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堀江貴文イノベーション大学校(通称HIU)公式の書評ブログです。様々なHIUメンバーの書評を毎日更新中。

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【書評】現代の子供に尊重するほどの個性なんてないでしょう『虫眼とアニ眼』

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養老孟司さんと宮崎駿さんの対談集になります。
テーマは人、自然、虫、今の時代。何よりも子供についてです。

千と千尋の神隠しの映画は宮崎駿さんが10歳の子供たちのために映画を作りたいと思って制作しました。10歳の子供に宮崎駿さんは何を伝えたかったのか。
そのメッセージの根幹には現代社会とその時代に生きる子供たちの現状を捉える必要があります。

現代社会の特徴は多様性、個性の尊重、ゆとり教育など個を重んじることですが、子供を囲む教育は今も昔と変わっていません。学校では良い点数を取ること、そして良い大学に入り安定した企業に就職することでありこのルートに変化はありません。宮崎駿さんも養老孟司さんもこのままでは行き着くところは「非常につまらない大人」だといいます。

子供のために敷いたルートは、実は時代が重んじる個性を丁寧に殺しているのではないでしょうか?そう問題提起します。

こどもがこどもでいられない、そんな変な時代を終わりにしたい。
出所の分からない情報、ひどく軽くなってしまった言葉が蔓延するなか、なぜ宮崎駿さんの作る映画は心に刺さるのか。
なぜ言葉や理屈での表現ではなくアニメという表現を選択したのか。

言語化とは対照的な一冊。

 

虫眼とアニ眼 (新潮文庫)

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