個人的に素晴らしい本に出合ったと思う。
理由は書店に溢れる「不安に打ち克つ」「悩みが消える」などの本に書かれているエッセンスを全否定してくれるからである。
脳科学的に人間は常に不安を製造する生き物だということは証明されている。
アドラー心理学の本ではすべての悩みは対人関係に起因すると書かれている。
それらに対する対処法はだいたい「考え方を変えること、解釈を変えることと」であるがそれができるのなら苦労しない。浮かんでくる不安や人間関係の問題はその本を読むことで解決しない。
その問題に現実的なヒントをくれるのが精神科医の岡田尊司先生が書いた本書である。
人間には様々な愛着様式があるが、その愛着は対人関係のスタイル、生き方や関心、恋愛、子育ての仕方、ストレス耐性や仕事の成果にまで深く関わっている。
スタイルとして回避型、不安定型、安定型、恐れ・回避型などいくつかに分かれる。
過剰に距離を取る人、やたら拒絶や失敗を恐れる人、共感力が低い人様々な特徴を持った人がおり私たちも関わり方に気をつかいながら生きているが、その原因の多くは養育環境と愛着形成不全に起因する。そのことは本書に詳しく書かれており必ず読者の皆様の役に篤人思われる。
どうしてそのように解釈するのか、そうしてそんなに極端に考えてしまうのか。
あなたはどこでその考え方を身に着けたのか覚えていますか。
一度対処療法のような書物を床において本書で愛着の観点から自分を振り返りましょう。
もし自分の問題が愛着由来だった場合はちゃんと根治があるのです。
そしてSNSで誹謗中傷を繰り返し人を自殺に追い込み、追い詰めたにも関わらず「私って訴えられますか」と相手のことよりも自分を心配するような共感性や相手への想像力の欠けた人間が多くなった現代において本書は必須です。
現代人の1/3以上が愛着障害を抱えており人間関係の形成が難しいからです。
そのような人たちとの関わり方を学びましょう。