの作画あり!と、強く感じた。

僕も後悔を抱えています。
本当に些細なことです。
高校2年の初日にベランダに閉じ込められた女子を助けられなかった。
友人が「開けてあげな」と言った。
僕は開けられなかった。みっともない保身のためだ。
その女子とは今でも交流はあるし仲も良い。
それでもずっと忘れられないこの記憶に向き合おうと思えたのは、間違いなくこの作品のおかげだろう。

 

漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

 

 

【書評】本気でプログラマーになりたいあなたへ『独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで』

 

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プログラミング言語の1つ、『Python』を題材として、独学でプログラマーになるために必要なことが書かれている本です。
注意しなければいけないのは、何も知らない初心者がプログラミング始めてみようと思って手を出す本ではないというところ。
Progateやドットインストールといったプログラミング学習サイトで少しプログラムには触れてみたけども、
プログラミングについて、『もっと理解を深めていきたい』とか、『仕事にするにはどうすれば良いのだろう』といった方にぜひ手にとっていただきたい。

一般的なプログラミング本というのは、
『この処理はこうやってやれば動きますというやり方が画像や解説付き』で書いてあったり
『この処理はどうやってやるんだろうとやりたい処理を索引しつつ試して行く』という作りの本が多いと思いますが、

この本は、
『この処理はこうやってやれば動きます。なぜならば、このコードはこういう役割をしており、こういう風に使うものだからです。
 更にこういう使い方はしてはいけません。こうやって使うとこのような不具合が発生します』みたいに
1つずつの処理について、ひたすら細かく深く書いてあります。

また、『Python』を題材としてはいますが、全てのプログラミング言語に共通する考え方について書いてある点も
他の書籍と違う点の1つで、プログラミングパラダイムやバージョン管理、アルゴリズムについても書いてあり、
プログラミングの基礎を学ぶだけでなく、仕事として使っていく上で必要な事もしっかりと書いてあります。

最初にも書きましたが、プログラミングをまったく触ったことのない人が読む本ではないですし、
既にバリバリのプログラマーの方が読んでも当たり前のことが書いてあるだけだと思います。

この本には画像はありません。ひたすらコードと解説が活字でみっちりと書いてあります。
簡単な本ではありません。読んでは理解できず、戻ってはまた読み直すそんな本です。

ですが、本のタイトルの通り『これから独学でプログラムを書いていく上に必要な知識やノウハウ』が詰まっている本です。
<本気>でプログラマーを目指すぞと意気込む人に、ぜひ手にとっていただきたい一冊です。

 

独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで

独学プログラマー Python言語の基本から仕事のやり方まで

 

 

 

【書評】運は行動次第で変えられる。幸運を掴み取ろう。『運は操れる』

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 例えば電車に乗り遅れた時、渋滞に巻き込まれた時やギャンブルに負けた時等、日々の生活の中で運が悪いなと思ったことは誰しもがあるだろう。だが、運は自らの力ではどうしようもないものではない。著者は①不安に強くなること、②試行回数を増やすこと、③気づく力を鍛えることで運を高められると述べている。

 本書では運にまつわる具体例として、大好きなアーティストの来日公演チケットを取るために神頼みする人と自分の応募に加え周囲の人々に頼み込んで応募依頼を行う人を掲げている。運を操れるのは後者だ。不安に負けた前者の行いは何も現実を変えられない。一方、後者の行為は単純に当選確率を上げることはもちろん、「あの人がチケットを欲しがっている」という情報を広く伝えられる。そうなれば余剰となったチケットを自ら摑み取る機会を高められる。もし、この会で受けられなくても次回以降に掴み取る確立はぐっと上がるはずだ。

 もう一つ、「金のなる木の実験」を紹介しよう。キャンパス内学生が通る道の樹木にあるときドル札をつるし、金に気づいた学生を数えたところ、金が吊るされていることに気づいた学生は6%に過ぎないという。変化に気づくものは案外少なく、日頃から気づく力を研ぎ済ませた者だけが幸運を得られることを証明している。

 著者はメンタリストとして名高いDaiGo氏である。運に関する本は風水をはじめとし多々見受けられるが、著者の本は研究発表された事例や確立されている理論に基づいて記載されている点で他の著書と一線を画している。また、運を高めるためのテクニックが数多く、かつ簡潔に説明されているため万人向けの内容だ。

 日々の生活を少しでも高めたいという思いがあるすべての人へ。本書に記載されている方法を取り入れ、幸運を自ら掴み取る生活を送ろう。

 

運は操れる (望みどおりの人生を実現する最強の法則)

運は操れる (望みどおりの人生を実現する最強の法則)

 

 

【書評】川の流れに逆らわない『時間革命~1秒もムダに生きるな~』

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本書は、著者が何よりも大切にしている「時間」だけをテーマにした初の著書であり、最高の今を生きるための方法について書かれている。

著者は、時間の質を上げることをずっと考えてきたそうだ。それは、時間は人生そのものであり、時間の質を高めることが、人生の質も高くするからだ。

まず、時間には自分の時間と他人の時間の二種類があると言う。自分自身の一日を振り返り、自分の時間はどのくらいあるのかを確かめてみるといいそうだ。

例えば、他人の時間を生きていると、時間がとても長く感じ、それはストレスの原因になる。また好きなことをしている自分の時間は、あっという間に過ぎてしまう。そのように判断するとわかりやすい。

体感時間の長いものを人生から排除し、自分の時間でスケジュールをうめることで、人生の質は高まっていく。このように、自分の日常に時間革命を起こすことがとても重要なのだ。

また、著者を魅了してきた分野の一つに「ライフサイエンス(不老不死)」があると言う。最も時間を長く持つには、寿命を伸ばす又は生き続けることが最適だ。評者は、以前から人は死なずに生き続けることが可能だと考え、自分自身もそうなると思っている。

しかし、驚くべきことに、実際にそれが可能であったとしても、誰しもが長寿を望んでいないということがわかった。

評者は、ビジネススクールに勤めているため、専門家から不老不死の話を聞いた翌日に生徒たちへ「長生きしたいか」さらに「何歳まで生きたいか」とたずねると、「それほど長く生きたくない」という答えが意外にも多かった。そこには、現在の年齢は全くもって関係なく、20代でも、50代でも答えは同じだ。

それは、死ぬことも、生き続けることも選択することができることを意味し、自分の寿命は、自分の意志で決定できると考える。

また、著者の大ヒット作の一冊でもある『多動力』は、時間という観念からも一つのキーワードとなるが、実際に「多動」という意味を理解していない人が多いそうだ。本書では多動状態をわかりやすく解説しているため、今一度確認して再度『多動力』を読み返してみると、より理解度が深まるだろう。

『多動力』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2018/03/25/070000

『マンガで身につく多動力』
http://bookrev.horiemon.com/entry/2018/04/01/070000

 

時間革命 1秒もムダに生きるな

時間革命 1秒もムダに生きるな

 

 

【書評】慢性的な痛みや困った人間関係、実はそれそのものが「解決」です。自分にとって違和的な存在を味方につけるための入門書『痛みと身体の心理学』

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自分にとって苦手なもの、嫌いなものは勿論避けるもよし、取り除くもよし。しかし何度も繰り返される身体症状や対人関係のトラブルは、その人自身に気づきをもたらすための大切な「プロセス」である。現代物理学を修めた後ユング派の分析家となったA.ミンデルが創始したプロセス指向心理学を、日本の第一人者である筆者が1人でも手軽に出来るワークなどを織り交ぜながらわかりやすく紹介しています。

一次プロセス、二次プロセス、チャンネル、エッジ、増幅といった独自の用語がありますが一度意味を覚えてしまえば簡単。自分の今現在の立ち位置、今後の方向性について、夢や身体症状、人間関係、世の中の出来事等、様々な情報を通じて気づきを得られます。

自分にとって不快でしかない存在や出来事が、自分が今抱えている問題の「解決」になりうる。そのような体験を一度でも体験すると、一見すると困った事にしか思えないような出来事であっても、それがどのような気づきに繋がるのか「ワクワク」しながら受け入れられるようになります。

「なんで自分ばかりこんなことが…」といった、「私の努力」ではどうにもならない出来事が繰り返される方にとっては、新たな視点を与えてくれるきっかけとなる1冊です。 

 

痛みと身体の心理学 新潮選書

痛みと身体の心理学 新潮選書

 

 

【書評】次の10年を見据える基礎知識 『5Gビジネス 』

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◆世代の狭間を生きる僕らの基礎知識
YouTube大学でも中田のあっちゃんが分かり易く取り上げていた本書を読むことは、次の10年を想像する未来の設計図と言えるでしょう。
5Gってどういう意味?4Gと3Gの違いもよく分かってないんだけど…
という方、とりあえずググるか本書を読むことをおすすめします。
日本では、2020年以降、5G(5th Generation = 第5世代移動通信システム)が実稼働し始める予定です。
これにより、圧倒的な「高速大容量通信/超信頼低遅延通信/多数同時接続」を実現することが出来ます。
漢字がつながって分かりズレぇーという方、つまるところですね、パソコンのインターネット環境で出来ていたような通信環境がスマホの中でも実現するんだなぁーとイメージしていただくと分かりやすいかと思います。

◆もう泣かない?通信制限とはおさらば
体感し易い変化を挙げると、5Gの通信環境が整うことで、動画のような大容量データの消費をしても、通信制限とはおさらばすることが5Gの始まりと言っても良いかもしれません。
上記に述べたように、5Gの前提として、現時点では使い過ぎによるデータ通信制限がかかりやすい環境で、まだまだスマホの通信アクティブ率が右肩上がりな成長分野(=供給不足)である点を解消することが第一義であると言えるでしょう。
一見、性能が上がっただけで大きな変化ってないんじゃないの?と捉えてしまう方もいるかもしれませんが、そうではないのです。
まだまだ、まだまだまだまだ新しいサービスの登場によるIoTによる生活の大変化が起きる前の時代だと思ってもらっても差し支えないと思われます。

◆BtoBtoXが生み出す生活一大変化
いきなり、なぞの英単語が登場したと思うやもしれませんが、IT領域は英語で語ったほうが理解し易いキーワードが多々登場するのです。
5G社会の到来により、BtoBtoX(Business to Business to X(エンドユーザーをXと指す。Business or Customerなどに置き換えることが出来ます)という構図が一般的となると言われています。
最初のBは、通信環境の土台となる提供元を指しており、間のBがサービス提供者となる企業が入り、エンドユーザーとなるXがサービスを享受するという構図です。
これらに関しても、既にGAFAを始めするWebサービスはBtoBtoXの関係図になっていますので、ことさら新しい概念になるわけではありませんが、その他多くのサービス業も同様の構図となったサービスモデルに向かうと予想されているわけですね。
もっと、身近な例に落とし込むと、例えばキャッシュレス。
2019年に入ってからコンビニを始めとする多くの店舗でキャッシュレス決済が取り入れられるようになりましたね。
オンラインで一気通貫でサービスが成立つように出来る、利便性の高い日常やサービスや着実に生まれているのです。

◆データ爆発の大航海時代?いやもはや帝国時代の到来か?
IoT(Internet of Things)という「あらゆるモノがインターネットにつながる」という状況がリアルタイムで進行中です。
そして、5G時代に突入することで、これまで想像は出来ても物理的に実現困難だったサービスが登場し続けます。
想定ではなく確定事項です。
本書にもあらゆる未来のサービスが書かれている通り、既にアイデアをかたちにしている群雄割拠な時代ですので、僕らの目の前に登場するのは時間の問題だと言えるでしょう。
そんな舞台の中で、GAFA(GoogleAmazonFacebookApple)を始め、中国のBATH(Baidu/Alibaba/Tencent/Huawei)といった超IT企業が世界の市場を席巻しているわけですよね。
可能性を感じる激動の時代に生きていると同時に、確実に生活の変化が生じる時代においては、「今まで通りが良い」と思考停止なマインドのままでは、おいてけぼりに会うやもしれません。
どうせ変わるなら自分で道を切り拓きたいですよね?

 

5Gビジネス (日経文庫)

5Gビジネス (日経文庫)

 

 

【書評】2勝10敗の経営理論『俺のイタリアン、俺のフレンチ』

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まず初めにこの本の著者である坂本孝氏はブックオフの創業者であり、俺のイタリアン、俺のフレンチを展開する俺の株式会社の創業者でもある。輝かしい実績と名声を手にする経営者だが、ブックオフ設立以前の戦績は、0勝10敗である。10敗した経験を踏まえて、ブックオフのみならず、俺のシリーズでも上場を視野に入れる、坂本氏の経営哲学とは何であろうか。

その答えは、この本においてシンプルな「競争優位性」という言葉で説明されている。俺のシリーズの競争優位性とは、一流料理人が原価を抑えず顧客満足度の高い料理、サービスを提供することにある。飲食店経営を知る人、事業を行っている人はこれを、競争優位性と聞いてびっくりするまたは、呆れてるかもしれない。なぜならば、飲食ビジネスにおけるトレンドは、高単価かつ原価を抑えることに主眼が置かれているからだ。坂本氏も、この経営方針に対して、道楽で商売をやっていると批判や嘲笑されたと語っている。ただし、俺のシリーズはこの競争優位性を回転率にこだわることで数字上で勝てることを説明づけている。そして、この仮説をより実績に近づけるべく、人材雇用、エンゲージメント、オペレーション等に日々カイゼンを施していき、競争優位性を強化していくというものだ。

回転率をあげるべく集客し続けることは、飲食店に置いて容易なことではないが、そこに焦点を絞りあらゆるカイゼンを施していく考え方は、トレンドや理想のみを追いかけ数字に置き換えない経営者や創業者がまず一勝を積み上げる上での良書といえる。

 

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方

 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2019/10/13-19】

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1位

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bookrev.horiemon.com

北欧式 眠くならない数学の本

北欧式 眠くならない数学の本

 

 

2位

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bookrev.horiemon.com

ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力 (NewsPicks Book)

ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力 (NewsPicks Book)

 

 

3位

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経済学 名著と現代

経済学 名著と現代

 

 

4位

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5位 

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 6位

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7位

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8位

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9位

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10位

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【書評】子を思う母親の力を見よ『えっくんと自閉症―ABAアメリカ早期療育の記録』

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「日本ではダメだ」

残念ながら多くの医療が日本ではとても遅れている。

HIUの方ならご存じであろうが、実は何十年も遅れている分野が少なくない。

多くの人はそのことすら知らず、世界標準から大きくズレた治療や検査を受け続けている。

自閉症もその一つ。

「トンでも医療」で、何も改善しない息子のことを母親は独学で調べ続け、父親の祖国アメリカでは全く違った現状であることを知る。

クラファンもない時代、母は障害を持つ息子を連れて単身アメリカへ渡り、持ち前の粘り強さでアメリカ人と同様の教育サービスを取り付けていく。

この本を障害児の教育本と思うなかれ。

現状に満足がいかないなら、徹底的に調べつくして行動する。

必要あらばアメリカに移住し、父親がアメリカ人である自分たちにはアメリカ人と同様のサービスを受ける権利があると行政とどうどうと渡り合う。

子のことを思う母親を止められる人間はいないのだ。

この本では忘れていたバイタリティを思い出してほしい。

どなた様も満足すること請け合いだ。

 

えっくんと自閉症―ABAアメリカ早期療育の記録

えっくんと自閉症―ABAアメリカ早期療育の記録

 

 

【書評】司馬遼太郎が描く牛若丸『義経』

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判官贔屓という言葉があるくらい、源義経を大好きな日本人。美形な好男子のイメージがあるが、司馬遼太郎の描く義経はもっと人間味がある。

以下、印象的な場面。

●頼朝との対面
義経を見定める頼朝と、緊張しながら謁見する義経。最初は認めあっていた2人なのに、ストーリーが進むにつれて、次第に亀裂が入り、心が離れていく有様はとても切ない。

木曽義仲の性格
京都を追われる義仲が、恋仲になった都の貴族の娘と別れるやり取りが何とも俗っぽくていい。ちょっと滑稽。

鵯越の逆落とし
山道を行軍し、敵の目を欺いて崖から馬ごと落ちて攻めた有名なシーン。怖がって言うことを聞かない馬の描写や、崖を駆け下りた馬の様子、義経が激を飛ばすところなど、すごくリアリティがあった。

壇ノ浦の戦い
天才的な義経の戦術と思いきや、舟の漕ぎ手を射るのはルール違反だったらしい。そして、史実はどうだか知らないけれど、建礼門院安徳天皇の母親)は死んでおらず、義経に身を捧げていた。

実際のところは分からないが、滝沢秀明のような美形義経ではなかった、という感じが、評者は好きだ。

読書の秋。
たまには、歴史に思いを馳せるのもどうだろうか。

 

新装版 義経 (上) (文春文庫)

新装版 義経 (上) (文春文庫)