HIU公式書評Blog

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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】東大卒→マッキンゼー経由→お笑い芸人『キャリアを手放す勇気』

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キャリアを手放すこと。 著者の石井てる美さんがもっていたキャリアとは東大卒、マッキンゼー入社など捨てるに捨て難いものです。そしてその経歴の次が『お笑い芸人』ですので、ジェットスターではなく『タワーオブテラー』並みの急降下ではないでしょうか。 完璧なキャリアを歩まれていると社会一般的な「良い」の評価を得られますが、更に怖いのは自分の中の「良い」という基準を満たさなくても「悪くない人生」を送ることができることです。 自分の「良い」よりも社会の「良い」という基準で生きる方があまりにも“オイシイ”のが日本の社会の仕組みです。そのことに嘘はありません。 東大卒、マッキンゼーという最高峰の集団に所属しその集団の影響下にいることは自分の「良い」を突き詰めることを許しませんでした。その集団のレールから外れることの恐怖心の方が勝るのが当然です。 しかし、ステータスを満たされても心が満たされないことに気付いた著者は一歩進みます。 私はその勇気を皆様に読んでほしいのではなく、その選択に至るまでの嘘偽りのない著者の葛藤です。その葛藤を選択までのストーリーにこの本の価値があると思います。その選択が正しいとか正しくない、効率、生産性、メリデメなどを省いても読む価値があります。 人の心は本当に不合理で社会画一的なカタチではないことを実感します。 著者が手放したものの大きさを考えてもそう思わずにはいられません。

 

 

【書評】もっと早く知りたかった…地方在住のお金のリアル『コロナ移住のすすめ』

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『地方在住とは定年後の夢ではなく現役世代ですでに始まっている』

コロナに伴いテレワークを経験する人が増えたことにより、多くの人が既存の働き方を見つめ直したのではないかと思う。
出社しなくても仕事はできる。満員電車に乗る必要もない。
この気づきはビジネスマンにとって働き方を変えるに十分な原体験となったのではないかと思われる。

出社しなくても問題ないならカフェで仕事でもしようか。とも思うが本書はいっそのこと地方在住もありですよと伝える。
本書の良いところは地方在住のリアルが書かれているところである。
地方での人間関係、教育、移住方法、必要なお金などの項目にてメリット、デメリットが書かれており、闇雲に地方在住をすすめているわけではない。

それに加え20人の地方移住者の体験談もかかれており、移住時のイメージを繊細に描きやすくなっている。

もし地方移住を考えているなら本書に目を通すことをおすすめする。

 

コロナ移住のすすめ ~2020年代の人生設計

コロナ移住のすすめ ~2020年代の人生設計

  • 作者:藻谷 ゆかり
  • 発売日: 2020/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】人生は選択の連続であり、大切なのは何をしたかではなく、それをどう受け取るか『君の膵臓をたべたい』

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「残り少ない私の人生の手助けをさせてあげてもいいよ」
内向的で、自分の世界に閉じこもりがちな「僕」と、僕とは正反対の性格の、いつもクラスの中心で笑っている「君」。今までも、これからも、きっと関わることのないはずだった二人は、ある日彼女が落とした日記帳を僕が拾ったことをきっかけに、関係を深めていく。

クラスメイトである山内桜良の日記帳を見てしまい、僕が知った真実。それは、彼女は膵臓の病気で、もうすぐ死んでしまうということだった。それから僕は、ただのクラスメイトではなく、彼女の病気を身内以外で唯一知る人物となる。

そして僕は彼女に強引に振り回されるかたちで、行動を共にするようになる。

桜良との関係を通して、僕の見える世界が少しずつ変化していくところが、本書の見所である。彼女との仲が深まるにつれて、自分の中にばかり向いていた目線が、どんどん外へと広がり、世界が色を成していく。

人に興味を持てなかった僕が、彼女と出会ったことではじめて人と繋がることの喜びを味わえるようになる。勿論、内に目を向けることは悪いことではないのだけれど、人は人によって変われるということを、本書は教えてくれる。そして人によって変わることを選んだのは、僕自身であるということも。

作中で、僕のふとした発言が、評者の心に残った。
”言葉は往々にして、発信した方ではなく、受信した方の感受性に意味の全てがゆだねられている。”という言葉。言葉にしても行動にしても、それをどう発信したか、何をしたのかよりも、それによってどう感じたのかを大切にしたいと、評者も常日頃から思っている。

僕が桜良に、「死ぬまでにやりたいこととかないの?」と聞く場面がある。
それに桜良は、「1日の価値は全部一緒なんだから、何をしたのかの差なんかで私の今日の価値は変わらない。私は今日、楽しかったよ。」と答える。

周りからの厖大な情報に流されて、何かしないと!と焦りばかりが募る。そして自分がどう感じたかはおろそかにしてしまうということは、日常では結構ある。だけどそのように過ごしていると、どんどん自分が空虚になっていく実感がある。「何をした」ではなく、「私は今日楽しかった」と桜良のように胸を張って言える毎日を過ごしたいと、強く感じる。

そして二人の関係は、結局最後まで、恋人なのか、親友なのか、わからないままである。だけどどちらにしても、非常に魅力的な関係と言える。相手のことを勝手に想像して、何でも自己完結してしまう僕と、自分の思いをそのまま素直に口に出す桜良。

正反対の性格の二人だからこそ、誰よりも相手のことをよく分かっている。お互いの欠点を補い合いながら、尊重しあえる関係。お互いに相手に憧れを持ち、相手を必要としている。とても理想的な関係である。衝撃的なタイトルはもしかしたら、この二人の関係性を表しているのかもしれない。恋人でも友だちでもない、二人だけの関係を。

本書は、映画化されたこととか、大ヒットした、ということは抜きにして、是非フラットな気持ちで、できれば高校生に戻ったような、素直な気持ちになって読んでみてほしい。重い部分はあるけれど、表紙のイメージそのままの、爽やかな読後感を味わえる作品である。

 

 

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

君の膵臓をたべたい (双葉文庫)

  • 作者:住野 よる
  • 発売日: 2017/04/27
  • メディア: 文庫
 

 

【書評】校長の話がこんなに面白いなんて『男の子のやる気を引き出す朝のことば』

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数々の著名人を輩出した清風学園。その校長先生の話を集めた1冊になります。心の持ち方や物事の考え方など、青春時代を送る生徒に向けた話の中には人生のヒントがいっぱいです。

私自身、学生時代の校長先生の話などほとんど覚えていません。イイ話を言っていたのかもしれませんが、いつも右から左へ受け流してしまっていました。しかし、この本の話は、なぜか、すっと自分の中に入ってきました。

この本の校長先生の話には、例え話がよく出てきます。スポーツ選手の話やとある企業の社長の話など。一見、生徒とは関係のない話のように思えますが、その中から重要な部分を抜き取って抽象化し、生徒に当てはめて話してくれます。自分ごととして捉えやすくなるため、多感な時期の生徒たちにずっしりと響き、彼らが世に羽ばたいていくキッカケになっているのではないでしょうか。

とにかくこの本の話には愛を感じます。どういう人間になってもらいたいか、青春時代をどう過ごしてもらいたいか、話から校長の温かみが痛いほど伝わってきます。学生時代、校長の話に耳を傾けなかった大人たちに、ぜひ読んでもらいたいです。

みなさんも1日の始まりを校長の話から始めてみませんか?

 

男の子のやる気を引き出す 朝のことば

男の子のやる気を引き出す 朝のことば

  • 作者:平岡 宏一
  • 発売日: 2020/07/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】病める人を減らすことから始めよう『「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?』

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本書は、「良い人材が健全に定着する組織を科学的に作る方法」という副題と通り、人が定着しない「組織の病」の原因と対策を、マーケティング手法を使いつつ、豊富な具体例を出して分かりやすく解説してます。

みなさんの会社や組織では、バリバリ活躍する人が急に辞める一方で、仕事をしているのか分からない人や仕事が辛くて暗くなっている人などが身近にいませんか。それはもしかしたら、「組織の病」が蔓延しているのかもしれません。

「組織の病」とは、メンタルヘルスだけではなく、社員やチームの生産性低下、雰囲気が悪い、採用苦戦、離職など、これら全てが該当します。そしてこの病は、社員が感じる「不満や不公平感」といった「マイナス感情の蓄積」により発生し、そして広まる。この十人十色と思われる社員の「マイナス感情」をマーケティング手法を用いて分類して、対応すべきターゲット絞ることで効率よく解決する。一般的に顧客(市場)に向けて使うマーケティング手法を社員(社内)に用いたところが面白いですね。

では、どのように分類するのか。
まず、個人活性をピラミッド状に捉えると上から順に「①働きがい」、「②働きやすさ」、「③心身コンディション」となり、①が低下すると積極的な離職、②が低下すると消極的な離職、③が低下すると離脱(メンタルダウンなど)となる。

次に、組織の中の人材を5つにグルーピングして考える。このとき、会社を現在けん引している「優秀人材」よりも次に優秀人材になる可能性が高い「ハイポテンシャル人材」や
入社したばかりで次にハイポテンシャル人材になりえる「立ち上がり人材」を優先的に対策を行う。一見、「優秀人材」に対策を実施したくなるが、「優秀人材」は個人が求めるものが千差万別であることが多く、対策が打ちにくい。なので、思考や求めるものが似ている「ハイポテンシャル人材」と「立ち上がり人材」をまとめて効率的対策する。

余りにも効率的過ぎて恐ろしいですが、ノー残業デーのような全社一律の施策だと「①働きがい」を求める人からすると不満が溜まるのでちゃんと狙うというのは良いですね。 

そして、ターゲット層が決まったら、組織活性につながる「①働きがい」、「②働きやすさ」、「③心身コンディション」の各項目を、従業員意識調査、ストレスチェックなどを用いてモニタリングしながら改善施策を実行します。このとき、改善効果を測る指標は会社や組織によって見やすい項目が異なるので項目や内容の充実も適宜実施します。また、組織活性の把握はいくつかの指標を複合的に見ていく必要があるため専門家と協力して実施するのが良い。確かに、現場で実務を実施しているリーダーや管理職は分析までは手が回らないですね。

著者は、医師でありながら経営学修士(MBA)を取得し、産業医経営コンサルタントとして活躍後、『ココロを扱うコンサルティングファーム』として独立。産業医としての現場の肌感覚とコンサルタントとしての問題を分解して分かりやすく説明する能力により、人事のプロでなくても理解できる内容になってます。是非、組織の若手リーダークラスや管理職以上の方には、「最近の若い者は…」と言う前に、人材育成と管理の基本として読んでほしいです。

このように人材に関する評価手法や対策方法が確立しつつある今、少しずつではありますが多くの組織は良くなっていくと思います。一方で現場は人事の分析結果を待っていれば良いのかと言うと私は違うと考えてます。本書でも少し触れられてますが、社員のココロに「無関心」で「想像力の欠如」した組織ではいくら手法が開発されても「マイナスの感情」の発生を止められない。

社員のココロに関心を持つきっかけとして本書を読んでみるのはいかがでしょうか。

 

「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?

「辞める人・ぶら下がる人・潰れる人」さて、どうする?

  • 作者:上村 紀夫
  • 発売日: 2020/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

【書評】個人的ベストセラー『愛着障害』

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個人的に素晴らしい本に出合ったと思う。
理由は書店に溢れる「不安に打ち克つ」「悩みが消える」などの本に書かれているエッセンスを全否定してくれるからである。

脳科学的に人間は常に不安を製造する生き物だということは証明されている。
アドラー心理学の本ではすべての悩みは対人関係に起因すると書かれている。
それらに対する対処法はだいたい「考え方を変えること、解釈を変えることと」であるがそれができるのなら苦労しない。浮かんでくる不安や人間関係の問題はその本を読むことで解決しない。

その問題に現実的なヒントをくれるのが精神科医岡田尊司先生が書いた本書である。
人間には様々な愛着様式があるが、その愛着は対人関係のスタイル、生き方や関心、恋愛、子育ての仕方、ストレス耐性や仕事の成果にまで深く関わっている。

スタイルとして回避型、不安定型、安定型、恐れ・回避型などいくつかに分かれる。
過剰に距離を取る人、やたら拒絶や失敗を恐れる人、共感力が低い人様々な特徴を持った人がおり私たちも関わり方に気をつかいながら生きているが、その原因の多くは養育環境と愛着形成不全に起因する。そのことは本書に詳しく書かれており必ず読者の皆様の役に篤人思われる。

どうしてそのように解釈するのか、そうしてそんなに極端に考えてしまうのか。
あなたはどこでその考え方を身に着けたのか覚えていますか。
一度対処療法のような書物を床において本書で愛着の観点から自分を振り返りましょう。

もし自分の問題が愛着由来だった場合はちゃんと根治があるのです。
そしてSNSで誹謗中傷を繰り返し人を自殺に追い込み、追い詰めたにも関わらず「私って訴えられますか」と相手のことよりも自分を心配するような共感性や相手への想像力の欠けた人間が多くなった現代において本書は必須です。

現代人の1/3以上が愛着障害を抱えており人間関係の形成が難しいからです。
そのような人たちとの関わり方を学びましょう。

 

 

【書評】現代の子供に尊重するほどの個性なんてないでしょう『虫眼とアニ眼』

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養老孟司さんと宮崎駿さんの対談集になります。
テーマは人、自然、虫、今の時代。何よりも子供についてです。

千と千尋の神隠しの映画は宮崎駿さんが10歳の子供たちのために映画を作りたいと思って制作しました。10歳の子供に宮崎駿さんは何を伝えたかったのか。
そのメッセージの根幹には現代社会とその時代に生きる子供たちの現状を捉える必要があります。

現代社会の特徴は多様性、個性の尊重、ゆとり教育など個を重んじることですが、子供を囲む教育は今も昔と変わっていません。学校では良い点数を取ること、そして良い大学に入り安定した企業に就職することでありこのルートに変化はありません。宮崎駿さんも養老孟司さんもこのままでは行き着くところは「非常につまらない大人」だといいます。

子供のために敷いたルートは、実は時代が重んじる個性を丁寧に殺しているのではないでしょうか?そう問題提起します。

こどもがこどもでいられない、そんな変な時代を終わりにしたい。
出所の分からない情報、ひどく軽くなってしまった言葉が蔓延するなか、なぜ宮崎駿さんの作る映画は心に刺さるのか。
なぜ言葉や理屈での表現ではなくアニメという表現を選択したのか。

言語化とは対照的な一冊。

 

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

 

 

【書評】鬼才 狩撫麻礼の作風を、谷口ジローの迫真の画力が完成させる。『青の戦士』

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私が、初めて谷口ジローの漫画を眼にしたのが本作品である。週刊漫画誌で読んだそれは、いきなりの最終回だったが、そのインパクトは強烈であった。
神秘性のある独特の雰囲気を持ったストーリーを、緻密で迫力のある画が下支えをしていた。
最終回だけを何度も読んだ。そして待った。
暫くの後、単行本が刊行され、ようやく物語を最初から読むことが叶った。
ボクシング漫画であるが、原作の狩撫麻礼の持つ異様な世界観が面白かった。
そして、ほとんどセリフも表情も無い主人公「礼桂(レゲ)」を描き切った谷口ジローの物凄さ。
古い作品ではあるが、今でもKindleで読める。

この頃の谷口ジローの画風はかなり劇画的である。
その後の、繊細さを兼ね備え、洗練されていく画とは異なり、ややバタ臭さを感じさせるものであるが、この作品にはこれで良い。

この作品で、谷口ジローだけでなく、狩撫麻礼の存在も同時に知った私は、その後、両者のそれぞれの作品を追いかけていった。
そして、有難いことにこのタッグでの作品も、「LIVE!オデッセイ」、「ナックル・ウォーズ」、「ルード・ボーイ」など、本作だけにはとどまらなかった。
なかでも、「ルード・ボーイ」は私のお気に入りだ。

谷口ジローは、かつてはハードな劇画作品ばかりであったが、その後作風でも画風でも様々な面を見せるようになり、ジャンルを問わず名作を多数残している。
有名なところでは、『「坊っちゃん」の時代』や、『孤独のグルメ』、『犬を飼う』などがあるが、原作付きの作品が多いなか、オリジナルストーリーで展開した『ブランカ』なども個人的には良作だと思う。

一方の狩撫麻礼も多作であり、色々な漫画家と組んでいる。
キーワードは、ボクシング、音楽、放浪。特徴は反体制の姿勢だろうか。
韓国で制作され、その後ハリウッドでリメイクされた映画「オールド・ボーイ」の原作者と言えば、通りも良いかもしれない。

 

青の戦士 (アクションコミックス)
 

 

 

【書評】あなたも知らずに使っている『AI(人工知能)まるわかり 』

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みなさん、人口知能(AI)と聞くと、どのような印象を持たれますか。「なんか知らないけど凄く便利なモノ」や「自分の仕事を奪う怖いもの」など、期待と怖さが半々という感じではないでしょうか。本書では、人口知能(AI)の開発の歴史や現在できることの説明から入り、今後の見通しや人間とAIの関わり方について解説してます。

「自分の仕事を奪う怖いもの」という意味では、ロボットや人口知能(AI)の性能向上と社会実装により、10~20年後には日本の労働人口の約49%の仕事が技術的には代替可能。
また、この約49%の中には一般事務や銀行員のようなホワイトカラーの業務も代替可能という調査結果が報告されてます。かなり衝撃的ですね!

そのなると人口知能(AI)が苦手な「創造性」、「コミュニケーション能力」、「非定型(答えが分からない課題)」などに携わりたくなりますが、本書では、そのような観点から将来の仕事や専門領域を決めるのは良くないと言っております。

例えば、人口知能(AI)が苦手な領域である芸術や歴史学を学んでも、実社会でのニーズが少ないので実際に職に就けるのかは疑問だということです。それよりも人間と人口知能(AI)で得意・不得意な領域が違うので、そこを理解して役割分担しながら働くのが良いとのこと。

評者はこのパートを読んで、仕事における創造性とは「仕事で少しでも良くなるように工夫する事」。コミュニケーション能力とは「相手の心情や立場も考えられる人間性(人格)」と「担当業務への深い理解」だと感じた。
なので、好きな仕事で人口知能(AI)もツールとして使って工夫するとともに、人間性と業務理解を高めていくのが良いと考えます。頑張るぞ!

また本書では、産業革命を「分岐点」に日米欧とそれ以外の国で経済成長の伸び方が大きく分かれ、そして「汎用人口知能(汎用AI)」を導入できるかどうかが「第二の分岐点」になるという。

具体的には、今までは「人 + 機械」による生産活動で、経済成長は「人口」で制限されていた。しかし、第二の分岐点後では、汎用人口知能を導入した国は人という制約条件がなく、汎用人口知能という機械だけで経済成長が可能となる。

評者はここを読み、投資できる資金(GDP等)が大きく、人口が減少していく日本にこそ米中欧とは異なり経済成長できるのではと感じた。チャンス到来!

本書はタイトル通り、人工知能(AI)のことをざっくりと理解できます。人口知能が身近になりつつある今だからこと、全ての人に読んでほしいです。そのかなでも、これから社会に出る学生や既に社会で働いている人は職業選択や仕事の仕方を考えるきっかけになると思いますのでオススメです。

あなたも知らずに使っていると言うように、人口知能(AI)を使ったアマゾンエコー(音声認識)や文章の予測変換は我々の生活を便利にしてくれてます。また、テレホンオペレータの回答案の提示や製品の見た目の検査でも人口知能(AI)は我々をサポートしてくれてます。AIは便利で怖いもの、という印象がありますが、本書を読めばAIと人間の得意なことの違いが理解できます。

本書をきっかけとし人口知能(AI)と正しく付き合う方法を学びませんか。

 

AI(人工知能)まるわかり (日経文庫)

AI(人工知能)まるわかり (日経文庫)

 

 

【書評】取越苦労厳禁。『幸福なる人生 中村天風「心身統一法」講演録』

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「体力、胆力、判断力、断行力、精力、能力。六つの力の内容量を豊富にしろ」と著者は言う。

そして、常日頃から、観念要素の更改をすることを訴えかける。
「今日一日、怒らず、怖れず、悲しまず、正直、深切、愉快に、力と勇気と、信念とをもって自己の人生に対する責務を果たし、恒に平和と愛とを失わざる、立派な人間として活きることを、自分自身の厳そかな誓とする」

また、他の書籍に於いては、精神面に関する記述のみのものが多いが、本書では、珍しく食事療法などについても述べられている。
さらに、題名に「心身統一法」とある通り、神経反射の調節の方法としてのクンバハカや、呼吸法であるプラナヤマなどの、身体を使った感応性能の積極化を図る方法についても記されている。

とにかく、著者の強調していることは、「積極精神の養成」である。

心に従いながら、がむしゃらでもいいからファイト。
目的を定めず。
グズグズ躊躇ばかりしていたら、進歩も発達もない憐れな自己が出来上がるだけ。
ベストを尽くせ。

自分の気持ちを検査し、人の言葉に左右されるな。
人に対する態度はあくまで積極的で。
心を打ち込んで何事かをする習慣をつけると、今までとらわれていたはずのものが、向こうから出ていってしまう、振り落とされちまう。
そして、正義の実行。

中村天風の言葉は力強い。いつもエネルギーがみなぎっている。
尚のことその様に感じることができるのは、講演録だからこそだ。
私も、クンバハカについては意識して行う様にしている。
ただ、つい忘れがちになるので、時折どれでも良いから著者の本を読み返すことが肝要だ。