後悔を後悔のまま抱え生き続けるのか、その後悔の重荷を下ろし生きて行くのか。
少年の裏切りと言う後悔をきっかけに物語は進む。
少年はコペル君と呼ばれている。叔父さんに付けられた名前だ。
常識を妄信してはいけない、考え続けなければならないと、叔父さんは少年に伝える。
当たり前を疑いだした少年のことを叔父さんは、「コペルニクス」の様だと思ったそうだ。
誰にでも経験がある些細な裏切り。その裏切りの苦しさに苛まれている少年は、叔父さんから1冊のノートブックをもらった。
物語は叔父さんのノートを主体にすすで行く。
誰にでも経験のある後悔からこの本は目をそらさなかった。
当たり前にことだが、後悔を抱えて生きて行くことは苦しい。だからこそ、それを解消しなければならない。
そんなことを忘れていた僕にこの本は教えてくれた。
当たり前をひっくり返した少年コペル君とこの本に感動した。
面白い物語の共通点は、一つの軸を主体にストーリーの枝葉を自然に伸ばしていくところ。
軸がブレてもよくないしストーリーが一つでは退屈。
この本はそのバランスが圧倒的に良い。
面白い物語と確信をもって言える。
進むべき道に悩んでいる人に読んでほしい、小説バージョンもあるので好みに合わせて。
装丁と絵を担当している、羽賀翔一さんは「ケシゴムライフ」と言う漫画を描いている。その漫画もこの作品と同様に何とも粋な話で、深く考えさせられる内容だ。
決して上手いとも言い切れない作画が原作の雰囲気を丁度よく表現している。
ケシゴムライフを見た過去があるからかはわからないが、僕はこの原作にしてこの作画あり!と、強く感じた。
僕も後悔を抱えています。
本当に些細なことです。
高校2年の初日にベランダに閉じ込められた女子を助けられなかった。
友人が「開けてあげな」と言った。
僕は開けられなかった。みっともない保身のためだ。
その女子とは今でも交流はあるし仲も良い。
それでもずっと忘れられないこの記憶に向き合おうと思えたのは、間違いなくこの作品のおかげだろう。