HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】「なにやってんだろ」。付き合ってもないけど、切ないけど、身体を重ねる二人。14歳の葛藤。『うみべの女の子』

 

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久々に自分好みの作品をみつけてしまった。心の整理のつかない思春期の「なにやってんだろ」を味わえる超名作。心の整理がつかないまま14歳の二人は身体を重ね、物足りなさ、これじゃない感を味わい、でもまたしてしまうそんな葛藤を味わえる。

主人公の小梅は14歳の女の子。好きな先輩とデートに行ったが、フェラを強要され逃げた。その腹いせに自分のことが好きなクラスメイトとSEXを毎日のように繰り返す。が、いつも何か物足りない。

その相手の磯辺は小梅が自分のことを全く好きではないことを知りながらも求められるままSEXを繰り返す。でもキスはしてくれない。自分を好きになることもない。毎回これで最後と思うが誘われるとやっぱりしてしまう。

「なにやってんだろ」

本作はひたすらに切ない。胸が締め付けられる。モヤモヤさせられる。その上絵が超綺麗。作品に没頭させられる。

しかし、どれだけ葛藤しても何かのきっかけで何事もなかったように人は大人になっていく。なんとなく付き合った相手に「すきだよー」とか言う高校生に成長する。いやー、久々に名作を読んだ。

 

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

うみべの女の子 1 (F×COMICS)

 

 

【書評】失った「ナスビさんチョッキ」は、どのようにして取り戻せたのか?『捨て本』

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本書では、著者自身の半生を振り返り、著者の「捨てる論」について書かれている。また「常識や理屈に縛られ、思考停止した生き方をしている人が、どうすれば自由に生きられるのか」これは、著者が近年探求し、今まで発売されてきた多くの著書で伝えてきたメッセージだと言う。

自分が必要だと思っているモノ。多くの人は、そのモノ自体が人生を豊かにしてくれていると信じている。ブランド物などがいい例だ。それを所有すること自体が、自分のステータスをあげると思っている人は非常に多い。

しかし著者は、豊かに生きる方法として、モノや他人への執着を捨て、自分の気持ちに従い、今を生きることをすすめている。そして、目の前のことに熱中していれば、自分に合った仕事、人間関係、自分があるべき場所へたどり着け、本当に大切なものが取り戻せると言う。

本書は『捨て本』というタイトルのとおり、捨てる事にたいしてフォーカスされているが、決して「捨てられないもの」や今後「生きていくのに必要なもの」についても書かれているため、本書で確認してほしい。

本書の表紙に書かれているタイトル『捨て本』は、著者による直筆だと思う。字はその人の人格を表すと言われ、その人が持つ教養や人柄、またその人の人生への姿勢までもが表れると言われている。

著者の書いた字の第一印象は、非常に丁寧に字を書いている。著者自身も、その字のように丁寧な人なのかもしれない。

例えば、著者のツイッターなどでの的を射た簡潔な発言は、時として人々に理解されないこともある。そんな時、著者は自分の貴重な時間を使い、理解できない人にもわかりやすいように、その発言の意味について解説するところなど、本当に丁寧な人だ。

字を単に上手に書くということは、コツがわかれば誰にでもでき、そう難しいことではない。しかし、丁寧に書くということは、非常に難しい。評者は、子供の頃から書道を習い、現在も継続しているが、いまだに丁寧な字は書けていない。また著者からの思いがけない新たな学びがあった。

著者の本は複数読んでいるが、本書からも「捨てる」ということをキーワードに人生についての多くの学びがあった一冊である。

 

捨て本

捨て本

 

 

【書評】三井不動産に教わる場づくりエンゲージメント『場の力 変化を起こすためのヒント』

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今でこそ、当たり前になった、コワーキングスペースクラウドワーキングにサテライトオフィス
2016年時点で事例紹介をしている、さすが業界最大手不動産会社の中の人たちが書いた1冊。

社内向けメールマガジンだったということもあり(とんでもなくハイクオリティメルマガ!)、内容がコンパクトにまとまっており、読みやすいのもポイント。
全60号の良質なコンテンツを楽しむことができる。

働き方と服装、旅館サービスの『名乗り』効果、コンテナ型店舗など、街づくり、場作りのプロフェッショナルたちの視点は興味深く、研修事業を営む評者にとっても、新たな気づきが沢山あった。

事業のヒント、組織風土改善、チームの場作りのヒントが欲しいときなど、とても役に立つと思う。

書いていらっしゃる方たちもとても素敵な皆さんです!

 

場の力―変化を起こすためのヒント

場の力―変化を起こすためのヒント

 

 

【書評】感情を仕事に持ち込むべき理由『ハートドリブン 目に見えないものを大切にする力』

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講演会を聞きながら感じた塩田氏の印象はこうだ。
『あぁ、ついにニュータイプの経営者がきた』

新人時代に教わらなかっただろうか?もしくは、先輩や上司にこう言われなかっただろうか?

論理的に説明しろ、で、根拠は何?
感情的になるな、お前の思いは横においておけ
何言ってるか全然わからない、結論から話せ
お前の感想を聞いてるわけじゃない、意見は何?

ビジネスパーソンの登竜門とも言えるこんな指導について、完全に逆行する指南書だ。

理系専攻、一橋でMBA取得までした塩田氏。ハートドリブンな経営、感情を大切に扱うこと、については、明確な根拠と大局観がある。

●便利さ(機能的価値)の時代から、心(感情価値)の時代へ
●画一的な価値観から、多様な価値観を認め合う文化へ
●透明性の加速。DoingからBeingの時代へ

技術の進化が、欲求をシフトする。人がゲームをするのは、感情報酬。
少し聞いただけでも、今の時代はそうだよなと腹落ちできる考え方が豊富に書かれていた。

そう、私たち、本当は感情をもっと大事にして、仕事したいと思っていたのではないだろうか。
学生時代までは、もっと感情表現は自由だったのに、会社に入った途端、言えることや書けることが制約されるのはもちろん、感じることすら抑制されてしまった。

大切なのは、塩田氏のハートドリブン思考は、彼が徹底的に思考タイプに振り切れた経験をして、ズタボロになったからこそ、生まれたものであるということだ。
最初から、魂の解放がどうのと、言っていたわけではない。

父親の死、自分の会社を持つと決めてからの行動力。スタートアップのご多分に漏れず、侵食を惜しんで仕事に没頭し、身も心もボロボロになって、気付いたことだった。だから、説得力がある。

発言したら拍手する、経営会議もチェックインから雑談が続く。いま、どんな気持ちなのか、みんなと共有する。不機嫌なことも隠さない。
安心安全な組織とは、かくあるべきだと私は思った。
アカツキこそ、まさにティール組織だ。

スタートアップで働く方は、共感が多いだろう。
そして、大企業に勤める人こそ、このニュータイプの経営者の考え方は知っておくべきだ。
きっと、救われる考え方があると思う。

 

 

【書評】「スキル×理論的×経営者視点×環境」『働き方完全無双』

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先進国で生まれた私たちは、今後経済的に苦しくなっていくことが明らかだと著者は言う。本書は、日本でどのようにしたら「無双」状態で働けるかについて書かれたものである。

日本で働く上で自分を有利にさせるために、自分自身の守り方、攻め方、さらに企業側の視点を本書から学び、クビになっても大丈夫な状態にする。そのためには、まず現状を分析し、最悪な状況からシミュレーションしていけば、誰でも幸せは手に入るそうだ。

また、普段から笑顔でいることの重要性についても伝えている。なぜなら著者自身の実体験により、笑顔でいるとなんとかなることが多いそうだ。

著者は、長年海外に住んでいるそうだが、海外だとスーパーのレジやエレベーターに乗った時など、思わぬところでも笑顔で挨拶するのが当たり前であり、そのようにしたほうが絶対にトクだと言う。実際に物事が上手くいかなかったり、言葉があまり通じなかったとしても、笑顔でいたことで、自然と上手く事が運んだそうだ。

確かに海外に行くと、国によるかもしれないが、老若男女問わず笑顔の人が非常に多い。知らない人同士でも自然と挨拶をしたり、話をしたりする。しかし、その感覚で日本に帰ってくるとそのギャップが激しい。

日本だと無言や無表情の場面が多いせいか、不機嫌に見えてしまう。また意識した笑顔は作り笑顔になってしまい、より違和感がある。そのため、なんだかいつもニコニコ笑顔の人がより引き立ち、笑顔の人は損をしないと著者は言う。

本書の最後には、付録として著者のおすすめ観光リストや映画について掲載されているため、参考にしてみるのも面白いだろう。 

働き方 完全無双

働き方 完全無双

 

 

【書評】個人や組織において圧倒的な結果を出し続ける思考法を学べる一冊『直感と論理をつなぐ思考法』

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圧倒的な結果を出し続けている会社やチームの陰には、「これがやりたい!」という強い想いを持った人たちがいる、と著者は主張します。そして、その想いを「単なる妄想」で終わらせないためには、「直感」を「論理」につなぎ、「妄想」を「戦略」に落とし込むことが重要であると説きます。本書では、そのための思考法であるビジョン思考について学ぶことができます。

普通に生きていると「自分がどう感じるか(自分モード)」よりも、「どうすれば他人が満足するか(他人モード)」で考えてしまいます。ビジョン思考により圧倒的な成果を出すための大前提として、“今ココ”にいる自分へ注意を引き戻すことが重要であり、本書ではそのための具体的なアドバイスを提示します。

ビジョン思考の具体的なメソッドは、妄想→知覚→組替→表現のサイクルからなります。PDCAサイクルをベースとした「カイゼン思考」とは異なり、論理から始めない点が新しく、評者は読み始めた当初、理解が追い付きませんでした。しかしながら、各フェーズにおけるポイントや具体的な手法が多数掲載されており、読み進めるうちに理解が進みました。

評者は製造業の技術者であり、PDCAサイクルをベースとした「カイゼン思考」で日々の業務改善をしてきました。しかしながら、高度IT化や働き方改革など、外部環境が大きく変化する中で、従来の「カイゼン思考」による直線的な成長だけでは対応しきれない状況も発生していると実感しております。それに対し、個人の中から湧き出る「妄想(ビジョン)」を駆動力にし、ビジョン思考によりトライ&エラーを高速で回すという戦略は今の時代に対応するために非常に有効な思考法だと思います。

成功するプロジェクトには「自分モード」で「妄想」を持った人がいます。そして、その妄想を「単なる妄想」から「価値あるアイデア」へ昇華させる思考法を本書は与えてくれます。個人や組織において圧倒的な結果を出し続ける思考法を学べる一冊です。

 

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

 

 

【ランキング】今週読まれた書評【2019/10/6-12】

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1位

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bookrev.horiemon.com

ジョーカー[新装版] (ShoPro Books)

ジョーカー[新装版] (ShoPro Books)

 

 

2位

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bookrev.horiemon.com

セルフ・アウェアネス (ハーバード・ビジネス・レビュー [EIシリーズ])

セルフ・アウェアネス (ハーバード・ビジネス・レビュー [EIシリーズ])

 

 

3位

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bookrev.horiemon.com

思わず考えちゃう

思わず考えちゃう

 

 

4位

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5位 

bookrev.horiemon.com

 

6位

bookrev.horiemon.com

 

 7位 

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8位

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9位

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10位 

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【書評】職場の人間関係に悩むすべての人へおすすめの1冊『天才を殺す凡人』

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本書では、才能を「ビジネスの世界で必要な三つ」に定義し、その才能を生かす方法を段階に解き明かしていきます。本書を読むことで「どうやって、自分の才能を段階的に高めるのか」「自分の才能を仕事で活かす、具体的な方法」「組織が異なる才能をコラボレーションさせる方法」のヒントを見つけることができます。

本書では、人を「天才」「秀才」「凡人」の3種類に明確に定義し、それぞれの価値判断の「軸」が異なるために別種の人間同士で話し合っても伝わりにくいと説明しております。自身の所属する組織メンバーに置き換えて考えてみると、腑に落ちる個所が多く、非常に納得感がありました。

さらに、「凡人は天才よりもはるかに多く存在するために、多数決のナイフにより凡人は天才を殺しうる」、「異なる軸を持つ者同士の橋渡しをする人間がいる」といった組織におけるコミュニケーションを円滑化するヒントが数多く述べられています。

本書は「才能」という実態のない概念に対して、真正面から考察した1冊です。テーマは重たいですが、青野という35歳の男性サラリーマンを主人公としたストーリー仕立てで非常に読みやすく、小説としても面白いです。

サブタイトルに「職場の人間関係に悩む、すべての人へ」とあるように、老若男女あらゆる人に得るものの大きい一冊です。

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ

【書評】軽いビジネス書を読み飽きたあなたたちの知識欲を満たす一冊『経済学 名著と現代』

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福沢諭吉ドラッガー、アダムスミス、経済学、社会学、歴史、倫理学。本書は日経新聞の連載をまとめたものである。各分野のプロが、歴史的名著のエッセンスをまとめた1冊だ。


本には「今、現在流行っているものをとりあげ、読み捨てられる本」そして「普遍的な内容、あるいは時代を変える本となり歴史に残るもの」がある。本書は後者の普遍的な歴史的名著のエッセンスをまとめた本だ。


経済学を深く学ぶには、経済だけでなく、人間についても、地理についても歴史についても知る必要がある。その全てを学んだ地の巨人が自ら書いた本たちが紹介されているのだからそんなすごいことはない。経済学部を出るよりもこの本をしっかり読んだ方が間違いなく力はつくだろう。


昨今薄いビジネス書がブームだ。そんな時こそ古典をよもう。賢い人はいつも逆張りだ。本書は経済学についての名著をさらっと学ぶことができる。興味を持ったものを実際に購入すると本当の知が身につくだろう。さぁ今こそ古典をよもう。

経済学 名著と現代

経済学 名著と現代

【書評】数学って本当は面白い『北欧式 眠くならない数学の本』

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「数学嫌い」「難しい」「自分の生活には関係ない」と子どもから文句を言われる親御さんも多いのではないでしょうか。公式を使って問題を解くことだけが数学ではありません。手と体を動かして数学の面白さを実感してみましょう。


序章では私たちは誰だって数学者であると書かれています。身のまわりの植物、動物、建物、芸術、目に映るすべての場所に数学はあります。お子さんの数学の見方を変えてくれるかもしれません。


この本では多くのワークが紹介されています。どれも簡単に出来るものです。数学を使って遊べます。


北欧を代表する絵本作家によるイラストがふんだんに使われています。本編113ページ中、文字のみのページはたった5ページ(今数えました)。小学校高学年ぐらいから読める平易な文章でありながらオイラーの多面体定理・フィボナッチ数列・4色問題なども扱っています。これを読んで数学の点数が上がることはありませんが、面白さを伝えてくれる本です。


今学問と呼ばれている領域だって、言ってしまえば「誰かの没頭体験」のアーカイブであると誰かは言いました。本来は数学も面白いものです。没頭体験の入り口になるかもしれません。

北欧式 眠くならない数学の本

北欧式 眠くならない数学の本