本作品はシャーマンの物語だ。シャーマンは霊の力を借り、この世とあの世を繋ぐ役割を担う。本作品のシリーズのオリジナルである『シャーマンキング』が週刊少年ジャンプで連載を開始したのは今から20年前だ。勝ち負けを問題にしないストーリー展開はどこか曖昧で、当時中学生だった私にとっては掴みづらい漫画だった。とはいえ登場人物に合わせた武器や幽霊、必殺技など次の回を楽しみに待つには充分な要素が詰め込まれていた。
本作品は里矢村に着いた、三代目イタコのアンナであるアルミ・ニウムバーチの物語が中心となる。この“三代目イタコのアンナ”という表現も面白い。もとはイタコという役割であるアンナを指す言葉であったはずだが作品を跨ぐいつの間にか、登場人物の作品内の役割を指す言葉に変化している。もちろん重要な役割としてだ。
作者の武井宏之の作品は読み切りも含め全て読むべきだ。なぜなら全ての作品は繋がっているからだ。その繋がりを伴奏するのは彼の音楽性だ。そこに言及された記事は残念ながら拝見できていないが、おそらく各作品に散りばめられてる70〜80年代の輸入音楽の世界観が彼の世界観のベースを担っている(のではないかと思っている)。彼の作品の舞台の多くは日本だが、どこか民族学的な魅力を感じるのは扱うテーマだけが理由ではないだろう。
シリーズを愛読していた方もこの作品を初めて読む方も、本作品を読んだ後にはぜひ作者のこれまでの作品を読んでほしい。
SHAMAN KING THE SUPER STAR(1) (少年マガジンエッジコミックス)
- 作者: 武井宏之
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2018/11/15
- メディア: Kindle版
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